写真提供/Singapore Philatelic Museum Collection

 

 「郵便切手は外交官」と言われます。切手にはその国の自然や歴史、文化遺産、社会状況などが描かれ、はるばる海を越えてきた切手に、受け取る人はその国の匂い、異国情緒を感じます。Eメール時代となった今、アナログな切手とはあまり縁がなくなり、今や「切手収集が趣味」という方も少なくなってきました。しかし、シンガポールでは、迅速・確実な郵便システムとともに、まだまだ切手は健在!ユニークで美しいデザインも多く、切手のオークションなども盛んです。そこで今回は、シンガポールの切手をクローズアップすると同時に、切手収集の博物館、フィラテリック・ミュージアムにも訪れてみました。

 

 熱帯の国だけあって、動物、植物、鳥、花、魚など、自然関係の切手は種類が豊富です。その他、デザインで大きく分けると、建物やランドマークもの、歴史や暮らしの風景もの、干支やキャラクターもの、有名アーティストものなどがあります。近年、珍しい素材を使用して話題になったものとして、花の香り付、フェルト布付、蛍光塗料付、ラメ付、ビーズ付の切手などがあります。

 

 昨年シンガポールでは13シリーズの記念切手が発売されました。干支、ナショナルデー、フェスティバルなどのシリーズは定番として、国際的な会議や大会、イベントの開催記念、施設や博物館などのオープン記念、各国との提携デザイン切手などがあり、その年に話題になった事、物が記念切手にも反映されています。毎年12月にはその年のすべての記念切手を集めたものが解説アルバム付きで発売されています。

 

Q1: 記念切手はどこで買えますか?

 1年以内に発行された新しい切手は、最寄りのシンガポールポスト(シングポスト)のオフィスで尋ねると在庫があるものは出してくれます。切手の在庫状況はオフィスによって異なるので、スタンプカウンターのあるポストオフィス(http://www.singpost.com.sg/stamps/のLocate stamp countersを参照)に行くのがお勧めです。また、シングポストのホームページ上でも近年の切手が購入できます。「とりあえず記念切手を見てみたい、使ってみたい」という方は、観光スポットの売店や博物館内のショップなどに切手コーナーがあります。また、チャンギ空港のポストオフィス、免税店エリアなどに現れるシングポストの出店では、面白い切手、珍しいアイテムがみつかる可能性大です。

 

 

Q2: 切手の金額のところにある「1st Local」、「2nd Local」 

    とは何?

 Localの表示はシンガポール国内での使用切手で、「1st Local」とは重さ20gまでの封書で、額面にして26セント分です。「2nd Local」とは20g以上40g以下の封書を送る場合に使用し、額面にして32セント分となります。ちなみに日本へ送る場合、ポストカードは$0.50〜、封書は$1.10〜です。

 

 

 

 

Q3: ファーストディ・カバーとは何?

 発売された日の消印(初日印)が押された切手(通常は封筒に貼られた状態のもの)のことで、実際には使えないコレクションのための切手です。使える切手をお探しの場合は、ショップなどでの購入時にご注意ください。シンガポールではファーストディ・カバーを収集している人も多く、フィラテリック・ミュージアムのショップには年代の古いものから種類豊富に揃っています。日本では直訳で「初日カバー」または「FDC」と呼ばれ、収集家の間でも親しまれています。

 

 

 

 世界で初めての切手は、1840年イギリスで発行されました。それ以前の郵便は料金が高く、受取人がその高い料金を支払うようになっており、一般の人々には利用できないものでした。そこで、ローランド・ヒルという人が、郵便制度の改革を主張し、全国どこでも安くて同じ金額で使えるように、まずお金を先に払い、その証拠として切手を貼り付けることを考えました。その初めての切手が、有名な「ペニーブラック(ビクトリア女王が描かれた1ペニー切手)」です。イギリス統治下であったシンガポールでは1850年代に切手の使用が始まり、公共サービスとしての郵便システムも発達していきました。この頃の切手や封書はフィラテリック・ミュージアムに展示されています。

 

 

 1819年、スタンフォード・ラッフルズが上陸した時、小さな漁村で未開の地だったシンガポールは、自由港としての街計画が施され、またたく間にヨーロッパ、マレー、中国、インド、アラビア、インドネシアなど多種多様な国から、商人、軍人、多くは労働者としてたくさんの人々が移民、入植してきました。これらの初期移民者は、いわば出稼ぎのように単身でシンガポールに来ていた人が多く、国々に残した家族や親戚に手紙を出し、読み書きができない人も多かったので、町には代書屋も発達しました。

 

 手紙を載せた当時の船(帆船)は、モンスーン(季節風)を待っての航海で、ヨーロッパ⇔シンガポール間で片道約3カ月半かかり、返信を待てば1年がかりという状況でした。蒸気船の登場によって航海は約1ヶ月に短縮され、郵便物も定期的に届けられるようになりました。1850年代のシンガポールは人口約8万人、毎年1万人近くの移民を受け入れる国際的な港町として、20世紀まで急激に発展していきました。

 

 

 20世紀に入り、第二次世界大戦によってシンガポールも、日本の南下政策によって攻撃され、イギリス帝国の支配から日本の占領下におかれます。1942〜1945年の3年半、シンガポールは「昭南島」と改称され、その間に日本軍は、すべての捕虜に重労働を強い、抗日分子を厳しく処罰。特に中国人は「大検証(粛清)」と称されて多くの人が虐殺されました。学校では日本の国歌と日本語教育が強要され、食料不足の中で紙幣を発行するも物価が高騰、価値のない紙幣が氾濫しました。そんな中で日本による切手も発行されました。切手に描かれた「昭南神社」は日本占領下にここに建てられ、戦後すぐ日本人の手で壊されました。

 

 

 フィラテリック(Philatelic)とは、「切手収集、研究」の意味。珍しい切手の展示だけでなく、150年以上にわたり近代シンガポールの発展に貢献したであろう郵便の歴史が垣間見える博物館です。特に切手の趣味がない方でも十分に楽しめ、館内では子供のスタディツアーなども積極的に受け入れています。

 

 ■ 1階では、切手の歴史、珍しい切手、印刷方法の

   展示の他、シンガポールの毎年の記念切手、

   各国別の記念切手がファイルされています。

 

 ■ 2階には、19世紀から20世紀に至るまでの貴重な

   切手・書簡のコレクション、当時の文化の紹介、

   代々のポストや局内の道具などが展示されてい

   ます。

 

 ■ 館内のショップでは、使用済みの珍しい切手や、

   外国の切手、シンガポールの各種記念切手、

   ファーストディ・カバー他、切手収集のためアルバム

   やグッズなども揃っています。

  Comics and Superheroes 2009年6月30日まで

 懐かしのコミックキャラクターやスーパーヒーローの切手が、世界中から

 大集合!日本からは鉄腕アトムなどが展示され、あらゆる世代の方が

 楽しめます。

 

 

  At the Post Office - with Max and Phily 

   2009年2月14日〜2010年2月まで

 5〜10才までの子供を対象にポストマンの仕事を体験できます。

 世界の郵便ポストが紹介され郵便の歴史について学ぶことができます。

 

 

  A Cow and Bull Story 2009年8月まで  

 今年の干支にちなんだ牛の切手を展示。十二支に

関する世界各国の様々な切手もご覧いただけます。