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同好会体験記〜かるた(百人一首)同好会〜(10月号 2023)

20 Sep 2023

 


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漫画「ちはやふる」の流行から注目を集めている「競技かるた」


かるた同好会の部屋に入ると、緊張感のある空気、札を取るスピードと迫力に圧倒されてしまいました。今回はそんな、「かるた(百人一首)同好会」の代表の澁谷さんにインタビューさせて頂き、同好会活動にも参加させて頂きました。


(取材日:2023年6月18日)


 それでは、競技かるたの奥深い楽しさや魅力をお伝えします。


<代表のさんにインタビュー>


 代表の澁谷さんは、競技かるたを始めたのがシンガポールに来てからだそうです。それまでは大学では百人一首の研究をして、その後、都内の私立の学校で教員をされている時は、百人一首のちらし取りを授業の一環で生徒とされていたそうです。競技自体はシンガポールに来て、有志で競技かるたをしている団体があったのでそこに所属してから、日本人会の同好会に入られました。競技かるたは小倉百人一首を使うので、和歌という日本の古典文化を学ぶことができます。その古典文化を国語科の教員である澁谷さんは上手く授業に組み合わせているそうです。


− かるた同好会の様子 −


 参加者は小学校低学年から大人の方までが参加しておられました。畳を敷くところから始まり、戦う相手が決まると、決められた畳の場所に座ります。その頃にはもう緊張感のある雰囲気にすーっとなっていました。


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− 競技かるたのルール −


 競技かるたは2人で対戦をします。百人一首の下の句が書かれた100枚の取り札の中からランダムに50枚を取り、お互いに25枚ずつを自陣に並べ、上の句が読まれた瞬間に札を取り合う競技です。自分の札を取れば自陣の札が1枚減り、相手の札を取った時には、自分の札を1枚相手に渡します。先に自陣の札を無くせば勝ちとなります。勝つにはもちろん取る速さも重要ですが、自分の札を自陣にどのように並べるか、また相手陣をどのように攻めるかという戦略・戦術などを考えるのが大切だそうです。


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− 競技かるたはメリットたくさん! −


 同好会の皆さんの様子を見ていると、かなりの集中力、体幹、瞬発力を感じられました。


 試合前に15分間の暗記時間があります。そして試合が始まると相手より先に札を取るために、上の句を読み上げる声に耳を傾けます。大体1試合1時間は掛かることになるのでかなりの集中力が必要となります。


 また競技をしている時の姿勢は、正座の状態から膝を少し開き、前のめりになっていました。無効手を膝の横に斜めに置き、手首と脚は引っ付け、有効手は競技線中央付近に競技線内に入らないよう軽く指を曲げて置いていました。その姿勢が約1時間ほどとなるとかなりの強い体幹が必要であるということが分かりました。


 そしてしーんとした部屋から聞こえる「パシン!」と札を取る音。札をとった時に美しく遠くまで跳んでいく場面を何度も見かけました。澁谷さんも「札をパシン!!と取る時、凄い気持ち良いですよ。ぜひ味わってほしい。」と言われていました。参加者さんたちの瞬発力に圧倒されました。改めて競技かるたの様子を見させて頂き「競技かるた」は知的スポーツ・畳の上の格闘技と言われている意味が分かったような気がしました。


 


− 礼儀や人間関係も −


 競技開始時には、対戦相手が決まって着座をすると、相手の顔を見て「よろしくお願いします」と挨拶をしておられました。また競技終了時や、試合に決着がついた時も、競技開始時と同様に対戦相手→(審判員)→読み手の順に、顔を見て「ありがとうございました」と言って礼をしておられました。日本ならではの礼儀正しい姿を見させて頂きました。


 そして競技かるたはどちらが取るのが速かったのかを決めるのは競技者同士で話し合って決めるこになっています。相手を認める心や相手を讃える心も身につけることができるのではないかと思いました。


【編集後記】


 


 私はこの3月からシンガポールに住んでいます。そして日本からこれだけは持っていこうと、スーツケースに詰め込んだのが百人一首セットでした。日本の昔からある遊びを海外にいる子どもたちに伝えていきたかったからです。実は日本で10年間子どもたちと百人一首を授業の一環でしていました。私がしていたのは競技かるたではなく、五色百人一首というものでした。初めて競技かるたを体験させて頂き、今まで読み手しかしてこなかったので、取り手の緊張感と取った時の達成感を味わうことができました。そして改めて、かるた(百人一首)は日本の文化に触れる素敵なものだなと感じました。


 競技かるたを通して小倉百人一首という千年以上続く日本文化に触れる喜びをぜひ興味がある方は味わってほしいです。


文責・写真 堀内成美(シンガポール日本人学校小学部クレメンティ校)


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かるた(百人一首)同好会


連絡先:澁谷 9101 1767(SMSのみ受付)


活動日:第1・3日曜日 12:30〜15:30


場所:日本人会ファンクションルーム1 (3F)


部員数:10名


活動内容:かるた(百人一首)同好会は、2012年5月に発足した同好会です。百人一首が好きな仲間が小中学生を中心に、月に一度集まり腕を競い合っています。最近は、百人一首を扱った漫画やテレビアニメの影響で競技かるたと呼ばれる百人一首の人気が高まっています。小学生から大人までどなたでも楽しめます。一度見学にいらっしゃいませんか?お気軽にお問い合わせください。


※競技かるたです。


かるた(百人一首)同好会ウェブページ


https://www.jas.org.sg/club/karuta-group


 


 


 

同好会体験記〜かるた(百人一首)同好会〜(10月号 2023)