数年前のことです。東京でのカラスの被害がテレビや新聞紙上をにぎわせていた頃、シンガポールでもカラスは頭痛の種でした。当時カラスが増え過ぎて、他国からの“不法侵入者”も含めると、その数は12万羽と推定されていました。

 カラスもマレーシアから出稼ぎに来るんじゃん!?

パスポートなしで。

 

 

 

 

 カラスの被害は、糞で洗濯物や駐車している車を汚す、ゴミ箱をあさって道路を散らかす、ことです。更に困るのはホーカーセンター(野外のフードセンター)のテーブルの食べ物を横取りしたり、残飯を食べ散らかしたりすることです。毎日多くのシンガポール人が朝も昼も夜もホーカーセンターで食事をします。食事時になると、カラスも集まってきて、虎視眈々ならぬ“鴉”視眈々と食べ物を狙います。ホーカーセンターの近くにアンサナの樹(オーチャード通りの並木に使われているうっそうとした樹)があると、そこはカラスのかっこうの棲み処となります。

 アンサナの樹は大きくてうっそうとしているから、 たぶん住み心地いいんだ。

 

 

 ジュロン・バードパークの園長さんに鳥の話を聞いたことがあります。その時一番かしこい鳥はカラスかもしれませんねと話してくれました。かしこいカラスをどのように駆逐するかシンガポール環境省は頭を痛めていました。えさになるものを無くすことがカラス対策には効果的です。そこで個人住宅の家々の前にはふた付きの底の深いゴミ箱を配備しました。残飯の詰まったビニール袋が家の前に放置されなくなってから、個人住宅地にはカラスがいなくなりました。

 うちのコンドでもカラスがいなくなった。

 しかしホーカーセンターのカラスは一向に減りませんでした。あの手この手と試行しましたが、大きな効果は上がりませんでした。そこで環境省は思い切った作戦に乗り出しました。射殺です。

 ワー、怖いじゃん。

 

 銃砲協会(Gun Society)の名手が週末の夕方ボランティアでこの仕事を請け負いました。一時はこのボランティアだけでは間に合わなくて、軍の射撃の専門家もかりだされました。一年間に6万羽のカラスを射殺したこともありました。

 動物愛護団体は何も言わないワケ?

 

 動物愛護団体は政府の考えに同調しているのかもしれません。この様に厄介者にされているカラスですが、環境省の担当官の話によると、もともとシンガポールにはあまり生息していませんでした。植民地時代この地域ではゴムの栽培が盛んでした。ゴム園に発生する毛虫を退治するために英国人がインドからカラスを持ち込んだそうです。

 カラスは雑食 だから何でも食べるし、生命力の強い鳥だから、繁殖しちゃったんだね、きっと。

 環境省はカラスを1万羽まで減らしたいと言っています。最近はカラスの数がめっきり減ってきてローカル種のカラスは絶滅の危惧に瀕しています。

 ローカル種のカラスとどうやって見分けるの?

 ローカル種のカラスは身体が小振りだそうです。今になって保護しようという動きがあるそうです。人間の都合でカラスは移住をさせられ、邪魔になると殺される。シンガポールのカラスは散弾銃に気をつけろと鳴いて仲間に知らせているのかもしれません。