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喰いだおれ in Singapore 第10回目 イースト・コースト・ラグーン・フード・ビレッジ: チャー・クエ・ティアオ、オイスター・オムレツ(8月号)2022年

28 Jul 2022

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「喰いだおれ in Singapore」


 


記念すべき第10回は、シンガポール在住のミュージシャンであるLeslie Tanさんに案内していただいたイースト・コースト・ラグーン・フード・ビレッジで、「チャー・クエ・ティアオ」と「オイスター・オムレツ」をご紹介します。(取材日:2022年5月26日・28日)


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イースト・コースト・ラグーン・フード・ビレッジの外観
(1220 ECP, Singapore 468960)


 


Char Kway Teow 
チャー・クエ・ティアオ


チャー・クエ・ティアオとは


チャーは福建語で炒めるの意、クエ・ティアオは幅広の米粉(米からできる麺)の名である。


 シンガポールのみならずマレーシア、インドネシア、ブルネイで人気の食べ物である。


 米粉は東南アジアでよく食べられているが、元々は福建省や広東省でよく食べられていた食材だそうである。


 


はじまり 


 多くのシンガポールフードと同様に、福建省や広東省から当地にやってきた、苦力(クーリー)のお腹を少しでも安く満たすために考案されたのではないかと考えられる。チャー・クエ・ティアオはラードを使って炒めるため、油っこく、不健康だという人もいる。しかし当時は、たくさんのエネルギーを安くとることができるので、労働者に好んで食べられていた。


 初期は、漁師や農家が副業としてチャー・クエ・ティアオを売っていたそうである。元々は具の数も少なく、おなかを満たすだけの食べ物のようだったが、時を経るごとにいろいろな具材が加えられ、おいしくなっていったようである。そして今では、有名なペナン・スタイルのものをはじめ、シンガポール・スタイルのものなどいろいろなバリエーションがある。


 


材料 


 作り方はいたってシンプルで、日本の焼きそばと同じような感じである。味付けには、ダークソース、ニンニク、チリなどを使う。具材としては、モヤシ、チャイニーズソーセージ、エビ、ニラ、卵などがある。チャー・クエ・ティアオの店にいくと、大量の卵が積んであるのが印象的である。風味付けに、ライムが添えられることが多い。


 


① 春香(Choon Hiang)


 見た目は、日本の焼きそば。細麺と中太平麺を細かくしたものが入っています。この平麺、見た目はフェットチーネに似ているのですが、弾力があって歯触りも抜群でした。ソースベースのしっかりとした味。添えられていたライムをかけることでさっぱりした味わいとなり、いくらでも食べられそうでした。
 具材も色々入っているのですが、味の決め手は何と言っても貝です。Leslieさんによると、この貝はcockleという二枚貝だそうです。これに似た貝が日本にあるかどうか分かりませんが、cockleの写真を見た感じと食感が赤貝に似ているように思いました。この貝の味が麺にも絡み、何度もリピートしたくなる美味しさでした。
 Leslieさんのお話では、“Wok Hei”と呼ばれる「鉄の中華鍋によるスモーキーな香り」が、この料理では感じられるそうです。残念ながら私たちにはその香りは分かりませんでしたが、いつかその香りも含めて、この料理を味わってみたいです。


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チャー・クエ・ティアオ


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春香(Choon Hiang)


 


Oyster Omelette
オイスター・オムレツ


オイスター・オムレツとは


 オイスター・オムレツとは、牡蠣と卵を焼いたオムレツのこと。シンガポールでは、「Oh Luak」や「O Chian」とも呼ばれ、ホーカーでよく見かける人気の料理である。


 


材料・調味料 


 溶き卵、牡蠣、ネギのみじん切り、ニンニクが主な材料。片栗粉でふわふわとさせる。醤油で味をつけ、上にパクチーをのせるところや、チリソースを添えるところもある。


 


② 松記蚝煎(Song Kee Fried Oyster)


 夜に取材に行ったときは、行列ができていました。ごろごろと入った牡蠣は程よくレアで、牡蠣のミルキーさが味わえます。牡蠣と卵との相性が抜群。牡蠣の旨味が染み込んだ卵は、ご飯と一緒に食べたくなりました。上にのったパクチーがこの料理の味を引き締めます。添えられたチリソースで味変もでき、飽きることなく最後まで味わうことができました。いくつかのホーカーでオイスター・オムレツを食べたことがありますが、ここのオイスター・オムレツは一食の価値あり。行列に納得です。


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オイスター・オムレツ
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松記蚝煎(Song Kee Fried Oyster)


 


【編集後記】


 「シンガポールでおすすめのホーカーセンターは?」と質問すると、多くの人から「イースト・コースト・ラグーン・フード・ビレッジ」という回答をもらいました。今回取材した編集委員の5名は、このホーカー初体験。開放的な雰囲気の良さも素敵ですが、ビーチに面しているロケーションが何といっても最高でした。お昼に取材したときは暑くて、人もまばらでしたが、夜は空席を見つけるのが大変なほど賑わっていました。海を見ながらホーカー料理を味わう…シンガポールならではの贅沢なひとときです。


 今回、快く取材に協力してくださったLeslieさんに心から感謝します。Leslieさんは、Red Dot Baroqueなどのグループで活躍されているチェロ奏者。アートマネジメントの経験がある編集委員が一押しするミュージシャンです。8月末にコンサートがあるそうですので、ホームページをチェックしてみてください。


Red Dot Baroque  https://www.reddotbaroque.com/


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イースト・コーストのビーチ


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Leslie Tanさん


 


文責・写真 南十字星編集委員
<日本人学校小学部クレメンティ校教諭>前島祐太、田端真侑、田原口和華子、ルイーズきよ子、永地志乃


史蹟史料部発行の冊子『喰いだおれ in Singapore』(クラブショップで販売中)に掲載されているローカルフードの説明文を引用しております。


 


 

喰いだおれ in Singapore 第10回目 イースト・コースト・ラグーン・フード・ビレッジ: チャー・クエ・ティアオ、オイスター・オムレツ(8月号)2022年