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Letter from Editing room (Nov issue 2023)

01 Nov 2023

  


 私たちが編集のお手伝いさせていただいている南十字星は、1965年(昭和40年)に創刊され、再来年で創刊60年になるそうです。南十字星はシンガポール日本人会の会員相互を結ぶ絆の一つである機関誌です。 
 インターネットなどのなかった創刊まもない時代、会員にとっては貴重な読み物だったようです。手元にあった創刊10周年記念号、創刊20周年記念号を読んでみると、当時の会員の方々の南十字星に対する熱い思いが読み取れます。特にシンガポールの歴史や当時の日本人の生活についての随筆、紀行などが多く掲載されています。私の知らなかったことや気づかずにいたことが多く書かれていて、つい読みふけってしまいました。 
 執筆者は日本人会会員で職業もさまざまでしたが、それぞれの方の知識の深さと、その時代のシンガポールの事象に対する見方などは編集委員として、とても参考になりました。またユーモアの混じったエッセイを毎月連載で書いていた方も数人いらして、当時の会員の方々の南十字星執筆に対する強い意気込みを感じました。 
 また創刊当時に使用されていた紙は少し厚めの藁半紙(わらばんし風だったことにも郷愁を誘われました。掲載されていた写真はもちろん白黒写真です。また企業広告も白黒写真でしたが、多くの日本企業が広告を載せていたことにも驚きました。それだけ当時の南十字星が日本人社会で愛読されていたのですね。特に興味深かったのは地図や博物館の展示品の紹介が何と手書きで描かれていることです。当時の執筆者たちの苦労とその熱意が伝わってきました。
 日本人会図書室には南十字星記念号が閲覧用として置いてあります。また日本人会クラブショップでも販売しています。お時間のある時にどうぞ手に取って読んでみてください。発行約60年になる南十字星の歩みを覗きながら、当時の興味深い記事に出会うことができると思います。


(編集部 西山ひろ美)

 Letter from Editing room (Nov issue 2023)