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喰いだおれ in Singapore 第3回目 チョンバルマーケット: ティム サム(飲茶と点心)、ビーフヌードルスープ、チュイ・クエ (12月号)2021年

24 Nov 2021

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「喰いだおれ in Singapore」


 南十字星編集委員がローカルレストランやホーカーをめぐり、実食し、感想を詳しくレポートする本企画。第3回目は、チョンバルマーケットの「ティム サム(飲茶と点心)」、「ビーフヌードルスープ」、「チュイ・クエ」をご紹介します。(取材日 2021年10月2日)


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チョンバルマーケットの外観
Tiong Bahru Market
(30 Seng Poh Rd, Singapore 168898)


Tim Sum
ティム サム


ティム・サムとは


 日本でいうヤムチャ(飲茶)と同じ。北京語では「ティエンシン」という。英語では「Dim Sum(ディム・サム)」とも言う。各店自慢のせいろを使った蒸し料理などを、お茶を飲みながら食べる。蒸し料理以外に揚げ物やスープ類など多種多彩な小皿料理がある。シンガポールでは、レストランやフードコートなどいろいろな店があり、人気が高い。


はじまり 


 ティム・サムは、古代シルクロードが繁栄した時代に、旅人が休む場所として、道沿いにお茶を提供する店ができたのがはじまりと言われている。お茶と食事を組み合わせることは、体重増加につながるのでよくないと思われていた時代もあった。しかし、次第にお茶は消化を助ける働きがあることが分かり、店の主人たちは様々な軽食を加えていった。そして今のティム・サムへと形を変えていった。


 現在のティム・サムの形は、何世紀にもわたって、中国南部の広東の人々によって変えられてきた。シルクロードの時代の「休む」というスタイルから、「大きな声で会話を楽しむ食事」となった。香港や広東地方の主要な都市では、多くのレストランがティム・サムを早朝5時前から始める。それは、年配者が朝の運動の後、ティム・サムを食べに集まるからである。


種類 


 ティム・サムとは、特定の料理の名前ではなく総称なので、ここでは一般的な小皿料理の種類を挙げる。


 小籠包、餃子、シュウマイなどの蒸し物は、どこの店も種類が豊富である。他には、春巻などの揚げ物や、キャロット・ケーキという名前の大根餅もよく見かける。ハスの葉に包まれた餅米や、お粥などの主食もある。また、とろとろのチャーシューなど、店によってバラエティに富んでいる。中国茶は、たいていおかわり自由で、ティーポットごと運ばれてくる店が多い。中国茶とセットで小皿にピーナッツがつまみとして出てくる場合がほとんどである。


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飲茶と点心の違い


 飲茶…中国茶を飲みながら点心を食べる習慣のことを意味します。つまり、飲茶は食べ物の事ではないそうです!そうなると、「飲茶を食べに行こう」という表現は間違いで、正確には「飲茶をしに行こう」が正しい表現となります。


 点心…点心は中国で「軽食・間食」という意味です。中国の人はお菓子類も「点心」と分類するので、ケーキ、クッキー、チョコレートなども「点心」の一種類なるそうです!


 飲茶と点心には、このような違いがあります。皆さんも是非覚えておいて下さい。


 小籠包…蒸籠(せいろ)蒸しにした包子(パオズ)です。特徴として薄皮の中に具と共に熱いスープが包まれています。


 シンガポールと言えば中華。よくホーカーで点心を食べられる方も多いと思います。今回ご紹介するのは、小籠包。10分程、出来上がりを待ち、完成。薄皮の中に具と共に熱いスープが包まれています。
8個入りで、お手軽な価格。味も美味しい。


 小籠包にあまり外れはありませんが、お店によって味が違うため、ホーカーに寄った際は是非、食べ比べてみて下さい。


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西得利 (Xi De Li)


  今回はお店が閉まっていて紹介できませんでしたが、こちらのお店もチョンバルマーケットで有名ですので、是非訪れた際は食べ比べて見て下さい!


