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心と体のセルフケア(講座講師だより) TCM講師①「健康に効果的なツボ」(10月号 2022年)

01 Oct 2022

健康に効果的なツボ


TCM(Traditional Chinese Medicine 伝統中医)の主な信条として、人は宇宙の一部であり、常に外部とのバランスと調和を保とうとしている宇宙が人の内部にも存在するという考え方があります。海流の観測に基づいて(気候に影響を与える周期的なパターンでの継続的かつ方向性のある風の動き)、私たちの体にも、断続的で方向性・周期的な動きのあるエネルギーや気が流れているとされています。


 この体内の気の動きの事を経絡-側副系と呼んでいます。体内の気の超高速道路のようなものです。海流に表層海流、深層海流、大西洋の南赤道海流、水平・垂直方向に流れる海流などがあるように、体の経絡-側副系にも、それぞれ内臓機能や性質にちなんで名付けられた名前があります。


 気は私たちの体の生命活動の物質的基盤でありエネルギーです。海流が赤道から両極に暖かい水を運び、両極から熱帯地方に冷水を運ぶベルトコンベヤの様に機能するのと同じように、気は体の経絡系統を通して体全体に運ばれ分配されます。体内すべての内臓と組織を温め、栄養を与え、潤いを与え、体の正常な機能を維持するのです。


 体内の気の調和が乱れると、指圧や鍼治療などの経絡治療を使用して、過剰なものを減らし、不足しているものを強化して体を調整し、体内の平衡を維持することにより経絡系の調節作用を作動させます。


 


一般的な健康維持に効果的な3つのツボを見てみましょう。


 


1. Nei Guan(内关) 


2. Zu San Li (足三里) 


3. San Yin Jiao (三阴交)   


Neiguan point.jpg (588 KB)


Nei Guan内关(内関)は、手首のシワから指3本上、2本の腱の間にあります。


 内関は心臓を保護する傘のようなものとして知られており、一般的にはリウマチ性心疾患、心筋炎、冠状動性心疾患などの心臓病関連の症状に対し使用されています。


zu san li.jpg (586 KB)


Zu San Li (足三里) は、膝のくぼみから指4本下にあります。


 このツボは気の滋養に非常に効果的で、高麗人参と同様の効果があることが知られています。めまい、慢性疲労、貧血などの症状に一般的に使用されています。


Zu San Ljiao.jpg (584 KB)


San Yin Jiao (三陰交) は、内くるぶしの頂点から指4本上、の少し後ろにあります。


 このツボは、脾臓を強化し、肝臓と腎臓に栄養を与えるのに非常に効果的です。このツボをマッサージすると、脾臓内臓系の働きが改善され、血液を調節し、ホルモンバランスを整え、うっ滞を解消します。


 


文責・イラスト:クレメント・ング(Dr Clement NG Shin Kiat)


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<筆者プロフィール>


クレメント・ング シン キアット


Dr Clement NG Shin Kiat


クレメント・ング医師、TCMandYou Pte.Ltd. の創立者・主任コンサルタント、医学博士(中医学)、MBA(経営戦略)。
ング医師は、シンガポール規格評議会BHSC下にあるシンガポールの補完医療および健康製品に関する技術委員会委員長、またシンガポール鍼灸協会の会長です。


MCYS、Singtel、ST Engineering、Eu Yan Sangなどの公共および民間セクターで25年以上のクロスファンクショナルで進歩的な企業経営の実績があり、シンガポールの さまざまなTCM 組織での役員を務めてきました。 


また、英中両方の文化に精通し、英語・中国語のバイリンガルでもあります。
中国の南京中医学大学で医学博士号(漢方)を取得し、シンガポールの南洋理工大学(NTU)の南洋ビジネス スクールでMBAを取得。


国際的な中医学の先生であるング医師は、シンガポールのSkillsFutureトレーニングプログラムに認可された、漢方・健康に関する企業向けのワークショップをバイリンガル(英語と中国語)で開催されています。また、オンライン学習プラットフォームを通じて、世界100か国以上からの学生達に中医学の知識を広めています。


 診察・治療、トレーディング、およびトレーニング サービスに加え、ISO/TC 249(TCM)専門委員会のメンバー、また世界中医学会連合(WFCMS) の下のさまざまな専門委員会の評議会メンバーでもあります。シンガポール伝統中医学大学の元副学長であり、シンガポールTCM医師理事会の継続教育委員会の創設時メンバー。日本人会TCM講座講師。


 英語の記事を編集部にて日本語に翻訳いたしました。


 英文のオリジナルの記事はウェブサイトにて掲載中。

心と体のセルフケア(講座講師だより) TCM講師①「健康に効果的なツボ」(10月号 2022年)