心と体のセルフケア(講座講師だより) TCM講師④「中医学的観点による1月の季節の健康強化」(1月号 2023年)
29 Dec 2022
中医学的観点による1月の季節の健康強化
最近シンガポールの天気は大変涼しくなっています。私のクラスを受講されている方々には、体質を見極め、天候に合わせた食事をとることに加え、健康維持と病気の予防には日々の活動が一番重要な事の一つだと強調しています。今回は、もうすぐ小寒の季節でもあるので、中医学の二十四節気に基づいた健康維持アプローチを紹介します。
“小寒”(日本語でショウカン)は、二十四節気で一番寒い季節(24に分かれた季節のうちの23番目)で、1月5日から1月17日の間に始まります。この日から30日間はシンガポールでは一年で最も寒い季節になります。
寒さは、中医学では陰の病原因子とみなされ、気滞を引き起こし、体の陽の気を枯渇させてしまいます。この季節は、循環器疾患や高血圧の方は病状が悪化したり、脳卒中や心臓発作を起こす確率が高くなります。
中医学では、体内で血が効率的に流れている事と、体と環境の暖かさは、直接関係していると考えられています。温めると血流が良くなり、逆に寒いと血流が滞ります。そのため、この時期は特に頭や首、背中、手足等冷えやすい部分を温めることが大切です。
今回の記事では、小寒の時期に適した薬膳料理2つと、血の流れを促進し、体を温めかつ冷えを解消し、体を強化する3つのツボを紹介します。
薬膳料理
•アンゼリカと生姜のマトンスープ
【材料】アンゼリカ 20g、ショウガ 30g、マトン 500g、ワイン、お好みの調味料
【効能】血を養い、体を温め、体質を強くする
•ヤム芋の煮込みチキンスープ
【材料】 鶏1羽、ヤム芋 30g、クコ 5g、玉ねぎ、しょうが、ワイン、 塩お好みで
【効能】 腎臓系を温め、栄養を与え、輝く肌の維持
指圧マッサージ 3つのツボ
•百会(GV20)
頭の頂点にある“温めスイッチ”のツボは百会(GV20)です。このツボは体のすべての陽の集合地点で、ここをマッサージすると体の陽が高まります。頭痛やめまいの症状に効果があり、手のひらで円を描くようにマッサージします。
•劳宫 (PC08)
手のひらの中心にある“温めスイッチ”劳宫 (PC08)は、手を握ったときに、手のひらで中指が当たるところです。
劳宫 のツボは五元素のうち火に属していることから、ツボを毎日マッサージすることで、手を温め、心を落ち着かせ、睡眠の質を向上させることが出来ます。
•涌泉(KI01)
足にある“温めスイッチ”涌泉(KI01)は、足の裏の前側のへこんだ部分にあります。
腎臓経路に利くポイントで、特に風邪をひきやすい高齢女性、腎機能に問題のある方、力とエネルギー不足の方に有効なツボです。涌泉(KI01)を毎日マッサージすることで、エネルギー増加、体の強化、そして病気の予防になります。
文責・イラスト:クレメント・ング(Dr Clement NG Shin Kiat)
<筆者プロフィール>
クレメント・ング シン キアット
Dr Clement NG Shin Kiat
クレメント・ング医師、TCMandYou Pte.Ltd. の創立者・主任コンサルタント、医学博士(中医学)、MBA(経営戦略)。
ング医師は、シンガポール規格評議会BHSC下にあるシンガポールの補完医療および健康製品に関する技術委員会委員長、またシンガポール鍼灸協会の会長です。
MCYS、Singtel、ST Engineering、Eu Yan Sangなどの公共および民間セクターで25年以上のクロスファンクショナルで進歩的な企業経営の実績があり、シンガポールの さまざまなTCM 組織での役員を務めてきました。
また、英中両方の文化に精通し、英語・中国語のバイリンガルでもあります。
中国の南京中医学大学で医学博士号(漢方)を取得し、シンガポールの南洋理工大学(NTU)の南洋ビジネス スクールでMBAを取得。
国際的な中医学の先生であるング医師は、シンガポールのSkillsFutureトレーニングプログラムに認可された、漢方・健康に関する企業向けのワークショップをバイリンガル(英語と中国語)で開催されています。また、オンライン学習プラットフォームを通じて、世界100か国以上からの学生達に中医学の知識を広めています。
診察・治療、トレーディング、およびトレーニング サービスに加え、ISO/TC 249(TCM)専門委員会のメンバー、また世界中医学会連合(WFCMS) の下のさまざまな専門委員会の評議会メンバーでもあります。シンガポール伝統中医学大学の元副学長であり、シンガポールTCM医師理事会の継続教育委員会の創設時メンバー。日本人会TCM講座講師。
英語の記事を編集部にて日本語に翻訳いたしました。
英文のオリジナルの記事はウェブサイトにて掲載中。
