2012年2月に開催されたAPECトーナメント シンガポール対日本 ↑

シンガポールの人気スポーツとして、シラット、クリケット、セパタクローと伝統的なスポーツを取り上げてきました。今回は、シンガポールの若者の間でホットなスポーツ、フロアボールを紹介します。

どの流派のシラットも、次の要素を備えています。
①スピリチュアル ②自衛 ③芸術性 ④競技の4つの要素です。
今もインドネシアには多くの流派があり、それぞれにグランドマスターがいて、シンガポールのマスターの多くもインドネシアで修業し、習得します。海外から多くの弟子入りがあり、数ヶ月山にこもって練習するなどを経て、それぞれの国に戻り、マスターとなる者もいます。

◆ 北欧生まれの新しいスポーツ

MRTや街の中で、プラスチック製のホッケーのスティックのような道具を持った若者の姿をよく見ます。「ホッケーが流行っているの?」と尋ねてみると、「フロアボールだよ。」という答えが返ってきました。
フロアボールは、別名「ユニホック」「ユニバーサルホッケー」ともいい、スティックを使ってプラスチック製のボールを相手ゴールに入れて得点を競う室内競技です。1970年代前半にスウェーデンで考案されました。シンガポールでは1995年にフロアボール協会が設立されました。ちなみに、日本での導入はとても早く、1978年に日本ユニホック普及会(現ユニホック協会)が設立されています。

◆ 日本とシンガポールはライバル

2001年、シンガポール・フロアボール協会の発案で、アジア・オセアニア・フロアボール連盟と共催でアジア太平洋フロアボール選手権(The APAC tournament)が始まりました。その後ほぼ毎年、シンガポールで開催され、男女とも日本とシンガポールで金メダルを分け合っています。
2012年男子大会は、2月に日本の埼玉県で開催され、金メダル=シンガポール、銀メダル=日本という結果でした。(今年は女子の部は開催されませんでした)。この大会は、今年の12月スイスで開催される男子世界選手権の予選も兼ねていて、アジア・オセアニア地域からはシンガポールと日本が出場権を手にしました。残念なことに、世界選手権では日本もシンガポールもメダルを獲得するに至っていません。

◆ シンガポールのフロアボール事情

◇公立学校の授業で◇
フロアボールはほとんどの公立学校のPE(体育)の授業に取り入れられています。指導に当たる教師は、フロアボール協会とシンガポール教育省によるコーチングレッスンを受けています。クラブチームもあり、大学やポリテクニック、ITEなどの学校のクラブでの競技者数を合わせると、約1万~1万5000人がプレーを楽しんでいます。多くのクラブチームは学校の課外活動などから始まったため、学校や協会の施設を使って練習をしています。シンガポールの多くの室内ホールでプレーすることができます。

◇全ての人種・民族が楽しむフロアボール◇
フロアボールは、近年、教育省が普及に力を入れていることや学校で取り入れられていることもあり、人種・民族の違いを超えて広く楽しまれています。Googleのキーワード検索で「floorball」の検索回数が、シンガポールは世界で4番目に多いという統計からも、圧倒的な人気の高さがうかがえます。
クラブチームや大学などのチームは約100名の有資格コーチが指導しています。16歳以上で、一定のスキルをパスすれば、だれでもコーチングコースを受講することができます。競技者の年齢構成は若く、7~25歳前後です。これは教育省によるフロアボールの普及が始まってからまだ10年も経っていないからです。今後、競技者の年齢の幅を広げていくでしょう。プロリーグはありませんが、平日は学校トーナメントがあり、毎週末はリパブリックポリテクニックでクラブチームのリーグ戦があり、毎日どこかで公式戦が行なわれています。

 ◇トーナメントやリーグマッチの様子◇
男子の国内トーナメントは、3部門あります。12チームのPremier、12チームのChampionship、20チームのConferenceです。女子は2部門あります。12チームのPremier、20チームのChampionshipです。これに加えて、学校ごとのトーナメントがあり、プライマリースクール、セカンダリースクール、ジュニアカレッジ、大学など、そして協会ごとのトーナメントがあります。
トーナメントのルールは、国際フロアボール協会の規定に則っていますが、リーグマッチのルールは国際大会とは異なります。リーグマッチは、学校リーグも含めて、毎週末リパブリックポリテクニックを会場に開催しており、プレーオフ期間中は、毎試合約200人の観戦者がいます。前述のアジア太平洋選手権大会などの国際大会では、約1000人の観客が声援を送ります。

