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同好会体験記〜箏の会〜(6月号 2024)

01 Jun 2024

 


 南十字星編集委員が同好会活動にお邪魔する本企画も5回目となりました。今回は、箏の会にお邪魔して取材をさせていただきました。


(取材日:2024年4月5日)


 日本人会ボールルーム(2F)で2月に行われていた演奏会で、素敵な演奏を披露されていた箏の会の皆さん。取材に快く応じてくださり、当日は体験もさせていただけるということで、取材日を心待ちにしていました。


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 箏の会の活動日は、毎週金曜日の9:30〜12:00。日本人会の和室(3F)で活動されています。お邪魔すると、皆さんが箏の調弦をされていました。大勢で調弦をする際には耳だけでは難しいので、チューナーを使うようにしているそうです。


 この日は代表の宮下さんをはじめ、7名の皆さんが迎えてくださいました。早速箏の演奏を聴いてみたくなりお願いすると、「OKOTO」という合奏曲を演奏してくださいました。皆さんの音がぴったりと合った演奏は大迫力で、思わず息を呑むほどでした。


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 素晴らしい演奏を聴き、筆者も箏を弾いてみたくなりました。箏は、右手の親指・人差し指・中指に爪をはめて演奏します。指の大きさに合う箏爪を選ばせていただき、早速挑戦です。


 姿勢や指の置き方、弾き方から教えていただき、まずは「さくら さくら」を練習しました。左手で箏の弦を上から押して、半音または全音高い音を作る「押し手」で演奏する箇所がとても難しかったです。


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 楽譜を見ながら間違えずに音を鳴らすことが、はじめは難しかったです。休符の取り方や弾き方を何度か練習し、少しずつスムーズに演奏できるようになって来ました。最後は、堺さんに伴奏を付けていただきました。


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 実際に弾いてみると思っていた以上に難しく、皆さんの演奏の素晴らしさや技術の高さを改めて実感しました。日頃の練習の様子などについて、部員の皆さんにインタビューさせていただきました。


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【インタビュー】


・箏の会は、何人で活動されていますか。


(宮下さん)子どもが4人、大人が13人で総勢17人です。指導資格をもっている部員が、ボランティアで子どもたちを指導しています。日本人会での演奏会には、子どもたちも出演しています。2月の演奏会でも、2曲演奏しました。


 


・箏の会に入った、きっかけを教えてください。


(堺さん)箏の会に入って13年になります。日本でも箏をずっとやっていたので、シンガポールに来るときにも持って来ていました。友人から、日本人会に箏の会があって部員を募集していると聞いて、勧められて入りました。


 


(安藤さん)私は子供の頃よく弾いていたのですが、大人になって止めてしまってからは、もう弾かないつもりでいました。娘がやりたいといったことがきっかけで、30年ぶりに再開しました。


 


(宮下さん)箏をやっている、親しい友人がいました。その方の本帰国が決まったときに「何か残したい」、「箏を教えて帰ろう」と言ってくださったのがきっかけです。毎週来てくれて、数か月教えてくれました。 このまま終わってしまうのは申し訳ないと思い、箏の会に入りました。


 


・その時までは、初心者だったのですか?


(宮下さん)全く触ったこともありませんでした。


 


・箏の経験年数は、皆さんどのくらいですか。


(堺さん)45年やっています。母が習っていて、小さい頃にお稽古に連れて行ってもらいました。記憶には無いのですが、5歳の頃に自分で始めると言い始めたようです。気付いたら、始めていました。


 


・箏の経験が短い方もいらっしゃいますか。


(小口さん)まだ、8ヶ月です。


 


・8ヶ月で、先ほどのような素晴らしい演奏ができるようになるのですか?


(皆さん)スパルタなので。(笑)


 


・未経験で始めてみて、いかがですか。


(小口さん)毎日、家でも練習をしています。経験の長い皆さんにも関わらず、しっかり練習をされている姿を見ているとがんばろうと思います。難しいところや弾けないところは、皆さんが早く来てご指導してくださるので、本当に助けられています。


 


・普段の活動は、どのように練習されているのですか。


(宮下さん)弾きたい曲や演奏会で演奏する曲をいくつかみんなで相談して、各自自宅で練習します。ここでは、合奏の練習を重ねていきます。


 


・音を合わせていくことは、難しいですか。


(堺さん)基本の速さがあるので、だいたいその速さで自宅で練習をしてきます。あとは、何度も練習をしていくと、ゆっくりになるところや元の速さに戻るところなど、速さも揃ってくるようになります。


