February 2012


中国正月で賑わうチャイナタウン(パゴダ・ストリート)(1956年)

赤は中国正月の色
「中国正月の色は?」と尋ねられたら、10人のうち10人までもが「赤」と答えてしまうことでしょう。中国正月のお年玉は
「紅包(アンパオ)」。毎年、年末から年始にかけて、クリスマスカラーから瞬く間に赤一色に町が染まっていく様子も、シ
ンガポールの風物詩のひとつかもしれません。
爆竹は中国正月の音
この「赤」に加えて、1960年代までは、バーンバーンと轟く爆竹の音がシンガポールの中国正月に欠くことのできないも
のでした。爆竹を鳴らすことは悪霊を退治することにつながり、大人たちは子どもを喜ばせるため、そして自身も楽しみながら、大晦日に爆竹を据えつけたものです。チャイナタウンに連なるショップハウスの上階の軒先から糸を垂れ、新年の幕開けと共に、競い合うように大爆音を鳴らしました。そして、子どもたちは爆竹が弾けた赤い紙の絨毯の中に未発砲の爆竹が残っていないか探す競争を始めます。中国正月15日の間は、福が逃げないように掃除をしない(掃き出
さない)といわれていますが、特に爆竹の赤い紙は福の象徴で、掃き清められることなく路面を埋め、より一層赤い町を演出しました。そんな様子が一変したのは、1970年に死傷者が出る惨事が起こってからです。1972年には爆竹を禁止する法律ができ、爆竹を所有したり売ったり鳴らしたりする者は処罰を受けることになりました。この法律は花火など火薬を使うもの全般に適用され、人から一定の距離を保ち、消火などの安全管理の対処を届け出て許可された場合に限り実施できるということですが、爆竹がなければ新年が明けないシンガポーリアンの嘆きは、いかばかりか…。
チンゲイパレードの登場
その消沈ぶりを救うために始まったのが、チンゲイ・パレードです。例年、オープニングに派手な爆竹のパフォーマンスが行なわれる意味をあらためて感じ入ります。今年は40回目を迎え、初のウォーターパレードも開催されます。それでも、やっぱり物足りない…とお嘆きの方には、チャイナタウンのそこここで売られている電子音つき爆竹があります。時代の移り変わりを物語るもので、これで充分と考える若者たちも少なからずいるようです。ただし調整次第では破壊的な音がしますので、それで御用!となりましても…保証の限りではありません。

(文:井上 千晶)

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