編集室より(9月号)2024年
01 Sep 2024
一年中暑いシンガポールですが、9月になると、街中には香り高い月餅が店頭に並び、ランタンが飾られ、秋の訪れを感じます。シンガポールの中秋節は、中国の伝統的な祭りであり、秋分に近い満月に祝われます。1年に1度、月餅の甘さと共に月を愛でながら家族や友人と過ごすひとときは、大切な人とのつながりを深めてくれます。
月餅とは、中秋節に欠かせない丸い形をした中国の伝統菓子です。丸い形なのは満月を表しており、「家族の輪」「家族の円満」を象徴するからと言われています。地域によっては、スイカやカキ、ブドウ、スモモといった丸い果物を準備する習慣もあるようです。日本の伝統行事のお月見と比べると、月餅ではなくお団子を食べるなどの違いはありますが、美しい月を慈しむ気持ちは同じであり、中秋節はお月見のルーツであるとも伝えられています。
記念に月餅を手作りしてみたところ、生地をこねて、中に詰め物を入れ、形を整えるなど、大変手間のかかる作業でした。しかし、大切な人が喜ぶ姿を思い浮かべながらつくる過程に、これまでに大切に受け継がれてきた伝統精神を感じ取ることができました。
シンガポールの中秋節は、伝統的な祭りでありながら、中秋節にちなんだ特別な料理の提供やイベントなど、現代的なアプローチも取られています。みなさんも、美しい月夜に、大切な人と伝統行事を心ゆくまで楽しんでください。
(編集部 宇野 静)
