喰いだおれ in Singapore 第1回目 マックスウェル・フードセンター: ハイナニーズ チキン ライス (10月号)2021年
30 Sep 2021
「喰いだおれ in Singapore」
今年2月に実施しました「南十字星読者アンケート」で、皆様から、シンガポールのグルメ、歴史、豆知識、文化などの情報がもっと欲しいというご意見をたくさん頂戴しました。
それにお応えして、シンガポールのローカルフードをご紹介する「喰いだおれ in Singapore」を企画いたしました。
南十字星編集委員がローカルレストランやホーカーをめぐり、実食し、感想を詳しくレポートして参ります。
第1回目の今回は「チキンライス(海南鶏飯)」 。
マックスウェル・フードセンターに行って、4店舗の「チキンライス」を食べてきました。(取材日 2021年8月19日)
Hainanese Chicken Rice
ハイナニーズ チキン ライス
本企画は、史蹟史料部発行の冊子『喰いだおれ in Singapore』(クラブショップで販売中)に掲載されているローカルフードの説明文を引用しております。
◉ チキン・ライスとは
茹でた鶏と、その汁で炊いたご飯を一緒に盛り付けた料理。シンガポールだけでなく、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、カンボジアなど東南アジアの多くの地域で一般的な料理である。海南島から伝わったということで、シンガポールでは「海南風(ハイナニーズ)チキン・ライス」ということも多い。通常スープと一緒に出される。シンガポールで最も人気の高いホーカー料理の一つ。
各地で呼び名が異なり、
・マレーシア、インドネシア…「ナシ・アヤム」
・タイ…「カオマンガイ」
・ベトナム…「コムガー」
・カンボジア…「バーイアモン」
などと呼ばれている。それぞれの地域で、味付けやご飯の盛り付け方、薬味などに違いも見られる。例えば、マレーシアではボール状のご飯が出される店が多い。
◉ はじまり
海南島の伝統料理「文昌鶏」(ウェンチャンジー)が起源と言われている。
文昌鶏とは、鶏を丸ごと蒸して、塩、油、おろしショウガなどを合わせたタレで食べる料理である。
このチキン・ライスを、海南島出身者がシンガポールをはじめ東南アジア各地に伝えていったとされているが、海南島のチキン・ライスとは大きく変貌した。シンガポール人の友人が海南島を旅行した折り、本場のハイナニーズ・チキン・ライスを食べようと注文したら、シンガポールのものとは似ても似つかないチキン・ライスが出てきたそうだ。
ちなみに海南島とは、中国南部にある中国最大の島である。
◉ 材料・調味料
鶏肉を、ニンニク、ショウガ、ニンニクの芽、小タマネギを炒めた油などを入れた水で茹でる。さらにその茹で汁を使って、油で炒めた米を炊く。
これに、キュウリやトマトなどの野菜が添えられることもある。
薬味として、チリソース、ダークソース、ショウガなどがある。店によって薬味の種類が異なり、特にチリソースは、店により味がずいぶん違う。作り手のこだわりが感じられる。
マックスウェル・フードセンターの中
Maxwell Food Centre (1 Kadayanallur St, Singapore 069184)
マックスウェル・フードセンターの外観
天天海南鶏飯(Tian Tian Hainanese Chicken Rice)
ミシュランにも掲載されたことのある有名店。
チキンは、お肉がとってもしっかりしていて、柔らかいのに歯応えもあり。とにかく肉が美味しく、洗練された感じ。ダシの効いているご飯との相性も抜群。安いのにこんなにいいお肉が食べられるなんて!と幸せ気分になれる。独特の味があり、何とも言えない風味。何種類も食べ比べてみて、やっぱり天天が美味しいのかな、という結論に至りました。
阿仔海南鶏飯(Ah Tai Hainanese Chicken Rice)
「天天海南鶏飯」から独立した料理人のお店。味は、「天天海南鶏飯」とかなり似ていました。お肉がふっくらいしていて、ボリュームがあり、食べ応えがありました。ソースと鶏肉・香りの良いご飯との相性も良かったです。スープは、ここのお店が一番美味しかったです。
興興海南鶏飯(Heng Heng Hainanese Chicken Rice)
鶏肉の蒸し具合が絶妙でした。
脂身がぷるぷるで、肉がしっとりしていて美味しく、ご飯によく合っていました。上からかかっているソースにコクがあり、チキンときゅうりの相性も抜群。南十字星編集委員のメンバーの中では人気ナンバーワン。
宏香鶏飯(Hong Xiang Hainanese Chicken Rice)
ご飯にしっかり味がついていて、他の店とは違う感じが楽しめました。煮卵にも味が染み込んでいて美味しかったです。ほんのちょっとのパクチーが、いい風味を出しています。
コロナ禍で、ホーカーでは、同じテーブルに2人ずつしか一緒に座ることができず、厳しい状況での取材となりましたが、一カ所で、こんなにたくさんの種類のチキンライスを食べ比べできるなんて!と嬉しい気持ちになるホーカーでした。
マックスウェル・フードセンターには、6店舗チキンライスのお店があります。ぜひ皆様もチキンライスの食べ比べをしてみてください。
文責・写真:南十字星編集委員
<日本人学校小学部クレメンティ校教諭>
越智建喜、山根香奈子、遠藤つぶら、永地志乃、前島祐太
<広報部部長>紅林真由美