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編集室より(6月号)2024年

20 May 2024

 


 


 


 日本では新緑の季節、歩道脇に植えられたツツジやサツキの赤やピンク、公園の棚に咲く藤の薄紫に心を癒される時期です。ツツジや藤には出会えませんが、この4月にチャンギ校に着任した私にとって、常夏の地シンガポールの百花繚乱の情景は、多少予想していたものの、毎日が驚きと発見の連続です。


 日本では、植物の開花などには、季節の変化による気象条件が大きく影響します。気温や湿度に大きな変化のないシンガポールの植物の開花には、どんな条件が影響するのでしょうか。


 小学校の低学年では「春を見つけよう」といった学習テーマで、実際に近所の公園などに出かけます。ナズナやカラスノエンドウなど春の野草の匂いをかぐ、スケッチする、時には摘んで遊ぶなど実際に体験することによって“春”というものを体感していくのです。シンガポールでは、真夏以外の季節を体感することは厳しいかもしれませんが、この地独特の自然に触れさせることが、季節について深く感じるきっかけになるのではないかと考えます。


 年中真夏のシンガポールに暮らす私たち在留日本人にとって、季節を感じられるものの一つは「行事」なのかもしれません。日本人学校では音楽会や運動会、日本人会でも夏まつりなどが企画されていると聞きます。常夏の地の気候や生活を徹底的に味わうことが、この地ならではの季節を感じる暮らし方なのかもしれません。


 


(編集部 土田 昇)

編集室より(6月号)2024年