November 2006
世界的にみて、子宮頸癌は女性に発生する癌の中で3番目に多いものです。子宮頸癌は子宮の頸部の表面の細胞が変化して発生するもので、大きく分けて2つの種類があります。一つは扁平上皮癌でもう一つは腺癌です。子宮頸癌の大半(約95%)は扁平上皮という細胞から発生します。(そのため扁平上皮癌と呼ばれます。)
子宮頸癌の進行は遅く、数年に及ぶこともあります。異形成という前がん状態から始まります。この状態は擦過細胞診で検査でき、100%治療可能です。これが擦過細胞診を定期的に受けることがすすめられる大きな理由です。今日では、子宮頸癌の患者さんの多くは定期的な擦過細胞診をしていないか、または、異常となった結果を放置していた方がほとんどとなっています。
ほとんどの子宮頸癌はヒトパピローマウイルスが原因で起こります。ヒトパピローマウイルスは性交渉によって広がる、ありふれたウイルスです。ヒトパピローマウイルスには多くの種類がありますが、実際に子宮頸癌を起こす種類はごく限られたものだけです。癌を起こさないパピローマウイルスは性器に疣贅(いぼ)を作ったりします。
大抵の場合、初期の子宮頸癌は症状がありませんが、持続的(必ずしも持続的でないこともあります)に、膣からおりものがでるといった症状がでることがあります。おりものは無色、水様性、ピンク、茶色、血液混じりだったり、異臭がしたりします。性交や生理のあとの異常なおりものなどがおこることもあります。また、生理が乱れたりすることもあります。
前癌状態や子宮頸癌自体も肉眼ではわかりません。子宮擦過細胞診はこれらの状態をスクリーニングすることはできます。しかし、診断まではできません。もし、なんらかの異常が見つかった場合には、子宮頸部を膣拡大鏡で調べる必要があります。これはコルポスコピーと呼ばれる検査です。子宮頸部の組織を採集して悪性の細胞がないかどうか調べます。子宮頸部の細胞は子宮頸内掻把術や円錐切除生検といった検査でも得ることができます。
子宮頸癌の治療は癌の進行度によります。早期であれば、電気を使ったリープ円錐切除術、凍結療法(凍結させる)、レーザー療法などが使えます。少し進んでも癌が子宮の中にとどまっていれば子宮全摘術が行なえます。更に進行していれば、放射線療法や抗がん剤療法が加えられます。
2006年6月、アメリカのFDA(Food and Drug Administration)は子宮頸癌のための新しいワクチンを承認しました。これは子宮頸癌の多くの原因になるヒトパピローマウイルスの感染を抑える働きがあります。シンガポールでは現時点ではこのワクチンは審査中となっています。
(日本人会診療所医師 日暮浩実訳)