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心と体のセルフケア(講座講師だより) TCM講師② 「体質を知って健康になる」(11月号 2022年)

31 Oct 2022

体質を知って健康になる


 自分の体がどんな体質なのかご存じですか?自分の体質を知らずに健康改善を図っても、あまり効果がでない可能性があります。


 高麗人参がとても優れた漢方薬だということはご存じだと思います。生命力を高め、精神を落ち着かせる効果がありますが、人によっては食べた後に活力が出る人もいれば、頭痛や鼻血が出てしまう人もいます。美味しくて栄養価が高いと思って作った料理も、自分には合わないと思う家族もいるかもしれません。でも落ち込まなくても良いんです。これは、人によって体質に違いがあるからなんです。私はよく「それぞれの体質に合わせて」と生徒たちに言っています。


 


 体質とは、遺伝などの先天的要因と、食事、環境、生活習慣、感情などの後天的要因によって形成される体の性質のことです。人は、自分の体質が必要とする特定の味を自然と欲するようにできています。そのため、薬膳料理を取り入れる前に、その人の体質を理解し、何を補い、健康状態を調整する必要があるのかを常に重要視しています。


 北京中医薬大学のWang Qi教授による最新の体質分類によると、9つの体質のタイプがあります。(下記図、参照)


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* 栄養不足で、気と陽の不足をもたらす。


* 栄養過多、痰と湿を促進する。


* 塩辛い食事、陽の不足、痰、湿、血のうっ滞を促進する。


* 辛い食べ物の長い消費、湿った熱さと陰の欠乏を悪化させる。


* 夕食を食べることは、痰湿を促進する。


* 朝食を食べてはいけない、気の停滞または痰湿を促進する。


* 過労、気と陰の欠乏をもたらす。


 


中医学は、病気の予防と健康増進を通じて健康への意識を高めることを提唱しています。多くの人は、正常で健康に見える、又は自覚症状があっても薬を飲むほどではない亜健康状態ですが、これは無視することはできない問題です。このような機能障害の症状は、適切な漢方薬や食生活の見直しによって、健康でバランスの取れた体質に改善することが出来ます。


 


 薬草を使った食事法についてはTCM講座で、それぞれの体質の特徴と関連する健康問題、そしてそれらを緩和するための毎日の食事療法をご紹介します。


文責・イラスト:クレメント・ング(Dr Clement NG Shin Kiat)


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<筆者プロフィール>


クレメント・ング シン キアット


Dr Clement NG Shin Kiat


クレメント・ング医師、TCMandYou Pte.Ltd. の創立者・主任コンサルタント、医学博士(中医学)、MBA(経営戦略)。
ング医師は、シンガポール規格評議会BHSC下にあるシンガポールの補完医療および健康製品に関する技術委員会委員長、またシンガポール鍼灸協会の会長です。


MCYS、Singtel、ST Engineering、Eu Yan Sangなどの公共および民間セクターで25年以上のクロスファンクショナルで進歩的な企業経営の実績があり、シンガポールの さまざまなTCM 組織での役員を務めてきました。 


また、英中両方の文化に精通し、英語・中国語のバイリンガルでもあります。
中国の南京中医学大学で医学博士号(漢方)を取得し、シンガポールの南洋理工大学(NTU)の南洋ビジネス スクールでMBAを取得。


国際的な中医学の先生であるング医師は、シンガポールのSkillsFutureトレーニングプログラムに認可された、漢方・健康に関する企業向けのワークショップをバイリンガル(英語と中国語)で開催されています。また、オンライン学習プラットフォームを通じて、世界100か国以上からの学生達に中医学の知識を広めています。


 診察・治療、トレーディング、およびトレーニング サービスに加え、ISO/TC 249(TCM)専門委員会のメンバー、また世界中医学会連合(WFCMS) の下のさまざまな専門委員会の評議会メンバーでもあります。シンガポール伝統中医学大学の元副学長であり、シンガポールTCM医師理事会の継続教育委員会の創設時メンバー。日本人会TCM講座講師。


 英語の記事を編集部にて日本語に翻訳いたしました。


 英文のオリジナルの記事はウェブサイトにて掲載中。

心と体のセルフケア(講座講師だより) TCM講師② 「体質を知って健康になる」(11月号 2022年)