ホーカーやフードコートで見る様々な東南アジア料理。独特のスパイスの香り漂う屋台料理を前に「サテやナシゴレンってマレー料理?インドネシア料理?」「チキンライスってシンガポールが発祥の地じゃなかったの?」なんて、ちょっとした疑問がわいたことはありませんか?
そこで今回から数回にわたり、シンガポールでよく口にする東南アジア料理をご紹介したいと思います。第一回はマレー料理についてです。東南アジア料理研究家の抜水みどり先生にお話を伺いつつ、代表的なマレー料理を3品教えて頂きました。

◆ マレー料理とは

マレー料理とはマレー民族が伝統的に食べてきた料理で、そのルーツは7世紀にインドネシア・スマトラ島に誕生したムラユ国にさかのぼることができます。その後、マレー民族はマレー半島を含む東南アジア島嶼部一体に広がり、現在ではマラッカ海峡に面したスマトラ島リアウ、ジャンビ地方、およびタイ南部を含むマレー半島、カリマンタン島沿岸等に広がる地域に多く住んでいます。(地図)
 また、マレーシア、インドネシア、シンガポール、ブルネイを含むこの一帯は、移民としてやってきた中華系、インド系、ヨーロッパ系も多く住む「東南アジアのメルティングポット」となっているため、歴史的にも中国、インド、アラブなどの影響を大きく受け、その食文化も多種多様に発展してきました。

◆ マレー料理の特徴

● 唐辛子(チリ)を多用した辛さと、ココナッツオイルなどを多用したオイリーさが際立ちます。暑さで消耗される体内エネルギーを手っ取り早く摂取するため、料理には油を大量使用し、 飲み物は極端に甘くするのだそうです。また油を層になるほど入れることにより、食べ物を腐りにくくさせる効果もあります。
 ● 辛味調味料「サンバル」が料理のベースやソースとして使われます。サンバルとは、唐辛子(チリ)、ニンニク、小タマネギ(エシャロット)を石臼でゴリゴリとすりつぶし、ペースト状にしたものが基本となります。それぞれの料理に合わせて各家庭で作りますので、その地方、家庭ならではの特色が様々現れます。
 ● マレー系はイスラム教徒のため、豚肉は使われず、ハラールフード(イスラム教の律法にのっとった食べ物)が用いられます。
 ● マレー料理とインドネシア料理とは共通するものもたくさんあり、特にインドネシア・スマトラ島パダン地方の「パダン料理」とは類似点が多いです。インドネシア料理は地方によって味付けがまったく違い、一般的にスマトラ島などマレー文化の影響の強い地域はトウガラシを多用した辛い味付け、ジャワ島は甘い味付けが好まれます。さらにマレー半島では北に行くほど、より辛くなる傾向があります。

◆ 主なマレー料理

ナシレマ……ココナッツミルクで蒸したご飯に、揚げた小魚、ピーナッツ、きゅうり、卵焼き、サンバル(チリペースト)を添えた料理。マレーの国民食とも言われ、携帯用にバナナの皮で包んだもので、日本の「おにぎり」の感覚で小さな売店の店先などで売られています。(写真①)
 サテ……日本でいう「焼き鳥」。鶏肉、牛肉、ヤギ肉などを炭火で焼いて、ピーナッツソースをつけて食べる料理。それ以外にもウサギ、馬肉のサテもあります。(写真②)
 レンダン……インドネシアのミナンカバウを起源とするスパイシーな肉の煮込み料理。ハリラヤ(断食明け祭や犠牲祭)や結婚式等では欠かせない一品です。(写真③)
 クトゥパット……もち米を椰子の葉っぱで包み蒸したもの。レンダンやサテに添えられて食べることが多いです。こちらも、ハリラヤなどのお祝いの席では欠かせません。(写真④)
 クエ……もち粉、米粉、サゴ粉等を使って蒸したお菓子。日本のういろうに近い。ヤシ砂糖やパンダンリーフ、ココナッツフレークなどを使います。(写真⑤)


(取材/写真・三田村 恭子)
(料理・抜水 みどり 協力・薮内 美奈子)

 

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