クリニックからの手紙 > 言語聴覚士 小島とも子
June 2011
例えば、カ行やサ行がタ行に置き換わったり、サ行がシャ行に換わると。 「おたあたん おととであとぼ~」 「あちた ようちえんにいって ともとてんてーと おえたちとぅるの~」 「おかあしゃん、しゅいしょ~のなかに おしゃかながいるよ」 「あちがつると はっぱのいろだ あたやちいろにたわって おちて はっぱのじゅ~たんだ でちるんだよね(秋が来ると葉っぱの色が赤や黄色に変わって落ちて葉っぱの絨毯ができるんだよね)」 話し方を真似されたり、「かわいい」「赤ちゃんみたいなしゃべり方」と言われるのを気にしている子はたくさんいます。今回は発音のお話です。
話しことばの発達
まずは、個人差はありますが、話しことばの発達の簡単なお話から。
赤ちゃんが生まれ、すぐに発声されるのが「おぎゃ~」という産声。その後泣き声以外の「あ~」「う~」、そして徐々に「ままま…」「ぶぶぶ…」などいろいろな声を出すようになり喃語(なんご)の時期がやってきます。この頃はまだ特別な意味を持たないのですが、それを聞いた周りの私たちは、偶然出たかもしれない「ままま…」をその状況と合わせて、「ママ」と呼んだね!ごはんの時に「マンマ」と言ったね!と喜び微笑んでいます。そして音声と意味が一致しはじめ、「ママ」「マンマ」「パパ」「ブッブー」などのようなことばが出始めます。これが始語(しご)です。
徐々に「わんわんいた」「ママとって~」「パパごはんたべる」などの二語文三語文を経て、日常生活においてことばに不自由しなくなっていきます。
この話しことばの発達過程の中で、理解することばの力も変化してきています。
発音はいつ完成する?
唇をあわせるm p b という音が0歳代の早くから発せられることはよく知られています。徐々にいろいろな音が出せるようになり、5~6歳まで完成しない音もありますが、小学校入学の頃までにはほとんどの音は出すことができるようになっています。
私たちが生活する地域の中で、私たちが置かれている社会的環境の中で、それぞれの年齢において期待される発音があります。その標準的な状態から外れると、話の内容が相手に伝わりにくかったり、聞いている人が不自然さを感じて、会話に支障をきたすことがあります。 日本語を母国語としていない大人が覚えたての
日本語で「しゃかな(魚)」と言っていても特別違和感はありません。日本で大人が小さな子どもに向かって「おしゃかな」と言っているのを聞いても私たちは気になりませんし、3歳の子が「おしゃかな」と言っていてもかわいらしいととらえられます。しかし、日本で生まれ育った中学生の子がわざとではなく「しゃかな」と言っていたら、どうしたのかなと思います。2歳で「おたあたん」はほほえましいですが、6歳で「おたあたん」と母親を呼んでいたら気になります。
幼い発音かな?様子を見ようかな
発音は、言語発達と関連があり、ことば以外の全体的な発達も合わせてみていきます。言えない音を繰り返して言わせてみて直していこうとすると、言えない音を何度も練習することになり、誤った音を固定する結果になってしまいます。適切な時期に適切な方法で行うことで、無理なく正しい発音を学ぶことができますので、ひらがな50音表などを見せての独自の練習は不要です。
目安は4歳です。気になる発音があれば、正しい発音を練習する時期について予測することができます。小学校入学前に改善することが本人にとっても望ましいこととされています。
その他、詳しいことは主治医にお尋ねください。