◆ タイ料理の歴史

タイ料理は、6世紀から13世紀にかけて中国の雲南省から移民してきた中国系民族がもたらした中華料理がベースになっていると言われています。14世紀~17世紀のアユタヤ王朝時代には徐々に国際貿易が盛んになり、外国から影響を受けだんだん現代のタイ料理らしくなってきました。
●中国の影響—材料を日干しする、油で揚げる、炒めるといった調理技術。それに伴う調理器具、中華鍋や蒸籠などが持ち込まれました。
●ポルトガルの影響—1511年に国交が成立したポルトガルから中南米原産の唐辛子が持ち込まれ、洋菓子も同時に伝わります。代表的なものにフォイトーンと呼ばれる砂糖と卵黄で作られた黄色い糸状のお菓子がありますが、実はそれによく似た日本の「鶏卵素麺」というお菓子もポルトガルから伝わったもの。ルーツが一緒というのは日本人としては親しみがわきます。
●アラブの影響—18世紀に入るとアラブのイスラーム教徒によりアラブ料理が紹介され、ピーナッツを使った調理方法が持ち込まれました。

◆ タイ料理の特徴

タイは小乗仏教国なので、イスラーム教やヒンドゥー教のように食材に規制がありません。(但し、マレーシアに近いタイ南部ではイスラーム教徒が多く住むため、豚肉は使用されません)地方によってそれぞれ特色はあるものの、辛い、甘い、酸っぱいといった、はっきりした味付けが特徴です。ハーブ類やココナッツミルクなど、味覚と風味が強く主張しあいながらもお互いに邪魔せずにうまく絡まった料理が特徴的です。
なぜ辛い?
 タイの人に言わせると、辛い=おいしい。辛くないタイ料理も多少ありますが、大概の料理には、世界で一番辛いと言われる小粒の唐辛子プリッキーヌーを始め、大きな干し唐辛子のプリックヘーン、粉唐辛子のプリックボンなどをたくさん使います。 
なぜ甘い!
 砂糖を大量に使用し、その種類も豊富です。椰子から作ったパームシュガー、サトウキビから作った砂糖(ざらめや黒砂糖)、そして蜂蜜など。自家製の椰子糖を作る家庭もあり、料理によって様々な砂糖を使い分け、味わいを深めます。
なぜ酸っぱい!
 ライムのような形と色のマナーオと呼ばれるタイレモンが使われます。普通のレモンやライムより酸っぱく、まな板の上でゴロゴロと板ずりしてから使用すると果汁がたくさん出てきます。そして前回のマレー料理でもご紹介した豆科の植物タマリンド(南十字星6月号参照)も、コクのある酸味を出す調味料として頻繁に使用されています。
生ハーブについて
 タイ料理にかかせないものといえば、独特の香りを添える生ハーブ。料理に深みをプラスするだけではなく、健康増進効果があるのです。
● コリアンダー(パクチー)セリの仲間。香りが独特なので得手不得手あるようですが、消化促進や鎮痛効果があると言われています。ちなみに日本のスーパーでも取り扱う店が多くなり、家庭菜園でも育てやすいのだとか。
● レモングラス(タクライ)その名の通りレモンの香りがするハーブですが、レモンの芽ではありません。イネの仲間です。トムヤムには必ず入っている、タイ料理の風味付けにはかかせないスパイスです。殺菌力や消化促進の効果があります。
● こぶみかん(マックルー)の葉。ライムのようなさわやかな香りを演出するハーブ。タイカレーや、トムヤムには必需品。ちなみに皮がボコボコと特徴的なコブミカンの実は、泡が出るのでシャンプーや洗剤として使用することもあります。
 タイの屋台やテーブルの上には、必ずと言っていい程クルーンプルンと呼ばれる、砂糖、粉唐辛子、ナンプラー、唐辛子入りの酢の4点セットがおいてあります。麺類やチャーハンにも砂糖をかけるというと驚かれますが、テーブル上で自分好みの酸、甘、辛、塩味にカスタマイズして食べるのがタイ流です。

(時計まわりに)タマリンド、パームシュガー、こぶみかん(実と葉)、レモングラス、唐辛子


(取材/写真・三田村 恭子 料理・抜水 みどり)

☆ khao Phad Sapparod(パイナップルライス)

☆ Med-Maeng-lug-Naam-gathi(スイートバジルシード)

 

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