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ティミティ / Theemithi (Fire Walking Festival) 2010
● 取材日: 10月25日(月)未明
● 取材場所: スリ・スリニバサ・ペルマル寺院
スリ・マリアマン寺院

「ちっとも熱くなかったよ」。
焼けた炭の上を歩き終えた男性は、笑顔で話しました。
ティミティは、南インドを起源とするヒンドゥー教の儀式です。叙事詩「マハーバーラタ(Mahabarata)」のなかに、ドラウパディ(Draupadi)という女神が描かれています。伝説によれば、彼女は潔白と純潔さを疑われ、それを晴らすために熱い炭の上を裸足で歩いたとされています。これにちなんで、信者たちは神に誓い、加護を受けるために火渡りの儀式を行います。
会場となるスリ・マリアマン寺院では、午前中、「マハーバーラタ」の一節が芝居として上演され、たくさんの人が見に来ていました。 夕方になると、ヒンドゥー教徒や寺院関係者は一旦スリ・スリニバサ・ペルマル寺院に集まります。この寺で体を浄め、マリアマン寺院までの4kmを歩きます。約2,000人もの信者が参加するそうです。

午後10時にペルマル寺院に着くと、すでに多くの信者が出発していました。30人くらいずつの集団で、気持ちを高揚させるように声を上げながら出て行きます。黄色いTシャツを着たり、上半身に黄色い布を巻いたりして、黄色の短パンを履いています。黄色には「純潔」「清廉」といった意味があるそうです。手首に黄色いリボンを結び、ニーム(neem)の木の枝を持っていました。沿道からは祈りを込めてマリーゴールドの花が、ライスシャワーのように投げられていました。
午後11時半過ぎにマリアマン寺院に着くと、観客や火渡りをする信者の家族らでごった返していました。会場は照明で明るく照らされ、カメラを通して特設の大型スクリーンやテレビに、ピットの様子が映し出されていました。また、楽器が打ち鳴らされ、とてもにぎやかでした。
火渡りを行うのは、16歳以上の男性に限られます。彼らは、何週間も前から菜食のみの食事にして、体を浄めます。
日付が変わるころ、焼かれた炭が敷かれたピットの準備が整うと、寺院の長が聖水の入ったミルクポット(karagam)を頭に乗せて最初に渡ります。信者はそれに続きます。順番を待つ列は一時、門の外へ100m以上も続きました。
ピットの前に立った信者たちは、手を合わせたり、跪いたりしながら祈りを捧げ、踏み出します。距離は約6m。間隔を空けながら1人ずつ渡っていきます。駆け抜けるように過ぎる人もいれば、ゆっくりと歩く人もいました。
儀式を終えた人たちに話を聞くと、彼らはもう何年も続けて参加しているそうです。ピットの前に立ち祈りを捧げると、何も感じない無の境地に達します。ですから、熱さも感じないのだそうです。儀式の前は菜食のみとなるだけではなく、髭も剃らず、爪や髪も切らないと話していました。見せてくれた足の裏は、火傷さえありませんでした。「来年も参加しますか」との問いには、迷わず答えました。
「もちろん」
(編集部:湯山修一)