January 2008

Hello, Changi Airport Terminal 3! ~チャンギ空港第3ターミナル~

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チャンギ空港をご利用される皆さん。搭乗ゲートを示すアルファベットを意識されたことはありますか。チケットにも記されていますが、Cが多いですか。それともD、E、F?あれれっ?なかなかA、Bから搭乗する機会がないですね。それもそのはず、A、Bというゲートは今まで無かったのです。実は、チャンギ空港の新ターミナル『ターミナル3』に与えられたゲートナンバーこそが、A、Bだったのです。ゲートC、Dを備えたターミナル1が完成したのが1981年。ついで1991年に完成したターミナル2にはE、Fが。そして、2008年1月9日に利用開始されるターミナル3ができ、ようやくゲートAからFが勢揃いするわけです。(どこかのSF映画みたい)今回は、そんな完成間近のターミナル3におじゃまさせて頂き、建設を請け負っておられる清水建設の印藤所長と須崎さんにインタビューをさせて頂きました。


案内してくだ
さった方:
印藤 正裕
(チャンギ空港第3ターミナルプロジェクト建設所長、清水建設)
須崎 隆行
(チャンギ空港第3ターミナルプロジェクト設備工事長、清水建設)
子供記者: 牛山 梨奈(チャンギ校6年)
田中 仁加瑠(チャンギ校6年)
吉次 伸介(チャンギ校5年)
付添い: 山下 昌裕(チャンギ校教諭)

 

まず、ターミナル3の出発ロビーに足を踏み入れてびっくり。斬新なデザインとあふれる自然の洗練された心地よさが、わたしたちを包んでくれました。

誰がこのような素敵なくうこうをデザインしたのですか?
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919個の天窓

アメリカにあるSOM (Skidmore, Owing & Merrill LLP) というデザインファームが全体の基本設計を行いました。そうしてできたデザインを実施設計したのが、CPG (CPG Corporation Pte Ltd) というシンガポールの設計会社です。私たち清水建設はそれらの設計を基に、ターミナル3を施工することになりました。日中は自然光がたっぷりと降り注ぎ、夜になるとターミナル内の照明が外にあふれ出す。夜、空からターミナル3を見ると、まるで温かい光のオブジェと見間違えるような、とても素敵な空港です。

(記者のつぶやき : ふむふむ…。ターミナル3の夜景は要チェックですね!)


Terminal 3 と Terminal 1・2とはどのくらい離れていますか。

ターミナル2の中心部とターミナル3の中心部を結んだ距離は、直線で300mです。それぞれのターミナルの中央には、ECPが通っていますし、その地下にはMRTの駅があります。駅からターミナル2・3へは、どちらも同じ距離です。また、ターミナル1とターミナル3のそれぞれの中心部を結んだ直線距離は300mです。


屋根が全てガラス張りですが、カラスが石を落としたりして割れることはありませんか。

屋根には919個の天窓があります。その天窓のガラスの全ては、特殊な樹脂を両側からガラスで挟んだ3層構造となっています。ですから、万が一強い力が加わりガラスが割れるようなことがあっても、粉々になって下に落ちて来るという危険はありません。

(記者のつぶやき:なるほど!これなら安心して、すばらしい天井を楽しみながらターミナル内を移動できますね)


ガラス張りの屋根や壁が汚れると、どうやってお掃除をするのですか。
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300mのグリーンウォール

天窓は特殊な3層構造のガラスですので、とにかく強度が高いです。掃除は屋根に上がってスキージというガラス専用の柄のついた掃除用具で行います。ちなみに、照明器具は天井の内側ではなく外側に設置してあり、天窓を通して明かりを取り込む仕組みになっています。この照明のメンテナンスも、実際に屋根に上がってできますので、非常に容易となります。また壁の掃除をするためにメインビルの滑走路側はレールで横に縦に動く専用ゴンドラが初めから建物に取り付けられています。これは下を貨物を運ぶ車や整備用の車両が忙しく走るため地上から清掃できないためです。また大きなが出ているため屋上から吊り下げることもできません。そのためブームリフトと呼ばれるゴンドラのついたクレーンのような機械で清掃します。

