The Southern Cross 60th Anniversary Hello Japanese School The Japanese School, Singapore (Secondary, West Coast Campus) (Aug Issue 2025)
01 Aug 2025
シンガポール日本人学校中学部の紹介
ご挨拶
南十字星創刊60周年、おめでとうございます。
本年度、中学部校長として着任いたしました富山司と申します。「21世紀を生き抜く日本人として、豊かな国際感覚を持ち、世界の人々とつながりあおうとする人材の育成」「人として豊かさ、賢さ、強さを持ち、自分の役割を果たそうとする生徒を育成する」との本校の願いを実現すべく、力を尽くしてまいります。
さて、中学部のこれまでの歩みを振り返ってみたいと思います。中学部の開校式が挙行されたのが1970年。その時の生徒数は16名。翌1971年に第1回卒業式が挙行されています。そして、1981年に第1回体育祭がドーバーコートにて行われました。現在のウエストコーストに中学部校舎が落成したのが1984年です。その後、1995年に中学部(ウエストコースト校)、クレメンティ校、チャンギ校の3校体制となりますが、当時の中学部の生徒数は692名だったそうです。2016年に第45回卒業式が挙行されており、開校以来の卒業生が5000名を超えました。それまでの間に、セントヒルダ校一日体験入学やスリ・アユタヤスクールが来校されるなどの国際交流も行われてきたようです。
2022年に「在外教育施設における教育の振興に関する法律」が施行され、その施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針が翌2023年に示されました。その中で、日本人学校におけるGIGAスクール構想の実現や、海外の学校との交流等を通じて日本型教育や日本文化を積極的に発信、現地社会との交流機会等を活用し、所在国の国情や言語等を含めた国際理解教育の推進等が示されました。本校では、引き続き、自国を理解し日本人としての誇りを持ち、地元シンガポールの国と人々を理解し敬愛の念をもって、関係団体との連携や情報共有に努め、開かれた学校づくりに取り組んでまいりたいと存じます。
本校の特色ある教育活動として、特別支援教育とインクルーシブ教育の充実を図るとともに、ICTの積極的活用、イマージョン教育やグローバルクラスの新しい教育プログラムの充実発展を図ってまいります。シンガポールは、世界の中でも最先端の取組を繰り広げるエネルギッシュな国のひとつです。2024年世界競争力No.1となったシンガポール。この地で生活し、ここで学ぶことの利を生かし、多様なものの見方や考え方を相互に理解し合うために、豊かなコミュニケーションを働かせ、友人、家族、隣人をはじめ、世界中の人々が平和で共によりよく生きていこうとするウェルビーイングの向上を目指し、グローカルな資質を身に付けた次代を担う人づくりに取り組んでまいりたいと存じます。そして、「人と人が信頼で結ばれた 幸せな学校づくり」をモットーに、職員一丸となって教育活動に取り組んでまいります。
中学部 校長 富山 司(とみやま つかさ)
中学部について
シンガポール日本人学校中学部は、シンガポール西部の緑豊かなエリアに位置し、約410名の生徒が在籍する日本人のための中学校です。1970年の創立以来、日本の教育を基盤にしつつ、国際都市シンガポールという立地を生かした多様な教育活動を展開しています。校訓は「人に優しさ、自分に強さ」。生徒一人ひとりが思いやりをもち、困難に立ち向かう強さとしなやかさを身に付けることを目指しています。
教育の特徴
本校の大きな特徴は、基礎学力の定着とグローバルな視野を育てるためのカリキュラムです。国語や数学、理科、社会などの主要教科は日本の学習指導要領に基づき、きめ細やかな指導を行っています。特に英語教育には力を入れており、英語は習熟度別クラスで学びます。初心者から上級者まで、それぞれのレベルに合わせた授業を展開し、英語力の向上を図っています。また、音楽、美術、家庭科、体育などの実技教科では、英語によるイマージョン教育を一部導入しており、日常的に英語に触れる機会を増やしています。
