April 2012
お子さんがいらっしゃる方の中には、シンガポールでの小児の定期予防接種はどうなっているのだろうとご心配になられる方も多いと思います。御来星されて間もない方は特にそうだと思います。
一般的には日本で接種できるワクチンはシンガポールでも接種できるようになっていますので、あまりご心配なさる必要はありません。
ただ、定期予防接種の内容やスケジュールには日本と少し違う点があります。日本人の方は、日本と同じ内容とスケジュールに従って打っていただいて基本的には差し支えないのですが、長期滞在される方は当地の方法がお勧めです。特に、現地の学校やインターナショナルスクールに入学しようとされる場合には、予防接種の種類や数が足りないということが問題になることもあります。
日本では保健所からのお知らせがありますが、当地ではこうしたお知らせはありませんので、打つ時期がわかりにくく、打つのを忘れてもしまうことはむしろ当然ともいえます。遅れてもその時から打ち始めればよいですので、たとえ、時期が遅れても、慌てずに医療機関で御相談下さい。
今回はMMR(麻疹、風疹、おたふく)ワクチン、肺炎球菌ワクチン、DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)ワクチンについてお話します。
MMR(麻疹、風疹、おたふく)ワクチン
日本ではMRワクチン(麻疹、風疹ワクチン)が使われていますが、世界的にはおたふく風邪を予防する成分も入ったMMRワクチンが一般的です。シンガポールでもMMRワクチンが定期予防接種に組み入れられています。
日本のMRワクチンは1歳と5〜7歳が接種の時期となっています。シンガポールのMMRワクチンも日本と同様な時期の1歳と6〜7歳だったのですが、2011年12月からは1回目の接種の時期が満12か月となり、追加接種は1回目の後“3ヶ月から半年後”(満15ヶ月から18ヶ月)に変更になりました。理由は満15ヶ月以下のお子さんで麻疹にかかった方が多かったからということです。
スケジュールが変わったので、移行措置として、通常なら1回目を終えている年齢かつまだ小学校入学前で、今までに一度も接種されたことがないお子さんは最低1ヶ月の間隔で2回打つことが薦められています。
また、既に1回打ったことがある小学校入学前のお子さんも2回目を打つことが薦められています。
ちなみにMMRにさらに水疱瘡を予防する成分の入ったMMRVというワクチンもあり、これをMMRの代わりに打つことができます。ただ、これは接種後5〜12日後に発熱や熱性けいれんを起こす確率がMMRを打ったときに比べると多いという発表がシンガポール保健省からでていますので、接種の際には医師と良く御相談ください。
肺炎球菌ワクチン
日本ではプレベナーと言われているワクチンです。シンガポールでは2009年11月から定期予防接種に組み入れられています。肺炎球菌には実はたくさんの型がありますが、プレベナーはその中で頻度の高い7つの型に対するワクチンです。シンガポールでも当初はこのワクチンが使われていましたが、2010年12月から更に6種類の型を含んだ“プレベナー13”が使われるようになりました。日本で既に、プレベナーを打たれた方も途中からプレベナー13に変えたり、追加の接種をすることもできます。打つ回数などは、今までの接種歴によっても異なりますので医療機関で担当の医師に御相談ください。
DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)ワクチン*1
これはジフテリア、百日咳、破傷風を予防するためのワクチンです。この中で百日咳はもともとお子さんの病気ということで知られていましたが、近年は大人の患者さんの割合が高まっています。日本では2010年には成人例が50%を越え、患者さんの年齢比率からすると、百日咳は既に大人の病気といってもいいぐらいです。百日咳を予防するワクチンはこのDPTワクチンに含まれています。このワクチンは0歳代に3回、1歳代に1回追加し、10〜11歳(日本では11〜12歳)で更に追加がありますが、この10〜11歳の追加の際には、今までは百日咳を予防する成分が入っていないDTワクチンが日本と同様に制度上は使われていました。大人の百日咳の増加は世界的にもその傾向が認められることもあり、このほどシンガポールでは正式に10〜11歳の追加接種の際には百日咳を予防する成分が入ったDPTワクチンが強く薦められることになりました。
ただ、当地では自費で打つことになる日本人の方々は既に時代に先んじてDPTワクチンを接種されていると思いますので、これに関しては特に変更という感じはしないかもしれません。
(*1 DPT:実際には百日咳に対して成分ワクチンとしたDPaTと呼ばれるワクチンが主に使われています。)
お忙しい中、予防接種にお越しになられるのは大変なことと存じます。御無理のない範囲で医療機関にお越し頂ければと思います。その他、詳しい情報は医療機関でお尋ねください。