(記者のつぶやき:空港を管理する人はもちろん、利用する人もマナーを守って、いつまでも美しい空港のままであるといいですね)


建設に関して、新しい技術や工夫されているところはありますか。
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自動排水システム

たくさんあります。その中でも顕著なものは、大屋根(ターミナル3の天井)を持ち上げたときのことです。630トンもある骨組みを一斉に持ち上げるわけですから、大変苦労をしました。このように重量のかさむものをあげるクレーンはありませんし、複数のクレーンで重さを分散させようとしても、大変多くのクレーンが必要になってきます。そこでリフトアップ工法という方法をつかって、大屋根全体を少しずつ少しずつ上げていくことにしました。朝8時からこの作業に取りかかり、大屋根が地上25mの目的の高さに到達したのは、午後1時でした。

(記者のつぶやき:(その時の様子の動画を見せて頂きながら…)なんだか手に汗がにじんできました)


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丁寧に説明して下さる印藤建設所長と須崎工事長
一番難しかった工事は何ですか。

これも色々ありますが、やはり大屋根を上げるときの縦の移動、そしてその大屋根を柱の上に載せるための横の移動、この工事のことが頭に浮かびますね。

(記者のつぶやき:たいへんだったのですね。あんな大きなものなのに、誤差が許されないなんて…)



どのくらいのお金、日数、人数が必要でしたか。

見て分かるように、真ん中にはケーブルだけしかありません。シンガポールでは、ネオンサインが禁止されています。景観を損ねないようにするため、ゴンドラから骨組みにライトをあてる仕組みになっています。夜空にゴンドラが浮かび上がるような感じになります。


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どんな設備がありますか。

空港内の各ターミナルを移動するモノレール(PMS)。また、怪しいものが荷物に入っていないか素早くチェックしたり、バーコードを読みとりながら目的の飛行機に迅速に荷物を送る、BHS(Baggage Handling System)という手荷物搬送システム。ツタ類の植物と滝で演出した300メートルにも及ぶ緑の壁、グリーンウォール。他にもたくさんありますが、これらが主なものです。

(記者のつぶやき:実際に見たPMSはかっこいい。BHSの進化に伴って、空港チェックインが、離陸の約40分前で良くなったのはとっても便利。グリーンウォールはチャンギ空港に到着する人を癒してくれる。どれをとってもすばらしいですね)


空港内には、何種類の植物がありますか。

8種類です。グリーンウォールにはツタ類の植物を配置しています。また、やしの木やパームツリーなど、空港を利用される方々に、南国の雰囲気が伝わるような植物を選んでいます。これらは植物の専門家が選定しており、室内でも枯れにくい、生命力の強いものが選ばれました。

(記者のつぶやき:木の根本に目を向けると、鉄の管のようなものがぐるぐると渦巻いていました。これは自動散水システムだそうです。細かなところにまで、注意が行き届いているのですね)


環境に配慮した工夫はありますか。
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『自然の中でゆったりとくつろげる空間』をイメージしながらターミナル3を建設しました。しかしながら、できるだけ多くの緑を取り入れることと、できるだけ大きな空間を作り出すことは、省エネルギーの取り組みに反することでもあるのです。例えば、植物を育てるためには光が必要です。しかし、ターミナル内に直接太陽光が入ると室内の気温が上がり、利用者が快適に感じるために冷房を強くする必要があります。大きな空間を一定の温度に保つのもエネルギーの無駄になります。そこで、グリーンウォールや熱帯性の植物にだけ太陽光が当たり、人が行き交うところには直射日光が当たらないように天窓を調節しています。一方、大きな空間の冷房費を抑えるために、成層圏空調という方法で、大きな空間の下部(人がいるところ)だけ空調管理をする工夫をしています。その他に、自然光をできるだけ利用し、照度が400ルクス以下になるときのみ電灯がつくように設定しています。

(記者のつぶやき:こうした大きな建物に、地球の温暖化の抑制や資源節約のための工夫がなされることはとても大切だと思います。それでいて快適な空間が利用者に提供できるなんてすばらしいことですね。)


このターミナル3が完成すると世界で何番目に大きな空港になりますか。
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60の言語でウエルカムと書かれた壁

