編集室より(6月号)2025年
01 Jun 2025
「建国60年」人間で言えば、還暦の年です。誰かに聞いた話(正確かどうかが不安…)ですが、私たちが生活する中で目にする高木は、ほぼすべてがシンガポールの都市計画の中で、一度切り倒されたのちに意図的に植えられたものだそうです。East Coast地区にあっては未だに、新規の道路整備などが目に付きますが、むき出しになった土の上に、子供の背丈くらいの若木が植えられているのを見ると、かつてはシンガポールのいたるところでこのような光景が見られたのでしょう。
独立当時、リー・クアンユー首相が熱帯の強い陽射しや高い湿度、突然のスコールなど、少しでも暮らしにくさを和らげようと“ガーデンシティ”を標榜し、強力にその政策を推し進めたことは有名です。現在は、緑の豊かさが観光の目玉の一つとなっているシンガポールですが、当時の国民はもちろん、主導する政府も不安だったのではないでしょうか。今では、ボタニックガーデンやガーデンズバイザベイだけでなく、毎日車窓から目にする街路樹や町中のいたるところで花々が鮮やかに咲き誇っています。そんなシンガポールの地に暮らせることを幸せに感じているのは私だけでしょうか。
緑豊かな都市は世界中にあまたありますが、シンガポールの緑の豊かさは世界の諸都市の中でも群を抜いていると思います。建国後60年が経過し、建国の父リー・クアンユー元首相が独立時に描いた青写真が、現実のものとなってきています。今年の8月9日は私たち日本人も、建国時の先人たちの苦労に思いを馳せながら、シンガポールの歩みを祝福したいものです。
(シンガポール日本人学校小学部チャンギ校 編集部 土田 昇)
