ガーデンズバイザベイのロゴマーク
ドームのドアが開くと、内部の大きさに思わず息を呑みます。“常春”(Perpetual Spring)が売り物のフラワードームですが、オープン初年の2012年のハロウィーンやクリスマスには、その時期らしい飾り付けで華やかでした。2013年2月、フラワードームにとっては初めての中国正月ですが、どのような飾りつけが見られるでしょうか?


フラワードーム内部

 地中海性気候とは?
イスラム断食月ラマダーンの頃、市場に出回るデーツ(ナツメヤシの実)は、シンガポール人にとって1年に1回は出回る食べ物でおなじみです。乾燥ないし半乾燥の甘いものが多く売られますが、果軸をつけたままの生のデーツも輸入されます。高温多湿のシンガポールでは、このナツメヤシの木は育たないので、シンガポール植物園にもありません。フラワードーム内部では、堂々としたチリサケヤシ(Chilean Wine Palm 学名:Jubaea chilensis)や、カナリーヤシ(Canary Island Date Palm 学名:Phoenix canariensis)が目をひきますが、ナツメヤシ(Date Palm 学名:Phoenix dactylifera)もあります。幾つもの房をたわわにつけたナツメヤシの姿を早く見たいものです。
地中海性気候は、冬に一定の降雨はありますが、夏は日ざしが強く乾燥します。ヨーロッパ南部やアフリカ北岸のような地中海沿岸だけでなく、サンフランシスコなど北米大陸西海岸、南米大陸西岸で南緯30~40度の地域、南アフリカ、オーストラリアの南西端などにもあります。フラワードームでは、①地中海性気候の庭、②南アフリカの庭、③オーストラリアの庭、④南アメリカの庭、⑤カリフォルニアの庭と5エリアに分け、各地区で特徴的な植物を選んで植えています。
以上の5区画以外に、フラワードームには入場者を喜ばせる仕掛けが数多くあります。

ナツメヤシ(地中海エリアの庭)

2012年秋ハロウィーンの飾りつけ
 華やかなフラワーフィールド 

2012年クリスマスシーズン、
雪ダルマは白菊を挿した
菊人形仕立てでした
ドーム中央部にはバラやユリなどの色とりどりの鉢植え植物を置き換えることにより、いつでも花々が咲き乱れる空間を演出しています。昨年オープン当時は春の草花がいっぱいでしたが、10月にはハロウィーンの飾りつけでカボチャ、トウモロコシなど秋景色に模様替えし、すぐにまたクリスマスと飾りつけが変わりました。トナカイにサンタクロース、白熊、ペンギンなど、フラワーフィールドの模様替えはスポンサーがつかないと出来ないそうですが、毎回ふんだんにお金を使った出来栄えに感心します。2013年2月、ベイサウスにとって初めての中国正月の飾りつけはどのようになるでしょうか?常夏の国で、春の花を見たいけれども、年中同じような花ではつまらないという観客心理を心得た演出空間です。
 オリーブの古木が並ぶオリーブグローブ
スペインから輸入したオリーブ(学名:Olea europaea)の大きな老木が数本葉を茂らせています。これほど大きな古木を移植できる現代の植物輸送や園芸技術に脱帽します。

一年前のオリーブ

最近のオリーブ
移植時(2011年11月プレビュー)と最近の写真を見比べて下さい(オリーブテラス)
 バオバブ村の威容
フラワードームに入場して右側の大小様々なサボテン(多肉植物)類を見ながらスロープを歩むと、まわりは太い幹を持った樽のような樹形の木が立ち並んでいます。ここはバオバブ村と名づけられた区画です。注意深く観察していただくと、同じような樹形でも葉の形が異なっているし、幹にトゲのついた木もあります。
●アフリカのバオバブAfrican Baobab 

ご存知、「星の王子さま」に登場する有名な木、ベイサウスでは切符売り場近くの屋外でも何本か見ることができます。(アオイ科、学名:Adansonia digitata

バオバブ村
●オーストラリアでボアブ(The Boab)と呼ばれるバオバブ
  原産地はオーストラリア西部、19世紀には簡便な留置所として使われたことがあり、Prizon treeでネット検索できます。シンガポールでは今までボトルツリーパークなど、色んな場所で見かけることの出来た木です。(アオイ科、学名:Adansonia gregorii
●南米原産キワタノキ(カポック)の仲間:
  ヨッパライノキとかヨイドレノキという和名はスペイン語のパロボラチョから来ています。パラグアイ、ボリビア、アルゼンチンなどの原産。若い木はトゲトゲですが、大きくなるにつれて少なくなります。(アオイ科、学名:Ceiba chodatii
●マダガスカル原産ゴーストツリー 
  果実がドラムステックと呼ばれ、インドカレーに入っているモリンガと同属、バオバブ村の木のなかで、涼しげでさわやかな葉が特徴的な木です。(ワサビノキ科、学名:Moringa drouhartii
●上記4種類以外にも、オーストラリアの庭の中心に、豪州青桐と属名が同じ木があります。
  コモンネームはクイーンズランド・ボトルツリー。(アオイ科、学名:Brachychiton rupestris
 ガーデンズバイザベイを創った人物
Life!が選んだ、2012年度“Mighty 20”リスト


フラワーパワー
Dr Tan Wee Kiat
シンガポールで2012年度、芸術・娯楽・ライフスタイル部門で多大な影響を与えたトッププレイヤー20人がリストアップされ、タン博士が第一位に選ばれました。(2012年12月20日、Life!はストレーツタイムス紙の娯楽セクション) 英字紙が2005年以降毎年実施している企画ですが、タン博士は2007年および2011年にも選ばれています。今年は中国から来たパンダを見せるリバーサファリがオープン予定で、昨年にはリゾートワールドセントーサ(RWS)で大型海洋水族館マリンライフパーク(Marine Life Park)と遊園地のアドベンチャーコーブウォーターパーク(Adventure Cove Water Park)がオープンしました。ベイサウスが人気者のパンダや水族館に負けないで人気を保ち続けるには、タン博士のフラワーパワーを必要としているようです。
自然友の会は会員募集中です。
一緒にシンガポールの自然保護区や
公園を歩きましょう。
連絡先: 二藤部 9272-0217  瀬戸 9169-3602
(文・写真 岡島斉子)

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69才のタン・ウィーキヤット博士(Dr Tan Wee Kiat)は、マイアミ大学に留学してランの研究で修士号および博士号を取得した後、シンガポールに帰国、1988年シンガポール植物園園長に就任し、シンガポール植物園を世界に誇れる熱帯植物研究センターの一つに変身させました。もっと素晴らしいのは、2005年には外国人観光客に大人気の国立ラン園をオープンさせ、また100万もの植物標本を収納できる近代的な標本庫、表玄関にふさわしい堂々たるビジターセンターなど、タン博士が園長就任後に成し遂げた大規模な植物園改造計画の結果なのです。
リークアンユー初代首相が提唱したシンガポール緑化政策の遂行役は国家公園局、即ちNational Parks Board、略称Nparksでした。リー元首相はタン博士の強力なサポーターだと言われています。1996年にNparksが設立されるとタン博士はその初代CEOに就任し、シンガポールの緑化、公園増設、パークコネクター(公園ネットワーク、即ち緑の廊下)作りなどに取り組んで成果を上げ、10年後に退職しました。
現在は彼がゼロから作り上げたガーデンズバイザベイのCEOとして、まだまだ精力的な活動を続けておられます。非常に細やかな神経を持っていて、どの木をどの場所に配置するかなど、彼の繊細な美的感覚が存分に発揮されたのがフラワードームです。