ハロー日本人学校 「シンガポール日本人学校やシンガポール日本人学校小学部クレメンティ校の歩み」(4月号2025年)
01 Apr 2025
シンガポール日本人学校やシンガポール日本人学校小学部クレメンティ校の歩み
ご挨拶
南十字星創刊60周年記念号に向けた学校紹介に向けて、一言ご挨拶をさせて頂きます。
シンガポール日本人学校クレメンティ校は、今年の入学式が第60回となります。シンガポール日本人学校として発足したのは1966年、その頃はまだ、中学部やチャンギ校は分かれておらず、教員3名、児童数が27名で学級数が3学級のスタートだったといいます。そこから数えること、今年が60回目の入学式そして年度末の卒業式になります。本校はまさに、南十字星の歴史と重なります。現在、クレメンティ校の校舎が建っている場所に学校が移ってきたのは、50年前のことです。当時は現在A・B・Cと3棟ある校舎も、1棟しかなかったようです。そこから児童生徒の数がどんどんと増え、中学部棟が増設されましたがそれでも間に合わず、中学部は分かれて別の校舎(ウエストコースト)に移りました。さらに小学部の児童数も増えていき、あらたにチャンギ校が分かれて現在の3校体制となり、クレメンティ校はその一つとして現在に至ります。
伝統のある校舎で、多くの子どもたちが今日も楽しく学んでいます。校舎内には、卒業生が記念品として残してくれたものが、いたるところにあります。校歌のパネルや校章のレリーフなど、これまでの在校生が培ってきた伝統を感じることができます。
1年生から6年生までの素直で明るい子どもたちは、総勢700名を越えます。日本の教育課程に基づいたカリキュラムのもと、基礎・基本を重視した教育を進めつつも、ICTを活用した学習(プログラミング学習を含む)など、新たな課題も取り入れています。もちろん、英語教育にも力を入れており、実際の英語を活用するための現地校交流をはじめとした国際理解教育も含め、子どもたちに幅広い力を身につけてもらえるように、教職員は日々教育活動に励んでいます。
子どもたちには、伝統を大切にしつつも、これから自分たちが歩む未来に向かって、大きな夢をもって、進んでほしいと思います。そのことは、シンガポール日本人学校のめざす教育「豊かな国際感覚をもち 世界の人々と つながろうとする人材の育成」にも表れています。そして日々の教育の中で、クレメンティ校の教育目標「夢をもち 夢を育み 夢を叶える教育実践」「希望の登校、満足の下校」を積み重ねていくことで、このシンガポールの地において、真の国際感覚をもって子どもたちが巣立っていくことを祈念しています。そのためにも、今後もクレメンティ校の教育をさらに充実·発展を続けていくことができればと思っております。
クレメンティ校 校長 島田道雄
シンガポール日本人会の会報誌「南十字星」が創刊60周年を迎えられたことを心よりお祝い申し上げます。長きにわたり続いてきたその歩みに、深く敬意を表します。
南十字星は1965年から創刊されていますが、シンガポール日本人学校はその翌年の1966年に開校し、1976年にクレメンティ校がスタートしました。来年、シンガポール日本人学校は60周年を迎え、クレメンティ校の校舎も設立50周年を迎えます。この貴重な節目の機会にあたり、シンガポール日本人学校やクレメンティ校の歩みを振り返る機会として、是非ご一読いただければ幸いです。
1966年〜 ダルベイエステート校時代
今から約60年前に最初の日本人学校が開校しました。
校舎は小さな民家を改造して、児童27名、教員3名でスタートしました。
1つの教室で2学年が一緒に勉強していました。初年度は児童2名が卒業しました。日本人墓地の清掃奉仕を始め、現在も守り続けています。
1968年〜 スイスコテージ校時代
児童数が72名と爆発的に増え、小さい校舎では間に合わなくなりました。そのため、スイスコテージの新校舎に移転しました。
1969年3月に文集「やし」第一号を発行し、現在も続けられています。
1970年に中学部が開校しました。
1971年 ウエストコースト校時代
児童生徒数が171名に達し、ウエストコーストに学校が移転しました。
校舎や校庭が一気に広くなり、今までになかった家庭科室や図書館などの特別教室ができました。
周囲にはカンポンと呼ばれる集落があり、のどかな環境で子どもたちはマレー語の歌も習っていました。
1976年〜 クレメンティ校時代
児童生徒数が715名に達し、シンガポール日本人会を中心にして多くの企業の方、日本政府の援助でクレメンティ校に新校舎が完成しました。
体育館・プール・運動場・放送室がある日本の一般的な学校になりました。以後、在籍数は増加の一途を辿り、1984年には児童生徒数が2,000名を超えました。
増築に増築を重ねた結果が、現在のクレメンティ校となっており、迷路のような校舎となっています。
現在は中学部校舎とチャンギ校舎(小学部)と三校体制で、日本人学校を運営しており、クレメンティ校(小学部)には約700名の児童が通っています。
クレメンティ校の歩みを支え続けている学校職員にインタビュー
シンガポール日本人学校
事務局主事
Violet Lauさん
✿プロフィール✿
1995年(平成7年)より事務局職員として勤務し、現在に至るまで日本人学校を支え続けている。
—1995年から約30年間クレメンティ校を支えてこられましたが、これまでに大きく変わったことはありますか。
