Letter from Doctor (Jan Issue 2026)
01 Jan 2026
総合診療科・心療内科 毛利由佳
健康診断で「体重を落としましょう。」と言われている方は少なくないのではないでしょうか。
それも毎年言われていたり...。
痩せないといけないとはわかっているけど...。
そもそも肥満の何が悪いのでしょうか。

■ 肥満
肥満とは、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)が25kg/㎡以上のものをいいます。
BMI=体重(kg)÷身長(m)²
で計算され、日本人ではBMI25以上が肥満の基準です。肥満は病気そのものではないため、治療の対象とはなりませんが、放っておくと糖尿病、高血圧、脂質異常症などの健康障害を引き起こすリスクが高くなります。一方、肥満に治療が必要な病気が合併すると肥満症と言われます。内臓脂肪型肥満の場合は、将来の健康障害の合併が高度に予測されるため、現時点での健康障害がなくても肥満症と診断されます。

※BMI は筋肉量との区別ができないため、筋肉質な人や、隠れ肥満(体脂肪率が高いのにBMI は普通など)の人は注意が必要です。
肥満と健康障害の関連は明らかになっています。これらの健康リスクはBMI30kg/㎡以上で多いとされますが25〜30kg/㎡でも長期間その状態が続くと健康障害を発症するリスクは高まります。BMIと総死亡との関連はU字型で、BMI22kg/㎡がもっとも死亡率が低いとされており、それを下回っても上回っても死亡のリスクは高まっていきます。
■ 肥満症
肥満に加えて、肥満が原因で健康障害を合併している、または合併が予測されるため、医学的に減量が必要な状態と診断されるものです。
肥満症の診断に必要な健康障害は以下のものになります。
•耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
•脂質異常症
•高血圧
•高尿酸血症・痛風
•冠動脈疾患
•脳梗塞・一過性脳虚血発作
•非アルコール性脂肪性肝疾患
•月経異常・女性不妊
•閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
•運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
•肥満関連腎臓病

■ サルコペニア肥満
サルコペニア肥満は、筋肉量が減少し筋力が低下する“サルコペニア”と、体脂肪が過剰に蓄積した“肥満”が同時に存在する状態です。見た目は普通の体型でも体脂肪率が高く筋肉量が少ない隠れ肥満の一種で、生活習慣病リスクの上昇や転倒・骨折のリスク増加につながります。改善には、タンパク質を十分に摂取しつつ、筋力トレーニングで筋肉量を増やし、体脂肪を減らすことが重要です。

原因:加齢や運動不足
年齢とともに筋肉は自然と減少し、運動不足によっても筋肉は衰えます。筋肉が衰えると、動くとすぐに疲れるため、さらに運動が億劫になり、さらに筋力が低下していく悪循環となることもあります。

■ サルコペニア肥満のリスク
•生活習慣病のリスク増加:通常の肥満よりも糖尿病や高血圧などの生活習慣病にかかりやすくなります。
•身体機能の低下:筋力が低下するため、歩行能力が低下、転倒しやすくなって骨折のリスクが高まります。骨折により運動の機会が減り、さらに筋力が低下する悪循環にもなります。最終的に要介護状態となるリスクが高まります。
•要介護のリスク:上記により、最終的に要介護状態となるリスクが高まります。
•認知機能の低下:動かなくなることで認知機能の低下を招くリスクが高まります。
■ 肥満解消策!!
肥満のままでよいと思っている方は少ないと思います。痩せないといけないとわかっているのによいダイエット方法がわからない、続かない、頑張ったけどリバウンドしたなど様々な事情があると思います。
肥満のタイプによって適したダイエット方法は変わってきます。
生活習慣の改善や運動習慣の見直しは周知の事実ですが、現代人の生活スタイルからはすぐには難しいこともあります。適応できる場合には薬の助けを使ってもよい場合もあります。次に肥満症に使用できる薬を紹介します。なお、サルコペニア肥満などに対しては薬の使用はリスクになることがあります。薬は体脂肪も低下させますが、筋肉も低下させるため適切な運動などで筋力維持ができない方への利用はリスクが高くなります。薬を使用したい場合は、必ず医師の受診をし、適応の有無や使用中の経過観察を受けるようにしてください。
■ 肥満症治療薬について
最近、肥満症治療薬が巷で話題になっているので知っている方も多いと思います。今話題になっている肥満症治療薬として使われている薬剤は2型糖尿病の治療薬で、その効果に食欲抑制や体重減少があるため、肥満症治療薬としても使われるようになりました。種類や商品は複数ありますが、そのうちダイエット目的に使われることが多い薬剤を表にしました。これらの肥満症治療薬は表にある副作用のほか、稀に急性膵炎や胆嚢炎などの重篤な副作用も報告されています。必ず医師の診察と指導のもとで使用してください。

当クリニックでは肥満症で適応があると診断された方に薬(注射薬、内服薬)の処方を行っております。
毎年、健康診断で肥満と言われる方、なかなか痩せられない方、すでに健康障害を発症されている方などで、ご希望の場合は、処方適応の有無の判断も含め、お気軽にご相談ください。
肥満の改善は薬だけではなく、食事運動療法がとても大切です。食事運動療法に関しても診察、指導、フォローアップを行っております。痩せた後の体重維持の指導、フォローアップも行っております。お気軽にご相談ください。

■ 子どもの肥満
子どもの肥満は、若年からの生活習慣病のリスクが非常に高まるため対処が必須ですが、大人の対処法とは異なる面も多いです。子どもの肥満についても、いずれこちらのコラムで触れる予定です。
文責:毛利由佳











