aboutus-banner

番外編 喰いだおれ in Singapore 第13回目 「レストラン茜のランチ」(11月号)2022年

31 Oct 2022

kuidaore_oct_2021_11.jpg (783 KB)


 


番外編「喰いだおれ in Singapore」


南十字星編集委員がローカルレストランやホーカーをめぐり、レポートする本企画。第13回は番外編として、レストラン茜のランチをご紹介します。


「茜ランチ


 『南十字星』が届いたら、必ず「茜」と「どんぐり」のページをチェックします…という方も多いのではないでしょうか。かく言う私もその一人。「うわぁ、お鍋美味しそう!」「日本は鮎の季節なんだなぁ。」と、メニューを見ながら、気分が盛り上がります。常夏の国で、日本の四季を感じることができるのも嬉しいですよね。


 シンガポールには、日本食が食べられるお店がたくさんありますが、味も雰囲気も「極上の日本」と言って過言ではないのが「茜」ではないでしょうか。そんな「茜」がリニューアルオープンされたとのことで、茜ファンの私はわくわくしながら、ランチをいただきに行きました。


 私は「ランチコース」を、友人は「天麩羅ランチコース」を注文。待っている間に、ゴージャスな装丁(ランチは銀、ディナーは金)のメニューを熟読。「国産牛 焼肉丼」「特選蟹ちらし」「小豆島オリーブそうめん」などの料理名に心躍ります。(次回は、これを注文しよう。)と考えているところに、前菜が届きました。


 私の「小鉢3種」は、なまこ・甘海老・バイ貝・銀杏・薩摩芋・蒲鉾の金山寺味噌のせ。友人の「前菜3種」は、海老・子持ち昆布・枝豆・銀杏。どちらも「3種」ではありません笑。そして、どちらも見た目が美しく、美味しそうです。あしらわれた紅葉から日本の秋を感じます。まずは来星後初のなまこから。歯ごたえ抜群。バイ貝は噛むほどに味が染み出てきます。銀杏のほろ苦さ、薩摩芋の柔らかい甘さにはほっこりしました。金山寺味噌はご飯にも合いそう。クラブショップで売ってほしい!前菜から、ランチであることを忘れるほどのクオリティの高さに興奮です。


 続いて、「季節のお刺身」。サーモン・まぐろ・かんぱちという定番のお刺身に、生蛸も。どれも新鮮で、脂がのっています。蛸は、弾力があって、茹蛸では味わえない甘さが口の中に広がります。付け合わせの海藻の塩加減と食感もよく、こういう細かいところが丁寧なのも「茜」の魅力だなぁと感心しきり。


kuidaore13_image_kobachi.jpeg (171 KB)


 


 私のコースの「焼き物」は銀鱈の幽庵焼きでした。味醂や醬油などの旨味がいい感じで濃縮された身をほろほろとほぐしながら食べると…これは、ご飯か日本酒がベストマッチですね。パリッと焼かれた皮も美味。箸休めのお漬物と、彩が可愛いヤマモモが、銀鱈の味と見た目を引き立てていました。


kuidaore13_image_yakimono.jpeg (87 KB)


 友人の「天麩羅」は7品もあるので、2つのお皿に分けて提供されていました。海老・いちじく・栗・舞茸・とうもろこし・鱧・海老の頭。何とも美味しそうです。私が特に気になったのが、海老の頭(と言うか、脚)。居酒屋定番のとうもろこしの天麩羅とともに、絶対美味しい一品です。


kuidaore13_image_tempra.jpeg (109 KB)


 私の「季節の天麩羅」は、稚鮎・大黒しめじ・モロッコいんげんに、なんと胡麻豆腐。人生初となる「胡麻豆腐の天麩羅」を柚味噌トッピングでいただきました。なるほど!胡麻豆腐の柔らかさと吸収力が衣とマッチしています。柚味噌もいい仕事をしていて、これは天麩羅定番メニューになってほしい美味しさです。稚鮎の味わい深い苦味と、間違いない美味しさのしめじと共に、「え?モロッコいんげんって、こんなに美味しいの?」という意外な発見もあり、美味しくて楽しい一皿でした。天つゆだけでなく、藻塩でもいただけるのも嬉しいです。


 そして、「ご飯もの」の登場です!お店の方から「焼きいなり」と聞いたときには、聞き返してしまいました。「いなりずしを焼いている?」どうやら、石川県の名物らしいです。それに、蟹・うに・いくらがトッピングされていて、華やかな一品です。味も華やか。海の幸の美味しさが、いなりずしの甘さと絶妙にマッチしていて、このコースのクライマックスにふさわしい贅沢な「ご飯もの」でした。味噌汁も出汁が効いていて、染みる美味しさ。やはり日本食はいいなぁと、しみじみ…。


kuidaore13_image_main.jpeg (138 KB)


 友人は「冷越前そばとかき揚げ」。ツヤツヤのお蕎麦とカリカリのかき揚げは、最高のハーモニーだろうなぁ…と、食さずとも分かりました(実は、デリバリーで何度も注文したことがあるほど、私は茜の「冷越前そば」のファンなのです)。


 デザートまでパーフェクトでした。枝豆のお餅の甘さとラズベリーシャーベットの甘酸っぱさ、そして、みかん大福のシロップ漬けのとろりとした甘さが、別腹をも満たしてくれました。


 これで、78ドルです!!おなかも心も満たされて、その日は夜まで幸せな気分に浸ることができました。


 「特別な日の茜」と私は捉えていましたが、もっと「普段使い」できますね。あ、土曜日のお昼に行きましたが、テーブルは予約でいっぱいでしたので、早目のご予約をおすすめいたします。次は、リニューアルされた個室も利用したいです。茜、最高!!


kuidaore13_image_dessart.jpeg (47 KB)


文責 南十字星編集委員/日本人学校小学部クレメンティ校教諭 永地志乃


写真 日本人会


 

番外編 喰いだおれ in Singapore 第13回目 「レストラン茜のランチ」(11月号)2022年