オーチャードエリア、マリーナエリアといった場所は、食事・買い物に便利な多くの人が訪れる場所です。でも、シンガポールの魅力はそういったところ以外にもあります。あまり知られていない場所を散策して、ちょっとディープな隠れたシンガポールを探してみませんか?
今回は、通称バクテー通りとして有名なBalestierを探索してみましょう。

Balestierとは?

Novenaを少し北に上がったところにBalestier Rd があり、このあたりをBalestierといいます。1834年、Joseph Balestier(アメリカの初代領事)がここに1000エーカーのサトウキビ農園を作り”Balestier Plain”と名付けました。この時から、Balestierという名でよばれるようになります。農園で働く人達が住み始め、どんどん人口も増えていきました。彼らのお腹を満たすために店が増え、また、裕福な人達がこの辺りに一軒屋を建てていきます。そして、今のBalestierができていきました。現在は、家の装飾、ライトの店が集まっているため、それらを購入するときは、必ずいく場所となっています。

Balestierの見所
Shophouseが古いまま残っているかと思えば、新しい公園ができていたり・・・古いものと新しいものが同時に楽しめるそんな場所です。



 ① Shophouse
1900-1930年、ゴムブームにのって、富裕層が増え、彼らは自分自身の財力を見せびらかすために家を建て贅沢な装飾をほどこしました。ヨーロッパ調の建築様式ではありますが、東洋の影響とシンガポールの趣を持っています。たとえば、レリーフに中国で縁起のよいといわれている蝙こうもり蝠をあしらったり、家のドアには家を守るものとして、ターバンをまいたシーク教徒(植民地時代、警察として雇われていました)が彫られていたり、また、辛亥革命のレリーフもあります。このような様式は今日、“Chinese Baloque”、“Singapore Eclectic”と称されています。典型的な建物として、Madam Sim Cheng Neoの“Sim Kwong House”があげられます。また、シンプルですらりとした流線形の外観をもつアールデコ様式(エンパイアステートビルが有名)のShophouseや1階建てのものも現存しています。きれいに装飾をほどこされたShophouseの1階が大衆食堂のような店になっているのは、見ていてとてもギャップを感じます。そのギャップを楽しんでみたり、何のレリーフが彫られているのか探してみたりするのもおもしろいかもしれません。

 ② Goh Chor Tua Pek Kong Temple
1847年に福建省の労働者によって建てられた南方様式の寺院。当時、虎に殺される人がたくさんいたため、守り神のTua Pek Kong(災難をさけ、幸運を呼ぶ道教の神様)を祀りました。当初は福建の秘密結社とも関係があったようです。ここにはシンガポール唯一の独立したWayang Stageがあり、祭り(ハングリーゴーストなど)のときには、中国オペラやパペットショーがみられます。


 ③ Maha Sasana Ramsi Burmese Buddhist Temple
1921年Li Kyaw Gaung(ミャンマー人の開業医)がこの寺院を開きました。ミャンマーのマンダレイ北部の石切り場から運んできた、重さ10トン、高さ11フィート、大理石で作られたブッダの彫像が安置されています。普段、信者達はペニンシュラプラザに集会場があり、そこに集うため、とても静かな寺院ですが、新年にはこの寺院に集まり芋の子を洗うような混雑です。仏像には背後に電飾があり、日本の仏像とはまったく違った趣です。

 ④ Sun Yat Sen Nanyang Memorial Hall
1880年代にBoey Chuanによって建てらたバンガローの一軒家です。1905年 Mr Teo Eng Hok が彼の母親のために購入しましたが、国民党支持者だったため中国同盟会に東南アジアの本部として、辛亥革命まで館を提供しました。代表的な革命指導者であった(孫文)はここに3度訪れたと言われています。辛亥革命後、持ち主が変わり、現在、SCCCI(Singapore Chinese Chamber of Commerce and Industry)に寄贈され記念館になっています。記念館はTaigin Roadにありますが、この通りの名前もTai gin=Big Manにちなんでつけられています。歴史に興味のない方でも、素敵なバンガローなので、一度足を運んでみてください。中ではパイナップルジャム等のお土産も売っています。

 ⑤ 美食

Balestier Roadは別名バクテーロードと言われています。その名の通り、沿道にはバクテー屋が何軒もあり、有名な「発起人肉骨茶餐館(Founder Bat Kuh Teh)」もあります。また、昔ながらの製法で50年もパンを焼いている2軒のパン屋、「Sweetlands Confectionery and Bakery」と「Sing Hon Loong Bakery」。チキンライスでとても有名な「文東記(Boon Tong Kee)」の本店と「黎記海南鶏飯(Loy Kee Chicken Rice)」、歴史的には「黎記」の方が古く1950年代から店を開いています。他には豆沙餅も有名で何軒も店が立ち並んでます。中華料理の店もあまり有名ではありませんが、安くておいしい店がたくさんあります。食を楽しみにたまにはここまで足を伸ばしてみては、いかがでしょうか?きっと、何度も足を運びたくなると思います。

最後に

最近はここBalestierもどんどんきれいに整備されており、外国人観光客の姿も以前より、多く見られるようになりました。しかし、すべてが新しくなってしまったわけではなく、古い生活感あふれる町並みも残っています。おしゃれなカフェのある通りの横道にはいると、外で散髪をしているおじさんに出会ったり、大通りの道沿いにひっそりとWater Kiosk(昔、貧しい人達に貴重な飲み水を提供するために寺院が慈善事業で水とお茶をコンテナーにいれて提供していた)があったり・・・きっと、今まで知らなかったシンガポールをBalestierで発見できることでしょう。


(文・写真 沓澤 由佳)

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