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Hello Interview Albirex Niigata Singapore Mr Komatsu Keito, Mr Ogawa Kaisei (Oct issue) 2023

20 Sep 2023

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アルビレックス新潟シンガポール


サッカー選手インタビュー


小松慧選手、小川開世選手


 


ゴールを決めた時に、言葉じゃ言い表せないいろんな思いが湧いてくるのが好きです。サポーターが喜んでくれる。チームメートが自分の元へかけ寄ってきてくれる。自分も幸せな気持ちになる。その瞬間のためにサッカーしているなと感じます。(小松選手)


試合には出られないし、練習でいいプレーをしても評価してもらえなくて、両親に「試合に出られないから、サッカーをやめたい」と言ったんです。そうしたら「やめるのは簡単だから、もう無理と思うまで努力し続けなさい」と言われました。そこで僕はもう一度頑張ろうと思い、練習を続けて試合に出られるようになりました。(小川選手)


 


 8月号に引き続き、Singapore Premiere League(シンガポール・プレミア・リーグ。以下、SPL)で活躍している日本人選手のインタビューを行いました。今回はアルビレックス新潟シンガポールに所属している小松慧選手と小川開世選手です。インタビューをしたのはシンガポール日本人学校小学部チャンギ校の子どもたちです。


 アルビレックス新潟シンガポールのホームスタジアムであるジュロン・イースト・スタジアムの一室でインタビューが行われました。


(取材日:2023年7月30日)


 


うやったらサッカーが上手くなれますか。


小川選手 僕もみんなと同じ年頃からサッカーを始めました。放課後、公園に行ってひたすらボールを蹴っていました。どのくらいボールを飛ばせるんだろうと思って、試していくと、10メートル、15メートルとどんどん飛ぶようになっていきます。次は、ドリブルをやってみようと、家にあったペットボトルをコーンの代わりに置いてジグザグドリブルを続けていたら、どんどん速くできるようになっていきました。そうやって、ずっとボールを触っているとサッカーが上手くなるんだということに気づいていきました。


小松選手 自分は、みんなの年齢位からたくさんボール触っておけばよかったなぁと思っています。自分の同級生は、幼稚園の時からボールを触っていました。小さい時は足の先まで神経が通ってるから、ボールをたくさん触れば触るほど上手くなります。サッカーがもし大好きなら、ボールを毎日蹴って、いっぱい食べていっぱい寝る。できないことがあっても、寝て起きたらできるようになることもあると思うよ。


サッカーが上手くなるためにどんなものを食べていますか。


小川選手 僕が小学生の時は、ご飯をたくさん食べる方ではなくて、体の小さい子どもでした。サッカーでタックルされたら飛んでいってしまうような子でした。中学生の時にお腹が空いてなくてもご飯を3杯食べられちゃうという時期があって、中学3年間で25センチ身長が伸びました。そうなってくると、サッカーで当たり負けしなくなってきます。やっぱりご飯をいっぱい食べるというのは大事です。子どものころ、おばあちゃんが喜ぶからと、嫌いだったトマトを無理やり食べてたんですが、今は普通に食べられるようになりました。とりあえず食べる。そうすれば体も大きくなるから。親御さんが出してくれる料理を残さず全部食べることが大事です。


小松選手 僕もピーマンとトマトは嫌いだった。だけど、親に出してくれとお願いしていました。ピーマンを食べられることを自慢してる友達がいて、それに負けるのが嫌だったから。それで、普通だったらピーマンを刻んで、何かの料理に混ぜて出したりすると思うんだけど、ピーマンをそのまま塩で焼いたものを出されました(笑)。それを食べていたら食べられるようになったよ。嫌いな食べ物は食べないと食べられるようにならないね。


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練習で気をつけるべきことはなんですか。


小川選手 練習は日によって、今日はトラップにこだわる日にしようとか、次の日は味方の右足にパスを出す練習をしようとか、ロングシュートを狙ってみようとか、毎日そういう小さな目標をもってやるといいと思います。


 あと、自分はボールを止めて蹴ることが得意なんだけど、自分の武器が見つけられるとより練習をしやすくなると思います。いろいろやっていく中で自分の武器を見つけて、目標に向かってやっていけば、サッカーは上手になると思います。頑張ってください。