2017年からは「グローバルクラス」を設置し、週31時間のうち18時間を英語で学ぶカリキュラムを導入しました。英語による数学や理科の授業も行い、論理的思考力や表現力を英語で養うことができます。さらに、日本語での復習時間も確保し、内容理解を深めるサポート体制が整っています。グローバルクラスでは、ボランティア活動やディスカッション、プレゼンテーションなど実践的な学びにも力を入れており、生徒は自分の考えを多様な言語で発信できる力を身に付けています。
多様な体験と国際交流
シンガポールという多民族国家に立地する本校では、国際交流や異文化体験が日常的に行われています。現地の名門校(ラッフルズガールズスクールなど)との交流授業や体験入学を通じて、シンガポールの生徒と共に学び合う機会が豊富です。また、近隣諸国への修学旅行も充実しています。これらの活動を通じて、異文化理解や国際感覚を自然に身に付けることができます。
更に、校内では獅和祭(合唱コンクール)や体育大会、全校生徒が一丸となって取り組む行事も大切にしています。生徒たちはこれらの行事を通じて協調性やリーダーシップを育み、仲間と共に達成感を味わうことができます。日本文化を大切にしながら、多様性を尊重する姿勢を養うことができる環境です。
進学実績
本校の卒業生は、国内外の様々な進路に進んでいます。主な進学先としては、シンガポール国内の早稲田渋谷シンガポール校、日本国内の私立高校、国公立高校、さらに海外のインターナショナルスクールや現地校などです。日本の難関校への合格実績も豊富で、帰国生入試や一般入試に向けたサポート体制も充実しています。進路指導では、生徒一人ひとりの希望や適性に合わせて丁寧なアドバイスを行い、将来の夢の実現をサポートしています。
Column① 中学部の「修学旅行」をリポート! 〜インドネシア・バリ島〜
中学部では、第2学年の2学期に修学旅行を実施しています。ここ数年はバリ島を訪れており、美しい自然や独自の文化、親切でフレンドリーな現地の人々と交流する機会を得ています。校外での集団生活を経験し、時間やルールを守ることの大切さや、仲間と協力することの重要性を学んでいます。
今回は、2024年の修学旅行を振り返り、生徒たちの活動の様子とバリ島の魅力をお伝えします!
1日目 〜タナロット寺院・ケチャックダンス〜
勇壮な掛け声と軽快なリズムが特徴の「ケチャックダンス」は圧巻!海に浮かぶ寺院で、仲間と共に記念撮影
2日目 〜ラフティング・文化体験〜
ラフティング体験では、仲間と協力して目的に向かうことの大切さを学びました。雄大な自然に感動の連続
3日目 〜ウミガメ保護センター・ウルワツ寺院〜
ウミガメたちの成長過程や、環境保全について考えさせられた一日。岬にあるウルワツ寺院の絶景にも感動!
Column② 中学部の「野外活動」をリポート! 〜シンガポール・マレーシア〜
1年生では「野外活動」として、シンガポール国内とマレーシアのジョホールバルに行きます。
生徒にとっては、中学校に入って初めての宿泊学習であり、仲間たちと寝食を共にすることができる貴重な機会です。学習はもちろん、一生忘れられないような素敵な思い出もたくさんつくってほしいと思います。それでは、ここで昨年の「野外活動」の様子を少しだけご紹介しましょう!
★一日目は、シンガポール〜マレーシア
★おわりに
シンガポール日本人学校中学部は、日本の伝統的な教育とシンガポールならではの国際的な学びを融合させた教育活動を行っています。学力だけでなく人間力や国際感覚を身に付け、将来グローバル社会で活躍できる人材の育成に取り組んでいます。日本と世界をつなぐ架け橋となる教育環境がここにはあります。
文責・写真:杉原美和、相原志保、鈴木俊太郎、堀内翔子
シンガポール日本人学校中学部 編集部
本誌に掲載されている生徒の写真にはプライバシー保護のため、顔にぼかしを施しています。
