◆ 歴史背景

インドネシア地域の歴史は古く、スマトラ島パレンバンを中心にマレー半島までを支配したシュリーヴィジャヤ王国(7世紀~13世紀)、ジャワ島のマジャパヒト王国(13世紀~16世紀)、マタラム王国などが栄えました。またこの地には、香辛料を求めてアラブ・インド・中国の商人が訪れ、16世紀以降はポルトガル・スペイン・イギリス・オランダが覇権を求めてやってきました。それゆえ、インドネシア地域には中国・インド・アラブ・ヨーロッパの影響を受けつつ、風土に基づいた独自の食文化があります。

◆ 代表的地方料理

パダン料理…スマトラ島パダン地方の料理。インドやイスラームの影響を受けた肉や野菜を香辛料で煮込んだ料理が多く、マレー料理と共通する特徴があります。インドネシア各地にあるパダン料理の店では、注文しなくても次々に料理が運ばれてきて、食べた分だけお金を払う仕組みになっています。
 ジャワ料理…長らくヒンドウーと仏教の影響が強かったため、肉を使う料理は少なく、代わりにテンぺ(一口メモ参照)や豆腐、野菜を使った料理が豊富です。中部ジャワの料理には、ケチャップマニス(インドネシア甘口しょう油)やグラジャワ(ジャワ椰子砂糖)を使った甘い味付けのものも多く、辛いイメージのインドネシア料理とは少し違います。麺(ミー)、肉団子(バッソ)、春巻き(ルンピア)など、中華系の影響を受けた料理が多いのも特徴といえます。

調理の特長

【叩き潰す・すり潰す】
インドネシアの料理でもっとも肝となる大切な作業は「ブンブ(Bumbu、ソース)」作り。チョベとよばれる石のすり鉢とすりこぎを使って、ニンニク・エシャロット・唐辛子・トラシ(エビの発酵品)・トマト・胡椒・塩などをゴリゴリと叩きすり潰していきます。すり潰しペースト状にしたものが、料理の味付けの素となる「ブンブ」です。料理によっては、ターメリック(生)・ガランガル・キャンドルナッツ・グラジャワなども加えてコクを出します。このブンブを炒めものやスープのベースにしたり、肉や魚などの材料にマリネしたりして使います。最近はブレンダーを使う人も多いですが、石鉢ですり潰したものとの味わいの違いは歴然。もっと手抜きしたい忙しい人のために、インスタントのブンブも売られています。
チョベはサンバル作りでも活躍します。サンバルは上記の材料をすり潰した辛味ソースですが、料理の調味料としてではなく、出来あがった料理に添えて食べます。

【煮込む・揚げる】
インドネシア料理は複雑に調理方法を組み合わせるのも特徴です。レシピで紹介するアヤムゴレン(フライドチキン)は、ブンブを鶏肉にマリネして十分に煮込んでから、油で揚げて仕上げます。

【削る・搾る】
インドネシア語でサンタンと呼ばれるココナッツミルクは、生のココナッツの実を削り器で削って、水を加えて絞って作ります。濃さは水の量で調整します。一番搾りの濃いココナッツミルクは、ルンダン、グライなど煮込みものやデザートに、二番搾りのものはスープによく使われます。ココナッツの搾りかすは、野菜と和えたり、炒めてふりかけ状にしたりして使用します。ココナッツミルクはパック入りのものがスーパーで手に入ります。

 究極のエコ植物ココナッツ!
カンポンの庭に必ずあるココナッツの木。インドネシアの人たちは捨てる部分なく使い切ります。未熟な実の汁はココナッツジュースに、熟した実の白い果肉はココナッツミルクやパームオイルに、花から採取した液体は煮詰めて椰子砂糖に、外皮は繊維に、殻は食器や楽器に、枝葉は調理の燃料にして利用します。


(文・写真 薮内美奈子/レシピ協力 大屋恵美/料理指導 Olivia Winata、Lucie Sofian)

チョバ マサック! Let's Cook!

ナシ・クニン Nashi Kuning (Yellow Rice)

さつまいものしょうがスープデザート Ubi Kuah Jahe

アヤム・ゴレン Ayam Goreng (Fried Chicken)

テンペ・ケチャップ Tempe Kecap

テンペの一口メモ

 

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