January 2012
最近、“肺年齢” という言葉が使われるようになってきました。これは肺機能検査の時に測る“1秒量”をもとに計算されるものです。1秒量は、息を思い切り深く吸って、勢い良く吐き出した時、最初の1秒で吐き出せた量のことです。
時に、この肺年齢の数字だけが一人歩きして、若さの指標のように誤解されてしまっていることもありますが、これはもともと禁煙の指導に役立てるために用いられた言葉で、慢性閉塞性肺疾患(下記御参照ください)にならないようにしようというのがその狙いです。誤解がおきないように肺年齢の計算方法も現在、検討が加えられつつあります。また、同時に1秒率というものも肺機能検査で測定して、肺年齢と合わせて総合的に肺の機能を評価することが大切です。
人の肺の機能は20歳代前半を頂点として徐々に低下していきます。25歳男性日本人で、平均的な体格の方ですと1秒量は4.3Lぐらいになります。個人により差はありますが、年齢と共に年間30mlぐらいずつ小さくなっていきます。すると65歳になるころには、25歳時と比べて1.2L分ぐらい減ってしまうことになります。これは肺の機能が25歳時に比べて3/4以下になってしまうことを意味します。でも、これは通常の老化であって病気ではありません。
ところが、喫煙していますと(個人差はありますが…)、この年間の減少量が2倍ぐらい(=60ml)になってしまうといわれています。肺だけ実際の年齢より2倍の速度で老化していってしまうと言ってもいいかもしれません。すると65歳時までには25歳時と比べ、煙草を吸わない方の2倍の2.4L分ぐらいの肺機能を失ってしまうことになります。これは肺の機能を半分以上失ってしまった事を意味します。結果的に、肺だけ先に100歳以上になってしまったといえるかもしれません。
さすがに、こうなりますと、坂道や階段などで息切れが出るようになってきます。これは慢性閉塞性肺疾患という病気が現れたことになります。この時に、気がついて煙草をやめても、失った機能は回復できません。失ってしまった肺の機能は取り戻すことは出来ないのです。ただ、禁煙後に肺の機能を失う速度は、煙草を吸わない人と同じになります。早く禁煙すればするほど失なう肺機能の量は少なくて済むのです。つまり、煙草をやめるのは早いほど良いというわけです。
慢性閉塞性肺疾患とは煙草やその他有害な微粒子を吸い込むことにより、肺の細かい構造が壊れていく病気です。息切れや咳、喀痰などの症状があります。この病気は肺の機能が落ちるため、空気を吸っているだけでは体に十分な酸素が取り込めない状態になってしまいます。そのため、動く時はもちろん、安静にしているときでも酸素を吸わなくてはならなくなることも稀ではありません。
日本には慢性閉塞性肺疾患にかかっている方が500万人ぐらいいると推計されています。しかし、そのうちきちんと診断されて治療を受けている方は5%ぐらいと言われています。診断を受けないまま、ただ加齢によるものと考えて、喫煙を続け、放置してしまわれている方も少なくないと想像されます。
喫煙習慣のある方は、もちろん、ない方でも定期的に肺機能検査を行って肺の機能を総合的に調べていただく事をお勧めいたします。