シンガポールの飲み水は

すべて輸入!?

 

 

     
 

シンガポールのシンボル、マーライオンは皆さんご存知の通り、シンガポール・リバーの河口に建っています。この川の周辺はシンガポール経済発祥の地で、官庁、金融業、商業のビルが建ち並び、今日まで中央ビジネス街となっています。

海から見るスカイラインは立派できれいだよね

 

かれこれ20年前になりますが、約2キロ沖合いまで埋め立てが行なわれ、現在マーライオンの前は大きな湾になっています。今その湾の先端部分に300メートルのダム建設が進められています。シンガポール・リバーとカラン・リバーの水が堰き止められ、湾は貯水池に生まれ変わります。マリーナ・ベイと呼ばれ、ダムは近く完成する予定です。

2007年のNational Dayパレードはマリーナ・ベイで やってたよね。

川を堰き止め貯水池にするのはこれが初めてではありません。他の場所でも入り江にダムが建設され、貯水池ができています。こうして作られた貯水池を含めると、シンガポールには15の貯水池があります。

 

 

シンガポールは現在、隣国マレーシアから水を買っています。シンガポールはマレーシアから1965年に分離独立をしましたが、水はもともと自給できませんでした。1961年英国植民地時代に2つのWater Agreementが締結されました。独立に当ってシンガポール独立協定書の中でこのWater Agreementが保証され、今までずっとマレーシアから水の供給を受けています。Water Agreement は期限が50年と100年とになっています。一つは2011年、もう一つは2061年に満了します。

ず~っと先のコトなのに、何でそんなに騒ぐの?

 

 

水の問題は重要だからね、早くから準備しておかないとね。現在マレーシアから1日約35,000万ガロンの水を購入しています。シンガポールの消費量は1日約3億ガロンですから、実際には必要量以上の水を購入していることになります。この数字を見る限り、シンガポールは通常、貯水池に溜めた水を消費していないと思われます。マレーシアから輸入した天然水は飲料用に浄水した後、一部有料でジョホールに戻しています。必要以上の水を買っているのはそのためです。

ジョホールもシンガポールに頼っているんだ。

 

ところが今から10年前にマレーシアから水価格の値上げ話が持ち上がりました。現在1000ガロン3セントで購入していますが、これを15倍、20倍に値上げすると提案してきました(注1)。この提案を呑む条件としてシンガポールは2061年以降も、更に100年間水を提供してくれるよう申し入れました。しかしこの交渉は難航しました。

の時はマレーシアとシンガポールはなんだか険悪だったね。(\∧/;)...

 

 

シンガポールとマレーシアの間には他にもいくつか懸案問題(注2)があって、近年両国間の関係は喉元に小骨が刺さったような状況が続いています。こうした問題を一挙に一括して解決しようと両国は交渉を進めてきましたが、結局交渉は暗礁に乗り上げて、解決の見通しは悲観的です。2061年以後はマレーシアから水の供給は受けられないかも知れません。そこでシンガポールは水の自給自足を目指すことを決めました。マリーナ・ベイの建設にはこんな背景がありました。

ふ~~~ん。。。でもマレーシアとシンガポールがもっと仲良くならなきゃね。

んで、このPROBLEMも解決!!!(☆v☆)b

そうだね。シンガポールは貯水池建設のほかにも、水の供給源を増やそうと努力しています。リー・シェンロン首相は2006年のNational Day Rallyで水の技術開発を進めて将来、中東、中国にその技術を輸出したいと述べました。その取組みとして2つの計画が進んでいます。具体的にはニューウォーターと海水の淡水化です。

ニューウォーター?なにそれ?(❜u❜??)

ニューウォーターとは造語で、Newaterと書きます。高度な浄水技術でリサイクルされた水のことを言います。汚れも、ミネラルも一切なくなってしまった不純物の含まれない純度の高い水です。WHOの飲料水基準をはるかにクリアーしていますので、もちろん飲料水として使用できます。

でも、そんなの飲みたくない。。。(≧△≦)

 

 

 

今は主に工業用水として使用されています。そしてまた未だ僅かな量ですが、貯水池に放出されています。シンガポールは下水道が100%完備されています。家庭やオフィスで使用され、下水道に流された水は一滴も漏らさず集められます。地中20メートルから60メートルの深さに直径6メートルの管を東西南北に通し、下水道に流された使用済の水はこの本管に集められ、浄水プラントに送られ、ニューウォーターに再生されます。

雨水を集めた貯水池、海水の淡水化、そしてリサイクルの水。この3つの供給源によってマレーシアからの輸入水への依存度を軽減し、やがては水の自給自足を達成しようとシンガポールは決心しました。

(注1

マレーシアは1986年と1987年に水の販売価格を改定することができました。Water Agreementには締結から25年後に料金を見直すことができると規定されています。しかしシンガポールへの売値を引き上げると、浄水処理された飲み水をシンガポールから購入する際、その価格も引き上げられるという理由から天然水の販売価格の見直しを放棄しました。

 (注2

 

1

 

 

半島マレーシア人のCPF早期返済問題(サバ、サラワクからの出稼ぎ労働者はシンガポールでの就業が終わるとCPFを引き出し持ち帰ることができますが、半島マレーシアからの労働者はシンガポール人と同等の扱いになっていて、55歳になるまでCPFは引き出せません)

2

マラヤ鉄道のTanjong Pagar駅とその周辺のマラヤ鉄道敷地の共同開発問題

3

シンガポール空軍のマレーシア領空使用許可問題

4

コーズウェイに変わる橋の建設問題