小松選手 練習のメニューには必ず監督のプランがあって、こういう風にプレーして欲しい、こういう風になって欲しいというのがあります。だから、与えられたメニューをただやるのではなくて、どういう意図でメニューが組まれてるのかってことを考えられるようになると、練習がもっと面白くなるし、成長すると思います。サッカーは足や体だけじゃなくて、頭もめちゃくちゃ使うから、そうやって考えることが大事だと思います。


サッカーをやめたいと思ったことはありますか。


小松選手 練習も大変だし、やめたいと思ったことは何度もある。でも最終的にやめようとなったことはないね。理由はサッカーが大好きだから。サッカーをやめる時は、この熱量が完全に消えた時だと思う。自分からサッカーをとってしまったらつまんない人間になっちゃうんじゃないかなぁと思います。でもまだずっとメラメラしているし、試合で点を取りたいし、活躍したいし、いっぱいいろんな思いがあるからやめられないな。


小川選手 僕はサッカーをやめたいと思ったことは、人生で2回あります。1度目は中学生の時のクラブチームです。それまでは小学校で楽しく自信をもってサッカーをしていたのですが、そのチームに入ると自分と同じような子がたくさんいました。もちろん、最初から試合には出られないし、練習でいいプレーをしても評価してもらえなくて、親に「試合に出られないから、サッカーをやめたい」と言ったんです。そうしたら「やめるのは簡単だから、もう無理と思うまで努力し続けなさい」と言われました。そこで僕はもう一度頑張ろうと思い、練習を続けて試合に出られるようになりました。その後、サッカーの強い大学に入ることができました。そこでも全国大会に出たり、関東1部リーグというレベルの高いところでサッカーをやらせてもらうことができて、プロサッカー選手の道が見えました。でも、プロチームの練習に参加しに行った時に、なかなかうまく行かなくて、これだけ頑張ってきたのに、これでもサッカー選手になれないのかと思って、もうやめたいと思いました。それでまた親に相談したら、「本当にやり切ったのか」と聞かれました。自分を振り返って、まだ自分はサッカーが好きだな、もっと努力できるなと思いました。それで、たまたまアルビレックス新潟シンガポールからオファーを頂いて、サッカーをやらせていただいています。


サッカーで負けた時にどういう思いを持ちますか。


小川選手 サッカーの試合で負けた時はやはり悔しいです。でも、負けて得られるものもあります。なんで負けたんだろう、自分に何が足りなかったんだろうと思って、そこからまた努力ができます。負けて悔しいという思いをもって、自分に足りないものを考えて努力するということが大事です。


小松選手 サッカーに限らず、何事も負けるのは嫌いです。2人でご飯を食べて、隣の人に食べる量を負けるのだって嫌です。今のみんなの年頃からできることは、とにかく隣の人に負けないようにすること。それで負けた時に、さっき小川選手が言ったように悔しいという思いをもつこと。悔しいと思えるということは手が届く範囲です。それはまだまだ成長ができる伸びしろがあるということ。だから、悔しいと思うことが大事です。


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オフの日にどれくらい運動していますか。


小松選手 オフの日は何もしない。練習の時間には集中して、ぶっ倒れるくらいやります。そうやって練習しているとオフは休むことが大事。サッカーを上手になりたいと思うと、みんなたくさん練習するじゃん。でも、それって時には逆効果な時があるんだよ。サッカーから1日離れる。スターバックスに行って、コーヒー飲んで、サイクリングして、とか自分の好きなことをする時間に充てます。


小川選手 僕も休みの日はサッカーのことは一切考えないです。オフの日の楽しみはおいしいご飯を食べること。ただそれだけです。おいしいご飯を食べて、家に帰って寝る。そうすると次の練習を頑張ろうと思える。


どうしてそうやって努力を続けられるんですか。


小松選手 渋い質問だね(笑)。ゴールを決めた時に、言葉じゃ言い表せないいろんな思いが湧いてくるのが好きです。サポーターが喜んでくれる。チームメートが自分の元へかけ寄ってきてくれる。自分も幸せな気持ちになる。その瞬間のためにサッカーをしているなと感じます。その、お金じゃ買えないものを味わうために、練習でしんどい思いをしている。努力が報われるまでやり続けるということが大事だと思います。


