aboutus-banner

喰いだおれ in Singapore 第7回目 アレクサンドラ・ビレッジ・フードセンター: バクテー、キャロット ケーキ(4月号)2022年

29 Mar 2022

kuidaore_oct_2021_11.jpg (783 KB)


 


「喰いだおれ in Singapore」


 第7回目は、『喰いだおれ in Singapore』に1番目と2番目に掲載されているホーカー料理をご紹介します。アレクサンドラ・ビレッジ・フードセンターで取材させていただきました。(取材日:2021年12月30日)


kuidaore_feb2022_1.jpg (546 KB)


アレクサンドラ・ビレッジ・フードセンター(120 Bukit Merah Lane 1, Singapore 150120)


Bak Kut Teh
バクテー


バクテーとは   
 バクテー(肉骨茶)はシンガポール、マレーシアを代表するB級グルメである。ポークリブや豚の内臓をハーブ、ニンニクとクローブ、シナモン、コリアンダなどのスパイスをミックスして煮込んだ栄養豊富なスープ料理だ。


はじまり 
 19世紀、シンガポールとマレーシアがまだ英国の植民地であった頃、中国本土よりやってきた中国人(福建人)が故郷の料理にならって作り出したのがはじまりといわれている。彼らは主に港で苦力( クーリー)として働いていたが、この料理は重労働に付く前の朝食として人気であった。彼らは解体した後に残った、削ぎ落とし切れなかった肉片が付いた骨を利用したのが、「肉骨茶」の名の由来といわれている。当時は、安くて良い栄養補給源になったが、今では肉もかなりよくついた骨を使っている。
 マレーシアのバクテー発祥地は、クアラルンプール(マレーシアの首都)近郊の港町クラン(Klang)といわれ、バクテーの店が多い。             その一方でシンガポールはバクテーの発祥はわれわれの地であると主張し、発祥地を巡ってシンガポールとマレーシアとの間で論争となっている。


材料 
 豚の内臓や骨、肉を使うが、シンガポールでは骨付きリブを使うのが定番。
 シンガポールでは3種類のバクテーが見られる。福建風、潮州風、広東風である。福建風はスープが濃くて、においが強く、コクも強い。福建人は塩辛いもの好きで、バクテーも塩気がきいている。潮州風はスープがすき通っていて、味はまろやか。あくを取りながら、とろ火で長時間煮立てて、ニンニクと醤油とコショウだけで味付けする。シンガポールで一般的に食べられているのが潮州風。広東風は薬草がよくきいている。福建風に近いが、塩気が少ない。タケノコ、白菜、乾燥豆腐が加えられているのも特徴。マレーシアでは福建風と広東風が好まれている。中国茶と一緒に食べることが好まれるが、それは中国茶を飲むことで、余分な油分と脂肪分を取り除くことができると考えられているためである。


 


①諒記砂鍋當帰肉骨茶(Leon Kee Claypot Pork Rib Soup)


 注文すると、土鍋で調理され、スープがぐらぐらと煮立っているバクテーが出てきました。食べたことがあるバクテーに比べると、スープの色が濃かったのですが、味は見た目よりさっぱりしていました。ほんのり甘さもあり、何杯でも飲みたくなる美味しさでした。このお店は、シンガポールでは珍しいマレーシアスタイルのバクテーのようです。香辛料が苦手な方にもおすすめです。骨付きの豚肉はよく煮込まれていて柔らかく、甘辛いタレと小口切りのチリをつけて「味変」すると、さらに食欲が増します。ライスも注文できますが、バクテーと言えば、やはり揚げパン(油条)。スープとの相性抜群で、浸して食べると、味も食感も最高です!


kuidaore_feb2022_10.JPG (3.49 MB)
バクテー


kuidaore_feb2022_3.jpg (1.31 MB)
諒記砂鍋當帰肉骨茶(Leon Kee Claypot Pork Rib Soup)


Carrot cake
キャロット ケーキ


キャロット・ケーキとは


 英語でキャロットと言えば、ニンジンを意味するが、シンガポールでは時にレッドキャロットをニンジン、ホワイトキャロットは大根と呼ぶことがある。ニンジンと大根を混ぜ合わせて作っていたことからキャロット・ケーキと名付けられたようだ。しかし今のキャロット・ケーキは大根だけを使っているようだ。元はと言えば、安上がりの食べ物だったが、今ではシンガポール料理の代表的な一品となった。キャロット・ケーキには白と黒がある。醤油を加えて炒めるので、香ばしい香りがする。黒いキャロット・ケーキは、更にダークソースが加えられていて少し甘い。チリ入り、卵入りなどをオーダーすることができる。


はじまり  
 中国の潮州から伝わってきたものらしい。キャロット・ケーキは潮州語ではchai tow kwayと呼ばれ、潮州名で呼ばれることも多い。


材料・調味料  
 作り方は、サラダオイルにニンニクを加え、その中に干しエビを入れて炒める。火が通ったら、上新粉や片栗粉を卵で溶いたものを混ぜて、弱火で蒸し焼き状態を作る。その後、大根もちを一口大に切って油で炒めてフライパンで卵とからめる。最後に塩、コショウ、砂糖で味をととのえる。すりゴマなどをかけて、できあがり。蒸して作る大根もちよりはるかに手軽で、思い付いた時にすぐに作ることができるのが魅力である。


②菜頭粿(Fried Carrot Cake)


 「白」と「黒」のキャロットケーキを注文しました。さあ、どちらが美味しいでしょうか。『喰いだおれ in Singapore』にも書かれているように、「キャロット(人参)」と「ケーキ」という言葉からはイメージできない2品が、大きな鉄鍋で調理されて出てきました。「白」はピリ辛で、卵とのコラボが味わい深く、素材を楽しむならこちらがおすすめです。「黒」はコクがあり、黒糖の風味を感じるのですが、それが使われているかは不明。しっかりした味付けですので、ご飯のおかずにもなりそうです。どちらもネギがいい仕事をしており、「追いネギ」をしたいぐらいでした。チリソースの「味変」もお忘れなく。「白」対「黒」、5人の編集委員が選んだ「ベスト・キャロットケーキ」は…4対1で、今回は「白」に軍配が上がりました。ぜひ皆様も食べ比べてみてください。


kuidaore_feb2022_7.jpg (1.12 MB)
「黒」キャロットケーキ
kuidaore_feb2022_8.jpg (876 KB)
「白」のキャロットケーキ


kuidaore_feb2022_4.jpg (1.22 MB)


kuidaore_feb2022_6.jpg (1.22 MB)
粿(Fried Carrot Cake)


(編集の最後に)
 IKEAアレクサンドラの近くにあるこのホーカーセンターは、今回紹介したお店以外にも人気店がたくさんあります。行列ができるローストダックやアボカドジュース、人気のある種類は完売してしまうマフィンなど、何度行っても飽きないラインナップです。そして、そのどれもがリーズナブル。皆様もぜひおなかをペコペコにして、行ってみてください。


文責・写真 南十字星編集委員
<日本人学校小学部クレメンティ校教諭>
越智建喜、山根香奈子、遠藤つぶら、永地志乃、前島祐太


史蹟史料部発行の冊子『喰いだおれ in Singapore』(クラブショップで販売中)に掲載されているローカルフードの説明文を引用しております。





 


 

喰いだおれ in Singapore 第7回目 バクテー、キャロット ケーキ(4月号)2022年