ー文化部ー
2021年12月12日(日)、日本人会ボールルーム(2F)にてチャリティ茶会2021—茶・華—を開催致しました。長く続くコロナ禍により巷の活動も停滞を余儀なくされ、暗くなりがちな状況の中、彩りを添える花に焦点を当てて行いました。
日本の代表的な伝統文化である茶道・華道双方の花の展示を行い、例年通り茶道に親しんでいただくとともに、茶花といけばな、それぞれの花に対するアプローチ・扱い・花の美をご紹介しました。
まずご来場者には、会場入口前に設置した展示とパネルのところで、花の歴史についての簡単な解説を行いました。古代の祈りの中での花から供える花へ、やがて室内での装飾としての花、“たてはな”、そして茶花の源流となる“なげいれ”へと、花への向き合い方が広がっていく過程を、説明しました。
次にボールルーム内では、最初のコーナーで花寄せの花を展示しました。茶道において、花とは、御茶・茶室・道具・そして亭主、全ての調和の中にあってこそのものであり、花単体で完成するものではありません。裏千家11代家元によって考案された茶道の修練のひとつである“花寄之式”の設えを再現し、真行草それぞれの複数の花入のなかに入れられた、さまざまな茶花の様子をご覧いただきました。
続く本席では、“花所望”のデモンストレーションを行い、亭主が薄茶を点てるのに先立って、客が茶席で花を入れる様子をご覧いただきました。これは、通常は亭主が事前に入れておく花を、茶席内で客に入れるように乞うものです。主客双方による、花への向き合い・心の通わせは、一目瞭然には見えない部分ではありますが、こうした主客の細やかな関わりは、茶道においては根幹に通じる重要なものであり、デモンストレーションを解説とともにご覧いただくことで、その片鱗をお伝えできたのではと思います。
共催展観として、Ikebana International Singapore Chapter 135による、流派も様々ないけばなが展示されました。花それ自体が完成形態である華道の、たいへん華やかな展示となりました。
今回の茶会では、特に新型コロナウイルス(COVID-19)制限下での安全に配慮し、時間指定で人数を区切りました。ほぼ満席の状態で行いましたが、部屋の人数制限・セイフティディスタンス等を遵守し、このような状況下においても、茶会を楽しみつつチャリティへの貢献にご参加いただき、無事好評の内に終了することが出来ました。
ご来場の皆様に心より感謝申し上げます。(収益金は日本人会を通じ、慈善団体へ寄付されます)
受付付近展示 花の歴史に関するもの
“花寄せ”の様子
本席“花所望”の様子
Ikebana International Singapore Chapter 135によるいけばな展示