私たちが毎日必ずお世話になる「貨幣」。どこの国でも、その国らしさを表現するために、選び抜かれたものがデザインされています。ここシンガポールでも、紙幣、コイン共に数度のデザイン改訂がされています。

 2009年7月にオープンしたコイン&ノートミュージアムの紹介をしながら、2回にわたってシンガポールの貨幣について掲載します。本今回はコインについて、次回はお札について紹介します。

■貨幣の始まり

 コイン&ノートミュージアムに入るとすぐに大きな円柱状の石が立てかけてあり、真ん中には穴が開いています。これは大昔の貨幣で、漫画で見かけたことがあるような気がします。

 共通の「貨幣」がなかった時代には貨幣に代わるものものとして「貝」「米」「塩」「アーモンド」「はちみつ」「陶器」といったものが使われていました。いわゆる物々交換の時代です。古代日本でも同様であったことを考えると、どこの国も同じなのだなと人の営みの不思議さを感じます。

 またナイフの形をしたコインや橋をかたどったコインもありました。鋳造しにくかったと思うのですが、一体どういう目的でこのような形を選んだのでしょうか。

■さまざまな貨幣

 かつてシンガポールがMajapahit Empireの一部であった頃、初めはスペインとの交易がなされていましたが、徐々に様々な国との交易が始まりオランダや中国の貨幣も入ってくるようになりました。(※Majapahit Empireとはインドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポールを含んだ古代国家のこと。15世紀にマラッカにスルタンが統治する国ができてからその影響を受けて徐々に消滅していきました) 

 イギリス植民地時代にはビクトリア女王やエドワード王、ジョージ6世等の顔が刻印されたコインが使われていました。日本占領下時代、日本軍は紙幣(軍票)を新たに発行しました。この紙幣は、10ドル札にバナナの絵がデザインされていたことから、通称バナナノートと呼ばれていました。当時コインは使用されず、コインの材料は戦争兵器の原料として確保されました。

■シンガポール独立以降のコイン

第1シリーズ(1967年〜1985年)

 1967年に第1シリーズとなる「動物シリーズ」がデザインされました。1セント硬貨のみ青銅製で他のコインは白銅製です。1ドルコインはとても大きく、日本の500円玉よりも大きいものでした。


コインの表


コインの裏

種 類 素 材

図 案

青銅製 高層のHDBと噴水
白銅製 ヘビウ(熱帯に生息する水鳥)が巣に座って羽繕いをしている様子
10¢ 白銅製 海藻につかまっているタツノオトシゴ
20¢ 白銅製 メカジキ(暖かい海に生息する)
50¢ 白銅製 ミノカサゴ(暖かい海に生息する)
$1 白銅製 シンガポールライオンと稲の束
第2シリーズ(1985年〜)
1985年から現在にかけては、第2シリーズとなる「植物シリーズ」のデザインです。
種 類 素 材 図 案 説 明
銅メッキした亜鉛  バンダ・ミス・ジョアキム シンガポールの国花
アルミ青銅製 モンステラ
(フルーツ・サラダ・
プラント)
壁や木をよじ登る切れ込みの大きい葉の植物。シンガポールでは公園などで大きな木に巻き付いていることが多い
10¢ 白銅製 スタージャスミン 別名ボルネオソケイ。ジャスミンはつる性植物で、その香りのよさからお茶やウェディングブーケにもよく使われる。スタージャスミンは星のような小さな花をつける
20¢ 白銅製 パウダー・パフ・プラント 美しいおしべ、という意味の別名を持つ紅色の花で、化粧パフそっくりの花をつける
50¢ 白銅製 イエロー・アラマンダ シンガポールでよく見かけるつる性の植物。黄色い5弁のラッパ状の花をつける
$1 アルミ青銅製 ペリウィンクル  低血糖やがんの薬になるそうで薬草としても注目されている。花壇に彩りをそえる花として使われている5弁の花

 どちらのシリーズのデザインも、シンガポールに関わりの深い生き物や風景が選ばれたようです。第1シリーズはシンガポールが海に囲まれているため海に関係のある生き物が選ばれました。しかし、1 セントコインには、生き物ではなくHDBがデザインされています。これは第2シリーズの1セントコインに国花であるバンダ・ミスジョアキムがデザインされていることと合わせて、シンガポールの特徴的なものが選ばれたようです。


コインの表


コインの裏

■シンガポールミント(The Singapore Mint)

 シンガポールミントは造幣局にあたり、ここでは様々なコインが作られています。シンガポールで流通しているコインは全てここで造られているそうですが、紙幣は海外へ発注しているそうです。

 日本と同様に、ミントに戻ってきたコインは、ダメージや汚れをチェックして使用に耐えうるものを梱包し直し、銀行を経て再度市場に出回ることになります。

 シンガポールミントでは国内用のコインだけでなく、海外からの依頼を受けてその国のコインや、記念コイン(インド、アフリカ、EUなど)も造っているそうです。また一般の会社や個人でも、記念メダルを作ってもらうことができます。

(文責 紺野芳子/上田恵)


The Singapore Mint

住所: 20 Teban Garden Crescent Singapore 608928

■コイン&ノートミュージアム

(Singapore Coins and Notes Museum)

●入館料:大人 $10、子供(3〜12歳)・学生・シニア$6

●開館時間:10am〜8pm

●住所:2 Tregganu Street, Level 3 (S)058456

●Website : http://www.singaporemint.com.sg

今年7月、チャイナタウンに「コイン&ノートミュージアム」がオープンしました。以前はシンガポールミント(造幣局)に併設されていたものが移転したものです。かつて使われていたコイン、紙幣や記念コインが展示されています。「Raffles Light House」がデザインされた150ドルコイン(建国記念、シンガポール初の金貨)や、F1開催を記念したコイン、干支がデザインされた記念コイン等も展示されています。

 

 

 

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お好きな写真を持っていくと、15分くらいで自分だけのカードを作ることが出来ます。話のタネに1枚作ってみるのもおもしろいかもしれません。

★記念コインサービス

$2 (入館者無料)

何も刻印されていないコインを、受付フロアー奥にある茶色の刻印マシーンに入れると、マーライオンのデザインが刻印されます。ちょっとした記念品になります。