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喰いだおれ in Singapore 第4回目 オールド・エアポート・ロード・フードセンター:プロウン ミーとホッケン ミー (1月号)2022年

01 Jan 2022

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「喰いだおれ in Singapore」


 


 南十字星編集委員がローカルレストランやホーカーをめぐり、実食し、感想を詳しくレポートしてまいります。


 第4回目は、オールド・エアポート・ロード・フードセンターの 「プロウン ミー」と「ホッケン ミー」をご紹介します。(取材日:2021年10月9日)


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オールド・エアポート・ロード・フードセンターの外観


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オールド・エアポート・ロード・フードセンターの中


 


Prawn Mee


プロウン ミー


プロウン・ミーとは


 注文時に「スープ」か「ドライ」かを選ぶ。「スープ」は汁の中に麵があるもので「ドライ」は麺にタレと具がからめてあり、脇にスープを添えて出される。麺はコシのあるタイプではなく、やわらかめである。戦後のシンガポールでは、ホッケンストリートで作られていたため、Hokkien Prawn Noodle Soupという名も得た。


はじまり 


 多くのプロウンミーの歴史をひもとくと、シンガポールには1880年代に、中国福建省厦門から伝わってきたとある。干しエビと干し貝柱を8時間以上煮込んでとったダシをベースに作ったスープに、ホッケンミー(チャンポンに使うような黄色い麺)を入れた料理である。日本流に言えば「エビラーメン」といったところか。


材料・調味料 


 麺は、イエロー・ミー(中華麺)、バンミー(きしめん)、ビーフンなどを使う。具は、エビ、モヤシ、排骨、揚げたニンニクなどが入っている。


①亜峇街蝦面(Albert Street Prawn Noodle)


 エビと麺が2つに分けられています。それぞれにスープが入っているビッグ・プロウン・ミー。どちらのスープもエビから出ただしのうまみが味わえます。麵の方のつゆは、より煮込んだ深い味わいがあります。エビの入ったつゆは、海鮮風のエビの風味が感じられる味が出ています。大エビが何尾も入ったこのメニュー、十分エビのおいしさを堪能させるものでした。


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②威利大蝦面(Whitley RD Big Prawn Noodle)


シンガポール・ホーカー・マスターの受賞歴もある1970年創業のお店。豚骨を3時間煮込んだスープをベースにしてありますが、豚骨特有の臭みは感じられず、日本人の口に合う優しい味わい。エビの風味もしっかり感じられました。


 大きめの殻付きエビを半分に割り、食べやすくなっているところも、店主のこだわりを感じます。だしがきいたスープに麺が絡み、お箸もレンゲも止まりません。


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Hokkien Mee


ホッケン ミー


ホッケン・ミーとは


 中国の福建省に起源を持つシンガポール、マレーシアの代表的な焼きそば。麺にとき卵、豚肉、エビ、イカ、モヤシなどを入れて、だし汁をたっぷり含ませて炒める。サンバル・ブラチャン(エビを発酵させた調味料)とライムが添えられている。


 


はじまり 


 シンガポールには福建省出身の華人が多く住んでいる。長い文化交流の時間を経て少しずつ伝えられたといわれている。福建省で小麦粉の炒め麺というと、油で一度揚げてから煮戻す手法が使われる。そのほかにもいったん麺だけを炒めて甘めの下味を付け、次に具を炒めて、水溶き片栗粉で餡にしたあと、麺を再投入する焼きそばもある。シンガポールでは、店によって手法が違う。 


 


材料・調味料 


 シンガポールのホッケン・ミーは米麵と卵麵をミックスしている。また、具材としてエビ、モヤシ、イカなどが入っている。それらの具材にサンバルブラチャンを入れラードで炒める。海鮮のうま味、野菜の甘みが麵にしみこみ、絶妙な味わいとなる。食べる際は、ライムに似たlimau purut(リマウプルッ)と呼ばれるコブミカンの汁をかけて食べる。


 


③福建炒蝦面(Yi Ji Fried Hokkien Prawn Mee)


 黄麺と米粉麺2種類の麺と、えび、あわび、3時間ほど煮込んだ特製豚骨スープなどを絡めて炒め、ほっかほか。ニンニクがピリッと効いていて食欲をそそります。お好みでライムを搾ったり、添えてあるサンバルを加えたりして味の変化も楽しめます。


 右上の写真に写っているのは店主のDinoさん。卵を溶いて先に炒めたあと、麺と具材を合わせていくのが美味しくなるコツと教えて下さいました。リズミカルに鍋を振り、お客様をお待たせしないように素早く調理をしているのだそうです。


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④南星福建炒蝦面(Nam Sing Hokkien Fried Mee)


 オーチャードにも支店を持つ1960年創業の名店。ビーフンと黄色麺の2種類が混ぜ合わせてあり、口に入れた時のふわっとした食感が印象的です。イカとエビのプリプリ感と、もやしのシャキシャキ感が、二口三口と箸を進めさせます。ライムと唐辛子でまた違った味わいも!酸っぱ辛い風味と、後半ソースと絡んでトロっとしてくる麺が最後まで美味しかったです。


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(編集の最後に)


 1973年にオープンしたこのホーカーセンターは、シンガポールで最も古いホーカーの1つであり、シンガポール5大ホーカーセンターの1つでもあります。シンガポールを代表するホーカーフードの名店ぞろい。まだまだ食べたいお店がありますが…ぜひ、皆さんも足を運んでみてください。


 いにしえの空港を脳裏に浮かべながら、今のシンガポール料理をぜひご堪能下さい。


 


文責・写真 南十字星編集委員


<日本人学校小学部チャンギ校教諭>


石黒茂、福島理恵、一木洋子


 


史蹟史料部発行の冊子『喰いだおれ in Singapore』(クラブショップで販売中)に掲載されているローカルフードの説明文を引用しております。


 

喰いだおれ in Singapore 第4回目  オールド・エアポート・ロード・フードセンター:プロウン ミーとホッケン ミー (1月号)2022年