ブロメリアの植え込み
 11月号でご紹介したヘリテージガーデンに続き、もう一つの屋外テーマガーデンである「植物の世界(World of Plants)」をご紹介しましょう。公園中央部にある12本のスーパーツリー群とは道一筋隔てたところで、側壁に丸く埋め込まれたブロメリアやシダ植物が進入路の目印です。そこから一本道が続いています。

 木の秘密生活(Secret Life of Trees)
切符売り場のあるザ・キャノピー(The Canopy)を後方にして「植物の世界」に進むと、パンノキ、サンドボックス、カポック(キワタ)などの木が両側で迎えてくれます。トゲトゲの幹、木肌がはがれ落ちる木、板根を持つ木など奇妙な木が多いです。「植物の世界」は楽しみながら、植物全般について学習できるように、全コースを通じて英語の説明板が数多く設置されています。
●ゴーストフット(Ghost’s foot)、ナンヨウヤツデ
(学名:Trevesia burckii)

ウコギ科で“お化けの足”という英語名がついている小木で、幹はトゲトゲです。ヤツデの葉っぱに似ていますが、水かき状がついていて、マレーでは”トラの手”、”アヒルの手”、”サイの手”等と呼ばれているそうです。
●クイポツリー(Cuipo tree)(学名:Cavanillesia platanifolia)
まるでゾウの皮膚のように幹に横皺のある中央アメリカ熱帯雨林の木。45~60mに達する高木で、世界の木の中で最も材質が柔らかいと言われる。環境破壊により絶滅危惧種になっています。

クイポの幹
 ヤシの世界(World of Palms) 
ヤシの木が左右に多くなると、「ヤシの世界」に入ります。ここで一本道を横切る道には、ビジターセンターやタクシー乗り場のある公園正面玄関と、スーパーツリー群落方向へ降りる階段やエレベーターが両側にあります。マダガスカルやアマゾン熱帯雨林を含め、世界各地から集めたヤシは、シンガポール植物園には無かったヤシも多いです。次の2種類には樹名札がついています。
●サタケンチャ(学名:Satakentia liukiuensis)

佐竹利彦博士(1910-1998)が八重山諸島の石垣島と西表島にしか自生しない新種を発見、和名は琉球八重山ヤシ。博士は全世界のヤシを3,333種に分類されたそうです。
●ジョホール州のエンダウ・ロンピン国立公園で発見された新種ヤシ。
(学名:Livistona endaurensis)



 アンダーストーリー(Understorey)
キノコのシェルター
熱帯雨林の林床部にはリーフリッター(L e a f L i t t e r)という通称で呼ばれるトウダイグサ科植物( 学名:
Agrostistachys longifolia )や、日陰を好むシダ類、キノコ類などが繁殖しています。この新公園では、強い太陽をさえぎる大木が無いので、大きな屋根のキノコシェルターの中に入ると、暑い日はほっとします。周囲に置かれた倒木の切り株に色んなキノコが生えると子ども達が喜ぶことでしょう。
 花と果実(Fruits and Flowers)
大きなサインボードには色んな花や果実が写真で紹介されています。真ん中の植え込みではホウガンボクが目をひきますが、その横には背が高くて、幹が異常に細いミッドナイトホラーがあります。ノウゼンカズラ科の木で、Indian TrumpetTree とも呼ばれているようです。ホウガンボクは南米原産の木で、サガリバナ科に属します。サインボード裏側の植え込みには、他のサガリバナ科に属する木、グスタビア(学名:Gustavia superba )やバリントニア(Barringtonia)属の木が数種類植えられています。

●ホウガンボク、キャノンボールツリー
(Cannonball Tree)
(学名:Couroupita guianensis )

花と果実を割ったところ(センバワンパークにて)

 生命のつながり(Web of Life)  
東南アジアの森に生息する8種類の昆虫、鳥、動物たちが、ガジュマル(学名:Ficus microcarpa)と呼ばれるイチジクの木で、トピアリーに仕立てられています。イチジクの実は小粒ですが、森の中で豊富に実り、鳥や動物たちの重要な食べ物となっています。
8つのトピアリーは、オランウータンから時計まわりで、コモンツパイ、イチジクコバチ、ビントロング、センザンコウ、サイチョウ、オオコウモリ(フルーツバット)、カブトムシの形に作られています。そして周辺にはイチジクの木が多種あります。
トピアリー
●3種類のノウゼンカズラ科の木
①ソーセージの木(Sausage Tree)の果実
(学名:Kigelia africana)アフリカ原産
②ミッドナイトホラー(Midnight Horror)のサヤ、(学名:Oroxylum indicum)

インド・東南アジア原産、夜10時頃開花し、花の臭気でコウモリを呼びます。サヤが約80cmにもなるのでサーベルの木とも呼ばれるが、サヤは木の頂上あたりでぶら下がります。その中には2cm x 5cm を超える薄い翼果が数百枚詰まっていて、サヤが2つに分かれると、白いタネが軽やかに飛散します。


③ヒョウタンノキの幹生花と丸い果実、
(学名:Crescentia cujete)南米原産

スーパーツリー・ダイニングと呼ばれる園内レストラン前広場でも、大きな緑色の実をつけた木は目立っています。日本のヒョウタン(ウリ科)同様、中のタネをかき出し、容器や、楽器のマラカスなどに利用します。シンガポールでは高木は見られませんが、実は良くつけます。幹に花をつける幹生花(果)です。
 ディスカバリー(植物進化の歴史)
日本語トレイルマップ(2冊あり1冊2ドル)と、新公園建設過程を編集した英語版ビデオ(2種類あり各12ドル)が販売中です
(文・写真 岡島斉子)
イチジクのコーナーを出てから右折するとヘリテージ・ガーデンの一つ、コロニアル・ガーデンへ渡るカラフルな橋があります。しかし橋を渡る前に、「植物の世界」で最後のお勉強をしませんか? 植物進化の歴史をパネルで見ることが出来、周辺には美しいシダ・ソテツ類に針葉樹を多く見ることが出来ます。針葉樹の変わり者、シンガポールでは街路樹としても植えられているグネツムノキ(学名:Gnetum gnemon)の雌木は実をつけます。実の薄皮をむいて中のタネを叩きつぶし油で揚げた少し苦味のあるチップ(メリンジョウまたはベリンジョウと呼ばれる)はシンガポール人に人気のスナック菓子です。

いくら熱帯でも、木を少々植えただけでは、熱帯雨林を作り出すことは出来ません。新公園ではフラジャイル・フォレストと呼ばれるエリアに昨年かなり沢山の苗木を植えたので、木が育ってくるとその場所が公開される日が来るかも知れません。「植物の世界」では世界から集められた珍しい熱帯花木をゆっくり観察できるのが嬉しいです。