小川選手 自分がサッカーで活躍することによって、周りの人が喜んでくれるのが1番嬉しいです。小さい頃から、親に高い月謝を払ってもらってサッカーをやらせてもらって。その頃の友達は社会人になって、サッカーなんてやってない人が多いんだけど、そういう友達も今の自分のサッカーを日本から応援してくれています。親も小さい頃からサッカー選手になれるから頑張れ、って言ってくれて。小さい頃から自分が活躍すると、親が喜んでくれるというのがすごく嬉しくて、それをモチベーションにずっと頑張っています。みんなもサッカーに限らず、いろんな目標があると思うから、それを達成するためには、努力をするしかない。努力の仕方が見つかってくると、努力も続けられると思うから、毎日の目標に向かって頑張ってください。


小松選手 僕が5年生の時に東日本大震災がありました。その時にサッカー選手が東北に行って、子どもたちとサッカーをして、子どもたちに笑顔を与えていたんだ。悲しい思いをしている人たちが、サッカーの力で笑顔になったんだよ。それってお金で買えないんだよね。ゲームが欲しいとなったらお金で買えるけど、お金で買えないものがスポーツにはあるんだよ。それを与えられるのが僕の幸せ。僕は試合中とにかく叫ぶし、全力で走る姿を見てもらって「こいつから元気もらえるな」って、どこかの誰かが少しでも思ってくれたらいいなという思いでプレーしています。


置いてあるボールを上手に蹴るにはどうしたらいいですか。


小松選手 練習する時に頭の中で丸いサッカーボールのどこをどう蹴るのかのイメージを持つことだね。それで蹴ってみる。ちょっとやってみよう。(実際に説明してくださいました。写真参照)


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小林 最後に皆さんにメッセージをお願いします。


小川選手 みんな位の年頃でどれだけ練習するかが大事、ということが言いたいです。僕もみんなと同じ年位の時にいろんな練習をしてきて、その全てが今の自分のプレーになってます。だから、みんながサッカーをやっている今の時間を大事にして欲しいと思います。また、親御さんが出してくれるご飯をしっかり食べて体を大きくすること。そして、毎日小さい目標を立てて過ごしていれば絶対サッカーが上手くなります。みんながサッカーを上手になって、どこかで出会えたらいいなと思います。頑張ってください。今日はありがとうございました。


小松選手 みんなの頭の中に僕らの話が少しでも残ってくれたら嬉しいです。今日のことを家の人に聞かれたら「たくさん食べることが大事っていうのが勉強なったよ」とか言ってくれたら嬉しい。僕は、シンガポールに来てまだ半年だけど、この国の人たちにもっとサッカーを好きになって欲しい。小松慧という人間を知って欲しい。そんなの無理だよって笑う人もいるかもしれないけど、それは恥ずかしいことではないし、口に出さないと夢は叶わない。誰かに笑われるようなことでも、でっかい夢を掲げてそれに向かって一生懸命頑張れる人になって欲しいと思う。みんな頑張ったら一緒にサッカーできる日が来るかもしれないし。そういう日が来ることを楽しみにしています。


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<インタビュー後記>


 インタビューの後、両選手は子どもたちをスタジアムのフィールドに招いて、一緒にボールを蹴ってくれました。はじめは緊張していた子どもたちも、最後には笑顔でスタジアムを後にしました。アルビレックス新潟シンガポールは、23戦19勝2敗2分(インタビュー時)という驚異的な戦績でSPL2023の優勝が決定しています。小松選手はSPLの7月の月間最優秀選手に選ばれました。SPLは9月で最終節を迎えますが、その後もAFCチャンピオンズリーグや、シンガポールカップなど、シンガポール在住の日本人選手が活躍する場面がまだまだあります。活躍する日本人選手を応援し、シンガポールのサッカーリーグを盛り上げましょう!


文責・写真 小林智(シンガポール日本人学校小学部 チャンギ校)

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