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心と体のセルフケア(講座講師だより)連載コラム①(7月号 2021年)

01 Jul 2021

森さやか(インド政府認定ヨガセラピスト)


 



皆さんは『呼吸』と聞くと何をイメージされるでしょうか?


 生まれてから生を終えるまでに、休みなく働いている大切な身体のシステムですが、特に意識した事がない方が大半ではないでしょうか。  実は一人一人の呼吸は随分違っています。レッスンの際に、生徒さんにこんな質問をさせて頂いた事があります。


質問①1分間に何回ご自身が呼吸しているか?


− 実際に数えて、教えていただきました。実に様々で、少ない方で8回、多い方で 22回という答えが返ってきました。ヒマラヤのヨギ(=ヨガを行う人)の中には、1分間に1〜2回の方もいるそうです。


 呼吸の回数の違いは、呼吸のスピードや深さと関係していますね。 普段から呼吸が浅くなる原因として考えられるのは、猫背などの不良 姿勢やストレス、口呼吸などが挙げられます。


質問②肺の大きさってどれくらいかご存知ですか?


− ほとんどの方から、握り拳しくらい?という答えが返ってきます。


 実際の大きさは皆さんの思うよりも大きいのですが、そう考えると私たちは、普段、肺のほんの一部しか使えてないのでしょう。


 実は、呼吸はとても重要な役割を担っていて、ゆっくりと意識的な呼吸を行うことは、心や身体への素晴らしい効果があります。


(身体への効果)


○肺を強くする


○血中の酸素濃度が上がる(よりエネルギッシュに。がん予防にも。)


○自律神経を整える


○鼻呼吸は、喉からのウイルスの感染を防ぐ


○脂肪を燃やして排出(脂肪を構成する脂肪酸の化学式 : C55H104O6※論文サイトより拝借)


○美肌


○姿勢改善、インナーマッスル強化


 


(心への効果)


○精神の安定、リラックス効果


○集中力の向上、決断力を高める


○精神が安定することで創造性を引き出す


 


(セラピー、治療としての効果)


○喘息、高血圧、不眠、偏頭痛、ストレスが原因で起こる症状の予防緩和


 身体への効果はもちろん、心への影響を例に挙げると、イライラし ていたり、何だか落ち着かない、不安な時は自然と呼吸が速くなりま すよね。その逆で、のんびりしている時、気の合うお友達と楽しい時間 を過ごしている時は、自然と呼吸がゆっくりになっているのを感じら れませんか?


 このように心の状態は、呼吸を変化させますが、逆に呼吸を意識的にコントロールすることで心や身体の状態を変化させることもできます。


ちなみに、先に挙げた1分間に22回の呼吸をされていた方は、ゆっくりとした呼吸を3分間行なった後でもう一度測ってみると、1分間に10回まで呼吸の数が減少し、緊張の抜けた身体と落ち着いた穏やかな心を感じていらっしゃいました。こうしてみると身体と心、そして呼吸は繋がっていることが明らかですね。


 現代は、ジェット機の時代と言われていて、オンライン化やファース トフード、ファーストファッション、時短クッキングなど、生活のスピードが全体的に速くなっています。それとともに、私たちの呼吸のスピードも速くなっています。目まぐるしく過ぎていく日常の中で、ゆっくりと意識的に呼吸する時間を作ってみませんか。


 


参考文献:When somebody loses weight, where does the fat go?


https://www.bmj.com/content/349/bmj.g7257 (Published 16 Dec 2014)


Ruben Meerman, researcher,  Andrew J Brown, professor


(最終閲覧日:2021年4月18日)


 


文責・画像:森さやか(インド政府認定ヨガセラピスト)


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心と体のセルフケア(講座講師だより)連載コラム①(7月号 2021年)