aboutus-banner

日本人会図書室へようこそ 連載⑧ (7月号2021年)

23 Jun 2021

 もうすぐ夏休み。今年もシンガポールに残るご家庭が多いのではないでしょうか。まとまった時間を使って、いつもよりページ数の多い本や難しい本、ジャンルの違う本に挑戦してはいかがでしょう。夏休みの読書計画にぜひ大人図書室、子ども図書室をご利用ください。


  課題図書が届きました


 2021年度の青少年読書感想文全国コンクールの課題図書18冊が今年も日本人会図書室に届きました。夏休みの宿題といえば課題図書と感想文。読書活動の振興を目的として1955年に始まったコンクールですので、保護者の方々も小さい頃、課題図書を読み、感想文を書いた思い出をおもちではないでしょうか。


 課題図書を選定するのは全国学校図書館協議会です。協議会では、毎年新しい書籍(前年1月1日から12月31日までに発行された書籍)の中から、小学生、中学生、高校生の各学年の成長、発達、学習要領に応じた内容の本を選定します。選出される条件としては、豊かな心の成長を測れるもの、独創性があり、時流に沿ったもの、正義と真実、人権尊重の精神が貫かれているもの、ノンフィクションの場合は正確な情報であること等の項目も加味されます。最近は、環境問題、食糧問題といった世界的な関心を集めるテーマを扱った本なども選ばれています。


 青少年読書感想文全国コンクールは学校単位での参加となりますので、学校が参加していない場合は応募できませんが、年齢相当の日本語の目安として読むのには理想的なセレクションです。一年間に出版される約6万点の中から専門家が選ぶ良書ですので、感想文を書く書かないに関わらずお手にとってご覧ください。


 保護者の方にとっては、現代の子どもの視点や子どもを見つめる大人の視点を共有できます。中学生以上の課題図書は大人が読んでも何かしらの発見があることでしょう。 



課題図書背表紙(例)


 


 課題図書コーナー


 小学生、中学生の課題図書は1階の子ども図書室、高校生の課題図書は大人図書室で借りることが出来ます。子ども図書室では毎年課題図書コーナーを設置していますので、ぜひ探してみて下さい。課題図書の背表紙には背表紙に「課題図書」のシールが貼られています。



子ども図書室  課題図書コーナーの様子


 過去の課題図書もおすすめです


 お目当ての本が見つからない時は、過去の課題図書を読んでみるのもおすすめです。図書室では毎年課題図書を購入していますので、読書の選択肢が広がります。例えば、映画化された「ワンダー(Wonder)」等は今読んでも、古さを感じません。家族や友人が代わる代わる物語を紡ぐ展開は、課題図書時に該当年齢だったお子さんが大きくなって読み直すと、主人公のお姉さん等、他の登場人物にも感情移入が出来て違った読み方が出来ると思います。2015年以降、過去の課題図書はこちらからご覧頂けます。


    夏休みの読書


 本は読むだけで楽しい娯楽です。同時に、学習ツールとしても黙読は勿論、音読や作文、感想発表など日本語を“能動的に”上達させるためにも理想的です。


 該当する学年の本だけでなく、少し上の学年の課題図書も読んでみる、大人図書室で自分も読めそうな本を探してみるというのも時間のある夏休みらしい図書室の利用法だと思います。


 一般的な読書が苦手なお子さんは実験系の本に沿って自由研究をしてみたり、または図鑑を眺めるだけでも良いのです(子どもは本当に図鑑好きです)。長い夏休みに自分で本を作ってみるのも面白いかもしれません。お話を作ったり、絵を描いたり、写真を載せたり、お父さんやお母さんと合作してみるのも楽しい作業になりそうです。


    英語は?


 日本人会図書室には一部英語の本もあります。日本語訳がある本もありますので、日本語に照らし合わせてチャレンジしてみるのも良いかもしれませんね。


 ちなみに、シンガポールでは国立図書館が推薦図書としてウェブサイトでゼロ歳からヤングアダルト世代までお勧めの本を掲載しています(借りるためには会員になる必要があります)。英語にも挑戦したいという方はご購入の参考にされてはいかがでしょう。




過去の課題図書もおすすめ


 


文責:図書室運営委員会 ヤング靖子・図書室 川島利江
画像:図書室


 

日本人会図書室へようこそ 連載⑧ (7月号2021年)