June 2010
人員規模の大きくない海外部署では、時に、一人の部下が生み出すマイナスオーラが、上司の大きな精神的負荷となり、上司を押しつぶしてしまうことがあります。
上司が、その社会的強い立場を生かして、部下に不当な圧力をかけることを「パワーハラスメント」=「地位的権力を利用した嫌がらせ」といいますが、部下が、その弱い立場を使って、「上司だから、当然、私が期待するように在るべきだ」と、精神的圧力をかける現実も存在するようです。
「上司だから」という御旗の元、「部下=弱き立場」である自分の意見を受けとめてくれると、期待を持ちすぎている部下がいます。もちろん、リーダーシップのある、尊敬できる上司に出会えた人は幸せです。ですが、上司も同じ人間ですから、得意不得意の分野があったり、感情の波があったり、また、家庭の事情で大変な時期もあるでしょう。上司に完璧を求めれば、期待に応えてくれないイライラが募るものです。期待がイライラとなり、次第に精神的攻撃に変わっていきます。
職場で、自分の不機嫌をオーラにして発する部下は、かなりの問題をはらんでいます。上記のような気持ちを、態度で表出する人は、多くの場合、対象の上司以外の人に、自分の意見への同意を取り付けようとします。「私、○○さんの対応は問題があると思うのよね。」「どうして、××という対応にしてくれないのかしら・・・」「○○さんには力量がないと思わない?」みんなも、自分の意見に同調して当然!とご当人が感じている様子があれば、要注意。周囲の人の安易な同意は、その人の意見を助長し良くないと感じられます。
上司に対する憤まんが攻撃行動として出てくると、問題は深刻です。周囲の人がとりなすすべも無くなり、常に、この人のご機嫌を伺いながら仕事をするようになります。
「この案件について、○さんが決めたんだったら、勝手にどうぞ。私は、協力したくない。」「あんなに自分のペースで仕事をするのなら、一緒には出来ない。」など、職場の人間関係に、この人自身が大きな溝を作っているのです。
「私は、正しいことを言っているのに、どうして私の方が責められるんでしょうか?」こういった、部下の方のご意見を伺っていて感じることは、「自分の考えや仕事ぶりは、常に完璧で、正当性がある」という自己評価の尊大性が無意識にあります。また、自分が他者から受けている協力や恩恵について、見落としてしまっているケースも少なくありません。決断がのんびりとした上司だからこそ、自分の仕事の締め切りが遅れても、おう揚に構えていてくれるのかもしれません。「上司は、スタッフの顔色ばかり見て、必要な決断をしない人。管理者としては問題です。」とご立腹な部下。「そんな上司だから、あなたの数分の遅刻も、ちょっとした私用電話も黙認されているのかもしれませんよ。」
「休暇を取れるのは、私達の当然の権利ですから!」だから、誰にも感謝する必要が無いわけではないのです。自己の正当性ばかりを強く主張しあうことは、人間同士の営みに大きな亀裂を生み出し、結局は、自分の周囲から人が去り、孤独な人間関係に陥ってしまいます。
皆さんが、将来、こんな難しさを持つ部下を持ったらどうされますか?難しい部下には、迎合よりも一定の距離感を持って、堂々と接することをお勧めします。この部下が、多くの社員を味方につけているように錯覚し、上司として精神的に強く動揺する方もいます。例えば、一人の社員が多くのローカルスタッフを引き連れて退社するのではないかと、不安を抱えられるケースもあるのです。同調しているように見える周辺スタッフは、この人に異論を唱え、日々衝突するよりは、話を「ウン、ウン・・・」と合わせておいた方が『楽だから』、自己防衛の為に、相槌を打っている場合も多いのです。
将来、どのような人と仕事を取り組むことになっても、『自分の仕事の質』や『考え方』『判断』に自信を持って振舞えるようでありたいですね。