Letter from Clinic (June issue) 2021
01 Jun 2021
フットケア施術師 寿 美鈴
一年中暑い高温多湿なシンガポール、家で靴を脱ぎ、家の中を裸足で暮らす習慣がよく見受けられます。しかし、足病医の関連記事で、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが始まり、在宅勤務や自宅学習が増えると共に、足の痛みや怪我に苦しんでいる患者が増加していることが報告されています。原因は、裸足で、特に硬くて平らな床を歩くことです。さらに、足底筋膜炎などの一般的な病気、ひざや腰の痛みも大幅に増加していると報告されています。
しかし、皆さん普段の生活で足を気遣うことってあまりないですよね?特に、室内履きに気を遣うことはほとんどないと思います。足の健康を保ち、改善するためには室内履きにも気を遣うことが必要です。サポートなしスリッパや靴下ではなく、常にしっかりした固定感と、サポートのあるサンダルや靴を履くことをお勧めします。
足は第二の心臓と言われていることをご存知ですか?
身体の部位の中でも心臓から最も遠い位置にある足は、身体の全筋肉のうち半分以上の割合を占めています。そして、その足の筋肉が収縮することによって、ポンプのように血液を上部へと押し上げています。つまり心臓と同じように血液循環を行う役割を担っているのです。だからこそ何かしらの要因によって足に不都合が起きてしまえば、血液の循環も悪くなってしまうことになります。さらには、足の骨の一部である足根骨(第1楔状骨、第2楔状骨、第3楔状骨、距骨、踵骨、舟状骨、立法骨)は、全身の体重のほぼ全てを支えています。
したがって私たちが、毎日を快適に、生活に支障をきたすことなく過ごすためには、足に不具合が起きていないことが第一条件になるのです。
意外と知らない足と靴の知識をご紹介します
足のトラブルや靴の不具合で、悩んでいる方が数多くいらっしゃいます。足にトラブルがあると、歩行バランスが崩れて全身のバランスにも影響を与えます。不適切な靴を履くことで、外反母趾、足のタコ、魚の目、巻き爪…さまざまな足のトラブルが発生するリスクが高まります。逆に履きやすいからと大きめの靴を履くことで、足の指や爪の変形がおこったり、軽すぎる靴を履くことで、地面からの衝撃を靴で受け止められず、膝や腰を痛めたりすることもあります。
現代は、靴社会です。このように、適切な靴を選ばないことにより、足を傷つけてしまっている人が数多く見受けられます。
足に悩みを抱えている人々にとって、最も知りたいことは、足に合う歩きやすい靴の選び方ではないではないでしょうか?足にさまざまな悩みを持つからこそ、歩きやすい靴の条件や靴の選び方がどのようなものか気になる人も多いと思います。今回は、そんな足に悩みを抱える人々にとって歩きやすい靴の選び方をご紹介します。足のトラブルを改善し、履きやすく、歩きやすく、足への負担を減らす機能性はもちろん、さらには日常生活を快適に過ごすためのサポートができるのが、適切な靴です。
では、足の健康にいい靴の条件とは、どのようなものでしょうか?
靴を選ぶ時に気を付けるポイント
①実際の足長・足囲を知った上で選ぶこと。
②靴ひも・マジックテープなど締め具合を調整できるデザインが好ましい。
足が前滑ベりしないこと。
③ヒールキャップ(靴のかかと部分が堅い靴)
構造がしっかりとした靴は、まず立ったときに安定感があります。
かかとを踏まないよう足が入ること。
④適切な捨て寸(つま先のゆとり)が確保されていること。
立った状態で、つま先に1cmから1.5cm程度の余裕があること。
⑤衝撃吸収性、安定性があり、適切なローリングのあるソール(靴底)であること。
インソールの役割
* 足を支える
* 圧力分散で足裏全体的に圧力を分散させること
* 足の歪みを整えること
* スポーツのパフォーマンスを上げること
足の健康に関心を持っている人は、そう多くはないと思います。人間が快適な歩行をするには、体を支える足が健康でなければなりません。人生100年時代が近づいてきて、足の健康がますます重要になってきています。
正しい靴選びは、足の痛みだけでなく、腰痛や膝の痛みにも影響を及ぼします。この機会に、足と靴選びについても、一度見直していただけたら幸いです。
プロフィール:寿 美鈴 (ことぶき みすず) 《日本語対応可》
足と靴のプロセミナー(日本)、フスフレーゲ、オーソペディシューテク二ック専門、メディカル・ フスフレーゲ・ドイツ医療フットケアポトロージ(ドイツ)、日本フットケア技術協会( JAFTA ) 、中敷と靴のアドバイスを実施。日本及びドイツで15年以上のキャリア保持。