Violetさん 勤務を始めた当初、最も印象的だったのは児童数の多さです。小学生だけで2,000名を超えていました。 1995(平成7)年の4月にはチャンギ校舎が新設され、小学1年生から4年生はクレメンティ校、小学5・6年生はチャンギ校へと移りました。当時はマレーシアのジョホール日本人学校がまだ開校していなかったため、ジョホールやチャンギを含む各方面から多くの児童が通学していました。
現在、スクールバスは20数台運行していますが、当時はその倍の40数台が稼働しており、バス会社も現在のように1社ではなく、約7社に運行を依頼していました。
また、時代の流れとともに学習環境も大きく変化しました。特にICT教育の進展は顕著で、Chromebook(クロームブック)などのICT機器が導入され、授業のスタイルも大きく変わったと感じています。
—クレメンティ校で印象深い出来事や節目はありましたか。
Violetさん コロナが初めて流行した際は、非常に大変でした。現在のようにe-learningの環境が整っていなかったため、オンライン学習の準備や調整に追われました。特に、その年のICT担当教員のご苦労は相当なものだったと思います。また、シンガポール日本人学校の40周年や50周年を迎えた際には、記念冊子の制作に携わりました。多くの関係者と調整を重ねながら進めたため、完成までに時間がかかりましたが、大きな節目に記録を残せたことは貴重な経験でした。
さらに、クレメンティ校は歴史ある校舎のため、改装工事やメンテナンスの調整も欠かせません。長年にわたり多くの児童が学ぶ場として維持していくために、こうした管理業務の重要性も改めて感じています。
—今も変わらないことはなんですか。
Violetさん シンガポールにいながら、日本の教科書を使用し、日本の教育を受けられる教育システムは、これまでと変わらず大切に守られています。
また、日本の文化や、日本人の親切さ、礼儀正しさも変わりません。学校の中でも、児童同士はもちろん、先生や保護者との関わりを通じて、そうした日本の良き習慣や価値観が自然と受け継がれていると感じます。
シンガポール日本人学校
クレメンティ校英語科教員
Ann先生
—What made you stay and work at Japanese School Clementi Campus for over 20 years? What do you enjoy about working here?
—20年以上クレメンティ校で働き続ける理由は何ですか。クレメンティ校の魅力について教えてください。
Ann先生 The working hours at the Japanese School is shorter than the local schools in Singapore.
When I joined the School, I had two very young children then. I could go home earlier to spend time with them. I have always enjoyed the interactions with all the teachers and students. We get to learn and respect the different cultures in our school.
—In your 24 years of working here, what has been your most memorable experience?
—24年間勤める中で、最も印象に残っていることは何ですか。
Ann先生 Each day is different. Each day is memorable. It’s very hard to pick one.
—When teaching English to Japanese people, what are you mindful of?
—私たち日本人に英語を教えるときに、意識されていることは何ですか?
Ann先生 All teachers are giving classes for children to experience various different cultures such as Christmas, Chinese New Year, Deepavali, Halloween, Hari Raya, etc. Thank you so much all the students look forward to the English classes.
〇クレ校の良いところはどこですか?
・教室がきれい。
・転入生にみんなが優しい。
・英語のクラスが分かれていて、勉強がしやすい。
・昼休みが楽しい。
・屋上がある。(行ってみたい!)
・先生が優しい。
・子どもの人数が多くて良い。
・真面目な人が多い。
・チャンギ校と交流できる。(小学校が2つある!)
・みんなが挨拶できる。
・シンガポールの学校と英語を使って交流ができる。
・みんな話しやすいからすぐに仲良くなれる。
〇クレ校で好きな場所はありますか?
文責・画像:
シンガポール日本人学校小学部クレメンティ校教諭
宇野静、長谷川郁貴、川崎有希、上田玖美