 


・シンガポールで箏を演奏する良さは、どんな時に感じますか。


(堺さん)日本だと箏を弾く人口が少ないとは言え、上手な人はいくらでもいます。シンガポールだと、NUSの箏サークルと日本人会の箏の会くらいだと思います。すごく貴重がられますし、外で演奏する機会も多いです。日本文化を伝える色々なイベントに呼んでいただけるのは、シンガポールで日本の楽器をやっているからこそだと思います。


 


(安藤さん)私も、日本よりシンガポールに来てからの方が演奏機会が増えて楽しいと感じています。


 


(坪田さん)箏は、日本人でもあまり触れる機会がありません。海外で、和楽器を紹介できるというのも良さだと感じます。


 


・今までどのようなところで、演奏の機会がありましたか。


(宮下さん)定期的にあるのが、年に1回日本人会でやる演奏会です。星日文化協会が主催する「星日文化祭」というイベント、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの「さくらまつり」、補習校のお月見集会などがあります。日本人会の夏まつりで弾くこともありますし、MOE(Ministry of Education)Language Centreのイベントに呼んでいただき、演奏したこともありました。


 


・どのような曲を弾いたのですか。


(宮下さん)3月24日の「さくらまつり」では花や春をテーマにした曲を、お月見集会ではお月見がテーマの曲を弾きました。「星日文化祭」の時には尺八にも入っていただき、箏以外の和楽器も紹介できるようにしました。日本人会での演奏会は曲目が9曲ほどあるので、ポップスから箏の曲、箏のための現代曲などを演奏しました。


 


(堺さん)読み聞かせをしながら、箏の演奏をしたこともあります。「もちもちの木」や「花さき山」など、朗読付きの楽曲を弾きました。


 


これから先、やってみたい活動はありますか。


(宮下さん)メンバーからは、「この音とまれ!」のアニメで弾いている曲やバッハの曲を演奏してみたいという意見が出ています。


 


(堺さん)MOEのイベントでは、「鬼滅の刃」の主題歌をリクエストされました。シンガポールの若い人に聴いてもらうには、アニメの主題歌を弾けると良いと感じています。


 


・「南十字星」読者の方にメッセージをお願いします。


(宮下さん)部員が増えると、とても嬉しいです。貸し出し可能な箏の会所有の箏数は限られていますが、自宅での練習も大切なので、やりたい気持ちのある方は、ぜひ問い合わせてくださると嬉しいです。触ってみたいという方はオープンハウスの時など、 年に1・2回体験会があります。箏の音色を楽しんでいただけると思います。


 


(堺さん)初心者の方でも、やる気があれば大歓迎です。「あまり弾いたことがない」と思わずに、弾きたい気持ちがあれば見学にぜひいらしてください!


 


【編集後記】


 インタビューで皆さんの熱い思いを聞くと、筆者ももう少し弾いてみたくなりました。皆さんにお願いすると快諾くださり、最後に「喜びの歌」も教えていただきました。ベートーヴェンの名曲も箏での演奏だと、また違う趣がありました。


 両手を使って、滑らかに演奏する皆さんの姿に圧倒されましたが、素晴らしい演奏の裏には確かな練習があることがインタビューを通して伝わって来ました。何と言っても、美しい演奏を紙面ではお届けできないことが非常に残念です!


 皆さんの演奏を独り占めできる贅沢な取材となりました。またぜひ、演奏会やイベントでの演奏の際には足を運び、皆さんの箏の音色に酔いしれたいと思います。箏の会の皆さん、取材へのご協力本当にありがとうございました!


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文責・写真 小松原英莉(シンガポール日本人学校中学部)


写真「2月の演奏会の様子」は箏の会より提供 


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箏の会への問い合わせ:宮下ひとみ


E-mailkotonokaijas@gmail.com


 


小松原英莉 プロフィール>


シンガポール日本人学校中学部国語科教諭。2020年よりシンガポール日本人学校チャンギ校勤務。


特別支援教育と音楽教育を担当。2023年から現職。


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 日本人会にはたくさんの同好会・グループがあります。シンガポールで、新しい仲間と繋がれるチャンスです!新しく来星された方も、好きなことを続けたり、新しいことを始めたりしてみてはいかがですか。
見学を希望される方は、ぜひ各同好会の連絡先よりお問い合わせください。次は、あなたの同好会に南十字星編集委員が取材にお邪魔するかもしれません!


 

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