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心と体のセルフケア(講座講師だより)太極拳編 連載コラム②(4月号 2022年)

29 Mar 2022

 太極拳は、年齢や性別を問わずいつでも気軽に始めることのできる有酸素運動であるということは、前回お話ししました。


 今回は、太極拳の原理について解説します。太極拳を実践する上で、より高い効果を得るために意識しておくとよいポイントです。


1. 頭と背骨をまっすぐにする。


 体の筋肉がリラックスしているときに、気は最もよく流れます。


 毎日の生活習慣で、いつの間にか姿勢が悪くなったり、身体に悪い癖がつきがちです。悪い癖がついたままでは、膝や腰が痛くなったり、足が上がらなかったり、正しい動作が行えません。


2. 胸と肩の力を抜く。


 背中を丸めてはいけません。 胸の力を抜いてゆっくりとした呼吸をしましょう。


 特別呼吸を意識する必要はありませんが、終始穏やかに安定した呼吸を心がけましょう。リラックスが肝心です。胸や肩が強張ったままでは、呼吸が浅くなったり乱れたりしがちです。そうするとせっかく太極拳を行っても最大限の良い効果を得ることができません。


3. 気を抜かずに集中する。


 心と体は最後まで集中していなければなりません。


 一見単純で簡単に見える動作でも、身体の向き、手の角度、足の位置など正しい動作の注意点を意識する必要があります。また、心が乱れていては一定の速度を保つことができません。 
 集中してこそ、最大の効果が得られます。


4.  腰と股関節の力で操る。


 腰と股関節は、動きの中で力を出すために最も重要です。


 連続した動作をゆっくりと丁寧に行う時、一番重要になってくるのは腰の動きです。なんとなく手や足だけを動かして簡単に動いているだけでは効果は薄れます。体幹を使い、腰や股関節をしっかり回して身体の向きを変えましょう。また股関節を柔軟に保つことは、怪我の防止にも繋がります。


5. 足にしっかりと体重を乗せる。


 足をしっかりと地面に乗せること。力は足から立ち上がります。


 姿勢が悪いと、つま先や踵など足の裏の偏った一部分だけで体重を支えているかもしれません。なんとなく立つのではなく、足の裏全体で体を支えるように意識して、正しい姿勢で立ちましょう。そうすることでふらつきがなくなり安定します。


6.  "real"と"apparent"を理解する。


 "real"は体重がかかっている場所を指し、"apparent"は体重がほとんどかかっていない状態を指します。


 人は無意識に両足で立ちますし、歩きます。左右それぞれの足にかかる負担について気に留めません。太極拳では、左右の足がそれぞれ体重を支える割合を意識し、体重移動を丁寧に行います。そのために、膝、腰、股関節や体幹全てをコントロールする必要があります。


7. 連続した動きをする。


 気は血液の循環のように流れます。動きは連続していなければなりません。


 一連の動きは呼吸と共に安定した速度でゆっくりと行います。


 集団で一緒に行う場合、時折自分一人だけが先に進みすぎてしまうことがありますが、動作を止めて皆が追いつくのを待ってはいけません。慌てることなく、ゆっくりと自分の動作を続けながら、自然と皆が追いついてくるのに合わせましょう。


 昨今のコロナ禍において、日本でも太極拳は静かなブームとなっているという話も聞こえています。免疫強化、関節炎のケアへの有効性などの理由から、オーストラリア、アメリカなど世界中でも始める人が増えています。太極拳は個々の年齢や健康状態に合わせて実践することができ、長く続けて行くことで健康維持に役立つのです。この機会に始めてみてはいかがでしょうか。



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(写真1)
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(写真3)


(写真1-3)武術・護身術が元になった太極拳の様々な動作。太極拳は全身の動きを協調させ、一連の動作を切れ目なく続けることによってツボを刺激、気を巡らせて体を整えます。正しい方法を身に付ければ、何歳でもどこででも続けられ、脚筋力、バランス力、免疫力などの維持・向上が期待できます。


文責:クー・ホック・ライ


写真提供:太極拳同好会
*記事は講師が英語で執筆されたものを太極拳同好会で和訳いたしました。英語版記事はウェブサイトへ掲載しております。


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プロフィール 


氏名 : クー・ホック・ライ(Khoo Hock Lai)
トレーナー :
a) シンガポール日本人会  
b) シンガポール人民協会 
c) スポーツSG
太極拳の経験:30年
得意技:楊式


 


以下の動画で楊式太極拳の特徴・種類などをご紹介していますので、ご参考にご覧下さい。


「太極拳同好会 2021夏 活動のご紹介」


https://www.youtube.com/watch?v=JzSmDWspwvs

心と体のセルフケア(講座講師だより)太極拳編 連載コラム②(4月号 2022年)