ドクターからの手紙 「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症後遺症、通称「コロナ後遺症」と上咽頭擦過療法、Bスポット療法について知ろう」(11月号 2023年)
01 Nov 2023
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症後遺症、通称「コロナ後遺症」について、さまざまな症状を自覚し受診される方が増えています。この記事では、コロナ後遺症とその治療法の一つである上咽頭擦過療法、Bスポット療法について紹介します。
●コロナ後遺症とは?
一般的に、コロナ後遺症とは、新型コロナウイルス感染後に継続、再発、あるいは新たに現れる健康障害のことを指します。これには、発症から3か月経過しても8週間以上症状が続く場合や、感染時に無症状だった方にも後遺症として症状が現れるケースが含まれます。全身のあらゆる臓器に影響を及ぼすため、さまざまな症状が発生することが特徴です。
●主な症状とは?
コロナ後遺症の症状は多岐にわたります。代表的なものとしては、発熱、倦怠感、喀痰(痰が多い)、息苦しさ、動悸、頭痛、思考力・集中力低下、脱毛、嗅覚障害(匂いが分からない)、味覚障害(味がわかりにくい)、関節痛、筋肉痛、食欲不振、不眠などが挙げられます。特に倦怠感、思考力・集中力低下、軽い活動後の激しいだるさ、不眠、頭痛、息苦しさが多く報告されています。
●コロナ後遺症の日本での疫学
新型コロナウイルスに感染した4人に1人は半年後も何らかの症状が持続していると報告されています。感染から1年後でも11人に1人が何らかの症状を訴えています(ワクチンを投与する前のデータ)。特に、女性(68%)や肺炎に罹患した、重症だった、急性期に多くの症状が出現した方々にコロナ後遺症が出やすい傾向が見られます。入院加療を受けていない方々や軽症の患者さんでも後遺症が続くことがあり、ワクチン接種を受けていても後遺症が生じることがあるとの報告があります。
●コロナ後遺症の年齢層は?
30〜40歳台の働き盛りの方に多く見られます(コロナ後遺症 年齢中央値 45歳前後)。後遺症による影響で半数以上の方が仕事を休職したり、転職を余儀なくされたり、仕事に制限が生じたりしているというデータもあります。働き盛りの方に多く見られることから、社会的にも大きな問題となっています。
●コロナ後遺症に対するワクチンの効果は?
ワクチン2回接種で後遺症が15%低減するとされていますが、ワクチンを接種していても後遺症が生じることがあります。
●コロナ後遺症のメカニズムは?
現在はまだ不明です。
●注目されているコロナ後遺症治療のひとつBスポット療法/上咽
頭擦過療法とは?
Bスポット療法/上咽頭擦過療法は、1960年代に慢性上咽頭炎への治療法として提唱されたものです。のどの最上部に位置する上咽頭に、塩化亜鉛やルゴール液といった炎症を軽減する効果のある薬剤を綿糸で擦過・塗布する治療法です。以前は慢性上咽頭炎(後鼻漏、咽頭痛、咽頭違和感、後鼻漏、慢性咳嗽、頭痛、耳鳴り、耳閉感)に対して行われていましたが、コロナ感染後遺症に対しても効果があると報じられています。
●最近注目されている理由は?
Bスポット療法/上咽頭擦過療法がコロナ感染後遺症に対して有効だという報道があり、一般的にも注目を集めています。いくつか論文でその効果が認められており、上咽頭炎が見られる場合には後鼻漏や咽頭違和感、倦怠感、頭痛、集中力低下の改善に効果があると報告されています。治療の開始は早ければ早いほど効果が期待されます。
●Bスポット療法/上咽頭擦過療法の注意点
すべてのコロナ後遺症のある方に効果があるわけではなく、処置後に上咽頭(のどの最上部)に痛みを感じたり、症状が一時的に強くなることもまれにあります。
●まとめ
コロナ後遺症は、感染を乗り越えた後も症状が持続することで悩まされる方が多いです。適切な治療法を見つけることが、早期回復への一歩となるでしょう。医師の指導のもと、上咽頭擦過療法やBスポット療法を含むさまざまな選択肢を検討し、健康な日々を取り戻すことを願っています。
コロナ後遺症でお悩みの方やBスポット療法/上咽頭擦過療法に興味のある方は、お問い合わせください。要望が多ければ、当院でも導入を検討していきます。