何を基準にして大きいかでその順位は異なってきます。例えば、空港を利用している旅客数では現在シンガポールは22位です。(※成田空港は23位、羽田空港は4位)年間利用可能旅客数は、ターミナル1が2000万人、ターミナル2が2200万人です。2006年度の実際の旅客数は、3500万人でした。新しくターミナル3がオープンすると、年間利用可能旅客数が7000万人となりますから、大きな空港と言えるでしょう。また、旅客機の便数ですが、現在チャンギ空港は年間17万便、1日に換算すると、400~500便です。夜中は離着陸の制限がありますから、約3分に1回の割合で離着陸が行われている計算になります。この回数は世界基準では、忙しい空港という区分に入ります。チャンギ空港には滑走路が2本ありますが、どちらの長さも4000mです。この4000mという長さは、長距離を飛ぶ飛行機の助走の標準となっています。しかしながら4000mの滑走路を持つ空港はそんなに多くないということから考えても、チャンギ空港は大きな空港だと言えるでしょう。

(記者のつぶやき:いろいろな判断基準があるんですね。この他にも、敷地面積や総床面積、駐機できる飛行機の数などの基準もあるし…。シンガポールの国の大きさを考えると、チャンギ空港はとっても大きな空港だと言えますね。)

更にチャンギ空港はお客様に評判のいい空港として定評があり、たくさんの表彰を受けています。 最近のものとして、2005年にはイギリスの調査会社SKYTRAXによる「AIRPORT of the YEAR 2005」で、顧客満足度世界第2位の空港に選ばれ、2006年には「AIRPORT of the YEAR 2006」で、香港国際空港を抜き顧客満足度世界第1位の空港に選ばれました。

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美しい女性用トイレ
エアバス社の超大型旅客機A380は、1日何便発着するようになりますか。

今のところA380が1日何便発着するかわかりませんが、シンガポール航空は現在までにA380を34機発注しています。世界中で約240機が発注されていますが、製造元のエアバス社は2008年までは年間25機、2009年からは年間45機造る予定で進めています。全部を就航させるのにはまだ6年程かかる見込みです。年間25機だと1ヶ月で2機。あんなに大きくて複雑な飛行機ですからそれでも大変だと思います。もちろん造ってから飛ぶまでにはたくさんのチェックとテストをクリアしなければなりません。


(文責 : 山下 昌裕)

 


★ こども記者の感想 ★

ターミナル3の開港を間近に控えたたいへんお忙しい時期にもかかわらず、子ども記者からのたくさんの質問に、一つひとつ丁寧にこたえて下さいました。「何より空港を利用される方々が快適だと感じる空港(きれい、待ち時間が少ない、ショッピングモールの充実)づくりを目指しています」と力強く話された後、「シンガポールのシンボルであり、またアジアを代表する国際空港を手がけることができたことは私たちの誇りです。」とつぶやかれた一言が印象的でした。 本当にありがとうございました。


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★ 牛山 梨奈 (チャンギ校6年) ★

ほかの空港では見られない広々とした空間があり、とてもリラックスできました。屋内にいながらこんなに多くの緑に囲まれることなんてなかなかありません。わたしは、今まで行ったことのある空港の中で一番印象に残りました。ぜびみなさんも、ほかの空港とはちがう『何か』を見つけて下さい。


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★ 田中 仁加瑠 (チャンギ校6年) ★

第3ターミナルに入った瞬間ビックリしました。第1・第2ターミナルと比べて、天井がすごく高いのです。外とあまり変わらず明るいなぁと思ったら、ガラスもたくさんついていました。お金がかかったんだなぁと思いました。今度、飛行機に乗るときは、よく第3ターミナルを見てからにしてくださいね。


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★ 吉次 伸介 (チャンギ校5年) ★

第3ターミナルにはすごいと思うことがいっぱいありました。一つは天窓。太陽の光をそのままではなく反射鏡を使って心地よい光に変えてくれます。二つ目は、グリーンウォール。シンガポールに着いた人をやさしく出迎え、良い気持ちにさせてくれます。第3ターミナルは、僕の目には『未来の空港』というふうに見えました。

 



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