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同好会体験記〜絵本と紙しばいの会〜(9月号 2023)

31 Aug 2023

 


日本人会には沢山の同好会活動があります。2023年8月7日に、絵本と紙しばいの会を体験・取材させていただきました。


 まず案内していただいたのは大人用図書室(2F)にある倉庫です。その中から出てきた大きな衣装ケース4つに詰められていたのは、人形や小道具の数々です。それ以外にも大道具や、大型の紙しばいが数十冊保管されていました。また、驚くべきことはそれら全てが手作りだということです。40年間にも及ぶ活動の財産が大切に引き継がれていました。


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 この日の活動内容は、11月25日(土)の日本人会オープンハウスで行うおはなし会についてです。紅茶を片手に緩やかに話し合いが始まっていきます。「このお話をメインにするとしたら…こんな手遊びはどう?」つながりのあるプログラムを構成していきます。「こうしたら子どもの心をつかみそうだよね!」子どもの姿をイメージしながら、対話によって次々とアイディアが膨らんでいきます。「それなら倉庫にセットがあると思う!」活動と倉庫の小道具が結び付いていきます。集まった5人の中には、数年目のメンバーもいれば、今年になってから加わったメンバーもいます。しかし、経験年数に関わらずフラットな関係で話し合いが進められていました。


 絵本と紙しばいの会の方々は、私(筆者)の急なお願いにも対応してくださり、最後には実際に読み聞かせ人形劇を披露していただきました。即興にも関わらず、華麗なチームワークが際立っていました。付き添っていた子ども達も絵本の世界に一気に引き込まれていきました。


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インタビュー


 


【ありえない世界にみんなで行く】


− 絵本と紙しばいの魅力はなんですか?


 


 「こうであらねば!」と、大人が決めつけた世界は子どもにとって苦しいことも多いです。ルール的には仕方がないかもしれないですが、自由でいられるところはいてほしいと思います。絵本や紙芝居の魅力は、ファンタジーの世界に連れて行けることだと思います。その世界には良いも悪いも存在しません。この空間ではそのこと、が実現しやすいです。「ありえない世界」にみんなで行くことが、あらゆることを許容できる世界につながっていくと思います。


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【ゆるいけれど、この空間にいる経験が大切】


− 子どもの変化・成長はありましたか?


 


 自分の子どもも参加しています。30分の中で、どこで聞くのか、何をするのか。自分がどう過ごすのかを決めます。必ずここで聞きなさい!という決まりはありません。最初は座って聞き続けることができなかったけれど、最近はその場にいられるようになりました。ゆるいけれど、この空間にいる経験が大切です。また、今は便利な世の中ですが、手作りにこだわっています。電子音は使わないようにして、自分たちの声で表現します。この会に関わる子ども達にとって人と人との接し方、絵本、歌との接し方を学ぶきっかけになります。毎月1回30分の読み聞かせが、将来につながる経験になります。


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【合言葉は「できる範囲で」】


− この同好会を続ける理由はなんですか?


 


 自分の子どもも、2歳くらいの時に見た「だいくとおにろく」を今だに覚えています。実際に絵本や人形に触れるといつもと違ったものが得られると思います。当時は子育てで大変だったのですが、いざこの同好会に入ってみると、多くの大人の目で我が子を見てもらえました。また、自分も発信できる環境だと思います。そして、できないときは「いいよ」って言ってくださいます。無理なく続けられるのがこの会を続けられる理由だと思います。 


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【編集後記】


 「不易と流行」そんなことを考えさせられる取材となりました。このシンガポールという場所で生活している中で、世の中の急速なデジタル化をより身近に感じています。我々が変わらなければいけないことも沢山あります。子どもの生活においても、デジタル機器や動画配信サイトの普及により、変化してきていることが多くあることでしょう。しかし、「不易」(いくら世の中が変わっても変わらないもの、変えてはいけないもの)については忘れてはいけません。人として大切なことの素地を、この場で得られるような気がしました。


 同好会部員である大人たちも絵本が好きで活動を楽しんでいました。週に1回集まって、構想を練る時間こそが、子ども達の笑顔を創り上げているのだと思います。また、熱い思いを持ちながらも、「できる範囲で」という合言葉も大切にしていました。企画・運営の立場として、1人の親として、心地良く活動していけるような言葉でした。同好会部員に関わらず、気軽に参加して欲しいとのことです。もちろん子どもを連れての参加も大歓迎です。取材に応じてくださりありがとうございました。


 


文責・写真  シンガポール日本人学校小学部チャンギ校 大内秀平


 


絵本と紙しばいの会の活動内容


・毎週火曜日10:00〜12:00頃 


  日本人会ハンディクラフトスタジオ(3F)にて


⦅内容⦆子どもおはなし会の準備・練習等


・第1土曜日11:00〜11:30 日本人会ピヨピヨハウス(1F)


⦅内容⦆絵本や紙芝居の読み聞かせ


・年数回の子どもおはなし会


⦅内容⦆大型絵本や大型紙芝居の読み聞かせ等


・問い合せ ehonnokai@gmail.com


部員募集中!オープンハウス、読み聞かせだけのお手伝いでもご興味かあればご連絡ください。


 

同好会体験記〜絵本と紙しばいの会〜(9月号 2023)