◆ ナショナルチーム@シンガポール

◇若い年齢構成◇
クラブチームから選抜された22名で構成され、男子チームは16~26歳、女子チームは18~30歳です。ちなみに日本の年齢構成はもう少し上です。クラブチームで最も強いのは、Z-Athleticaチームでナショナルチームのメンバーのほとんどがこのチームから選ばれています。
フルタイムの選手はなく、それぞれ仕事を持っていたり、学生だったりするので、練習は夜が中心です。普段は所属するクラブチームで週2回程度の練習ですが、先のアジア太平洋選手権大会前には3,4ヶ月前から招集し、ナショナルチームとして練習をしたそうです。12月の世界選手権に向けては6月ごろから本格的なトレーニングに入ります。
 ◇スポンサー募集中!◇
世界選手権にチームを送るには、全部で約5万ドルの費用がかかるため、現在スポンサー募集中です。日系企業の皆さん、ナショナルチーム@シンガポールのユニホームに貴社のロゴを乗せてみませんか。
 ◇フロアボールの魅力◇
選手の皆さんの多くは、学校のPE(体育)でフロアボールに出合ったそうです。コーチやマネージャーの方は、アイスホッケーやフィールドホッケーから転向したそうです。魅力を語っていただきました。
・スピード感があり、プレーしても見ても楽しめる。
・レベルに応じてチームや試合が選べる。
・激し過ぎないので、子どもも楽しめるし、大人になってもレクリエーションとして楽しめる。
・シンガポールでとても人気があるので、取り組みやすい。

◆ フロアボールのルール

国や大会によって、コートの広さや試合時間、道具の規定などが少しずつ違うことに加え、フロアボールやユニホック、ユニバーサルホッケーの協会によっても違います。ここでは、国際フロアボール協会のルールを参照しています。
 ○ゲーム
チームは、1名のゴールキーパーをふくむ6名で構成され、2チーム対抗で行われる。
コートは、20×40mが標準サイズで、四隅に丸みがあり、周りを高さ50cmの板で囲む。
コートの両端にある相手ゴールに、ボールをスティックで操りながら入れると得点になる。
 ○試合時間
1ピリオド20分間で、第3ピリオドまで行なう。ゴールやペナルティがあると時計が止まり、ロスタイムとなる。各ピリオド間の休憩時間は10分間。※試合時間は大会によって多様。
 ○道具
・ スティック……最大105cm、350gまでで、中は空洞のプラスチック製かカーボン製。
・ ボール……中は空洞で、11mmの穴が26個あり、プラスチック製。直径は72mm、重さ20g~23g。
・ ゴールキーパーは、パッド付きの長ズボンとヘルメット、グローブを着用する。
 ○ファウルプレー(主なもの)
・スティックで相手のスティックを叩くなどのラフプレー。
・両膝をついたり、座ったりしてのボールのコントロール。
・足でボールを止めてもいいが、足でのパスやゴール。
・頭、手、腕でのボールのコントロール。

ファウルの規定は細かいので、主なものの紹介にとどめます。相手チームがファウルを犯すと、その場でのフリーショットや、ペナルティショットになります。程度によって2分から10分間の退場やレッドカードになります。

◆ 始めてみよう、フロアボール

個人で始めるには、クラブチームに参加することがもっとも近道です。現地校出身でなくても問題ありません。子どもたちは、U-14(14歳以下)とU-16(16歳以下)のジュニアリーグがあるので、そこに参加することができます。日本人チームを新たに立ち上げたいという場合は、フロアボール協会に依頼すれば有資格コーチを派遣するサービスがあります。道具を取り扱っているのは、タンピネスのDreams Hockeyや、カランのValhallなど、主に3社です。子どもから大人まで、レベルに合わせて楽しめるフロアボール、あなたも始めてみませんか。

(文・ 上田 恵)

写真提供 シンガポールナショナルチーム 
 取材協力  
 シンガポール教育省(MOE) Hector Gomez氏
 シンガポールナショナルチームヘッドコーチ Filip Dahlgren氏
 シンガポールナショナルチームコーチ Kevin Tan Ee Chong氏
 シンガポールナショナルチームマネージャー Rudy Pierre Low氏
 シンガポールナショナルチームの選手の皆さん
 翻訳通訳協力 牧野奨

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