以前、日本の新聞を読んでいましたら、愛国心についてのアンケート結果を報じていました。日本に生まれて良かったと思うかという質問に9割の回答者が良かったと答えていました。日本人は日本への帰属意識が強いようです。愛国心という言葉に対して過去の暗い体験からある種の抵抗感を持つ人が多くいますが、それはさておいても、自国を愛する気持ちは強いと思われます。美しい自然、文化、伝統、こうした環境の中で日本人の愛国心は育まれたのだろうと思います

 シンガポールは

 

 

 

 シンガポールは元来移民国家です。19世紀の中ごろ英国植民地になって、経済発展が続くと労働者不足となり、中国やインドから多数の人々が出稼ぎにやってきました。やがて定住する人たちが増え、現在のシンガポール人を形作りました。出稼ぎの人たちにとって安定した生活が確保でき、将来の夢が託せる場所であれば移住先はどこであっても良かったはずです。タイであっても、マレーシアであっても構わなかったはずです。

 当時シンガポールで上手くいかなくて他の国へ移っ人もいたんぢゃん?

 

 

 

 

 きっとそうだろうと思います。私の見るところ、現在のシンガポール人は国際人です。例えば中国系シンガポール人は英語と中国語を話すことができます。普段からマレー人やインド人と近所付き合いをし、子供たちは共に学び、遊んでいます。異なった文化、宗教、多様な価値観と日常的に接しています。ですからどこへ行っても、大きな違和感なくそこの生活に溶け込むことができます。シンガポール人にとって移住することへの抵抗感が少ないように思われます。それに加えて安定した生活、夢が託せる国であればどこでも良いという移民の価値観がシンガポール人の心の中に今でも残っているように思われます。

 今も海外に移住するシンガポール人は多い

 

 

 

 

 一時ほどではありませんが、今でもオーストラリア、カナダ、アメリカなどにに移住する人が後を絶ちません。こうした社会背景がありますので、シンガポール政府は愛国心の育成に力を入れています。シンガポールの学生・生徒は毎朝、国家への忠誠誓約を斉唱します。「われら市民は一致団結して人種、言語、宗教に関わることなく、正義と平等と基づき民主国家を樹立し、国の幸せと繁栄と進歩に尽力する」こんな内容です。またシンガポールの男性は二十歳前後に2年間の兵役があります。そこで国を守ることを学習します。一方でシンガポール政府は独立直後から住宅政策に力をいれ、国民に安定した生活を保障しています。人々は住居を持つとそこに帰属意識が生まれます。

 住宅政策も帰属意識、愛国心の育成に結びついてんだ~。

 

 

 

 

 

 

 

 住宅政策は当然社会資本整備の一環ですが、見方を変えれば、愛国心に繋げることもできます。それから華僑という言葉、日本では中国本土から海外に移住した中国人の総称として使われていますが、厳密には中国籍を保持したまま、やがて中国に帰ることを考えている海外の中国人を華僑と呼びます。しかし現地で国籍を取得して定住している人たちは華僑とは呼びません、華人と呼びます。中国系シンガポール人は華僑と呼ばれると不快感を表します。こんなことからも愛国心育成政策は成功していると思います。ところが近年シンガポールは少子化が進んで、深刻な問題になっています。放置しておけば人口はどんどん減少してしまいます。しかし政府はシンガポールの継続的な経済発展のために人口を現在の420万人から650万にしたいと考えています。出生率を上げるのは容易ではありません。そこでこの数年多くの外国人を積極的に受け入れています。経済的に貢献できる外国人、優秀な人材は歓迎されています。

 そうした人ならどの国でも歓迎される

他の国行っちゃうかもしれないね・・・。

 

 

 確かに、シンガポールで生活していても、より可能性のあるところ、より幸せな生活の送れるところが見つかればこういう人たちは移ってしまいます。愛国心育成政策は上手くいっているといいましたが、今でも移民の価値観は底流に残っていることは否めません。そこに新たな移住者が増え、移民の価値観が強まると、厄介なことになります。政府はこうした状況に対応していかなければなりません。愛国心を巡ってシンガポールでは政府と国民の間にある種の緊張感があるように思えます。