心と体のセルフケア(講座講師だより)インド編 連載コラム②(11月号 2021年)
30 Oct 2021
体と心のためのアーユルヴェーダ
3000年以上前にインドで開発されたアーユルヴェーダの原理は生命科学を探求したものです。Ayurは生命を、Vedaは科学を意味し、チベット、ギリシャ、中国も含めて、古代の伝統的なヒーリング療法に影響を与え、ヒーリングの母とも言えるものです。
アーユルヴェーダは生命は、心(マインド)、体(ボディー)、魂(ソウル)、精神(スピリット)を表すものと考えています。体と心はダメージを受けやすい一方で、精神は生命の罠からは解放された存在です。天候、ライフスタイル、ダイエット、仕事、感情、人間関係の変化は、バランスを崩すきっかけになりやすく、心、体、魂の状態にネガティブな影響を与えてしまいがちです。
アーユルヴェーダ的に見た健康な人はこのような特徴を含みます。
·お肌がクリアで整っている
·目が澄んで輝いている
·排泄システムが規則正しい
·エネルギーレベルが良好
·人間関係の調和がとれている
·深い眠りで、リフレッシュ出来ている
アーユルヴェーダ式ボディタイプ
アーユルヴェーダは宇宙が五元素でできているというアプローチに基づいています。すなわち、風、空、火、水、地です。これらが人間の体で結ばれ、ヴァータ、ピッタ、カファと呼ばれるドーシャ(アーユルヴェーダの体の3つの本質)というエネルギーあるいは生命力となります。どれが優れているというわけではなく、私たちは全てドーシャの組み合わせであり、心、体、魂、精神のために必要なものです。
アーユルヴェーダの4本柱
アーユルヴェーダでは、生命の四つの柱、食生活、運動、睡眠、ストレスのバランスがとれている時に、健康も最適のレベルになると考えます。
食生活/栄養バランス
地元の気候にあった地元産の新鮮な食べ物は、体調管理に適しています。更に、しっかり咀嚼することで消化を助けます。
運動/ライフスタイル
規則正しい運動は免疫力を高め、体力維持に役立ちます。
睡眠
睡眠不足は私たちの免疫システムを60%から70%減少させます。 睡眠中は、免疫システムが活性化され、ホルモンのバランスが修正され、成長ホルモンが分泌されます。プラナヤマ(古代インドで生まれた呼吸法)、瞑想、ヨガニドラ(眠りのポーズ)などの就寝時のエクササイズもおすすめです。就寝は午後9時から午後11時の間から始めるのが理想的です。
ストレス
ストレスや様々な感情に対処するために、深呼吸、プラナヤマ、瞑想、1日の振り返りなどの手段を利用しましょう。ストレスになる全ての原因特にソーシャルメディアや世界中から入ってくるニュース、そして有害な人々はストレスの原因となりがちなので、そうした要素を遮断する時間を持ちます。
アーユルヴェーダ治療
アーユルヴェーダの医師(「ヴァイディヤ」と呼ばれます)は、8つの異なる診断方法を用います。 これらは、ナディ(脈拍)、マラ(便)、ムートラ(尿)、ジバ(舌)、シャブド(話し方)、ドリック(ビジョン/目)、スパーシュ(触診/肌)、およびアークルティ(外見/体の作り)です。
治療は通常、体内の浄化プロセスから始まり、特別な食事療法、ハーブ療法、マッサージセラピー、ヨガと瞑想と続きます。
一口メモ:アーユルヴェーダ医学は学部課程または修士課程を履修することもでき、アーユルヴェーダ医学と外科の学士号(B.A.M.S)を取得できます。
アーユルヴェーダやその他の代替医療を試す前に、必ず医師に相談してください。
文責・画像:Ms. Sourabh Agrawal ソラボ アグロワル
インド料理研究家。日本人会開講講座講師(スパイスサプライズ)。シンガポール日本人会で料理インストラクターを務めて6年目。インド全土の料理レシピを英語と日本語で教えることが可能。1996年から2010年まで日本に滞在し、東京と横浜で料理教室を開催。国際理解インストラクターとして、横浜の小学生に英語でインド文化を教えた経験もある。
翻訳:ヤング靖子