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Beef Noodle Soup
ビーフヌードルスープ


ビーフヌードル スープとは


 卵などつなぎになるものは一切使わず、米粉だけを練って作った麺に、骨付き肉でとっただしのスープ、ビーフテンダーロイン、すね肉、タン、胃袋などの具が入る。これらがミックスでも単品でもオーダー次第。スープの味は肉の臭みをとるため五香粉などの香辛料が入るためちょっとクセがあると感じる人もいるかもしれない。


はじまり 


 戦前にリー・スワン・リアン(Lee Swan Liang)という海南人が始めた。元は海南料理だがチリソースや香辛料が加えられることによって、シンガポールでは海南のものとはちがった味になった。ビーフ麺を有名にしたのは、キン・テック・ファン(Kin Teck Huan)という人で1970年代にオデオン(Odeon)映画館の近くに「Odeon Beef Noodles」という店を開いて評判を得た。


 元々は中国系イスラム教徒の民族グループによって食べられていたもので、中国の内戦中に中国本土から高尾、台湾に逃れた人々によって形成され、東アジア、東南アジアへと伝わったとされる。シンガポールには海南ビーフとして定着した。


材料・調味料 


<材料>


 だし汁をとるための骨付きビーフ。具になるビーフテンダーロイン、タン、すね肉、胃袋など。トッピングに香菜、モヤシ、ライム。


<調味料> 


 ダークソース、塩、コショウ、紹興酒、しょうが、ニンニク、五香粉など。シンガポールの場合はドライとスープの2種類があるので、ドライの場合はこれにチリソースが加わる。肉類の材料は時間をかけ、とろ火で6時間ほどじっくり煮込む。麺は、粗米粉を卵などのつなぎを一切使わず、水だけで練り込んで幅広の麺に仕上げる。


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 シンガポールでスタミナ満点の料理はいかがですか?こちらはビーフヌードルスープをご紹介します。ビーフヌードルスープは見た目からもわかるように麺の上にはホルモンや牛肉、肉だんごなど様々な部位が乗っていました。どの部位もスープと共に煮込まれており、注文と同時にその場で切って提供され、その作業も迫力がありました。スープは醤油ベース。一見こってりしているように見えるのですが、飲んでみると意外にもあっさりしており、お肉の出汁もしっかり感じられました。麺はKway Teow(クェテヤオ)という白のヒラ麺が入っており、さらさらと食べられました。ボリュームも満点で、暑い国でもぺろりと食べられるスタミナ料理でした。


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如切牛腩王 (Joo Chiat Beef King)


 


Shui Kueh
チュイ・クエ


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 こちらはチュイ・クエというシンガポールでよく朝ごはんとして食べられるものです。直訳すると「水のケーキ」というような意味で、水に溶いたコメ粉を蒸かして、その上に切干大根をラードと一緒に煮詰めたものを載せていただきます。食べる時に絶対に欠かせなのがチリソース。お店によりチリの味が違い、このチリがそのお店の評判を左右したりします。この店はチョンバルマーケットの顔ともいわれるほど、ここで長い間営業しているお店で、チョンバルのチュイ・クエと言えばシンガポールで知らない人はいないくらい有名です。 


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 最近は健康志向の人が増え、ラードではなく植物油で切干大根を煮詰めている店もありますが、やはりラードのこってり感は不滅のようです。朝は長蛇の列になります。小腹がすいた時にスナックとして食べてもいいです。お値段も手頃で5つで$2.80。シンガポールのコンデンスミルクがたっぷり入ったコーヒーとの相性も抜群です。少し早起きしてトライしてみてください。


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楗柏水粿 (Jian Bo Shui Kueh)


文責・写真:南十字星編集委員
<日本人学校中学部教諭>山田祐史、松田航平
<ミュージアム日本語ガイド>西山ひろ美


史蹟史料部発行の冊子『喰いだおれ in Singapore』(クラブショップで販売中)に掲載されているローカルフードの説明文を引用しております。

喰いだおれ in Singapore 第3回目 チョンバルマーケット: ティム サム(飲茶と点心)、ビーフヌードルスープ、チュイ・クエ (12月号)2021年